貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

亜鉛鉱物

2024-02-21 20:57:23 | お便利メモ

亜鉛というのはけっこう身近な感じのする金属なので、地殻中にもたくさんあるのかと思ったらそうでもない。銅と同じくらい。
銅鉱物は二次鉱物も含めるとものすごく多種だけど、亜鉛鉱物というのは一般的なものはあんまり多くない。整理というかおさらいというか、管見に入ったものを並べてみる。

【硫化】 スファレライト(Sphalerite、閃亜鉛鉱) (Zn,Fe,Mn,Cd)S
     ウルツァイト(Wurtzite、ウルツ鉱) ZnS
【酸化】 ジンサイト(Zincite、紅亜鉛鉱) ZnO
     フランクリナイト(Franklinite、フランクリン鉱) (Zn,Fe,Mn)(Fe,Mn)2O4
     ガーナイト(Gahnite、亜鉛スピネル) ZnAl2O4
【珪酸】 ヘミモルファイト(Hemimorphite 異極鉱) Zn4Si2O7(OH)2・H2O
     ウィレマイト(Willemite) Zn2SiO4
【炭酸】 スミソナイト(Smithsonite、菱亜鉛鉱) ZnCO3
     ローザサイト (Rosasite、亜鉛孔雀石) (Cu,Zn)2(CO3)(OH)2
     オーリカルサイト(Aurichalcite、水亜鉛銅鉱) (Zn,Cu)5(CO3)2(OH)6。
     ミンレコーダイト(Minrecordite) CaZn(CO3)2 *ウィキは「ミレンコーダイト」と誤記。
【硫酸】 ジンクメランテライト (Zincmelanterite、亜鉛緑礬) (Zn,Cu,Fe)SO4・7H2O 
【砒酸】 アダマイト(Adamite アダム石、水砒亜鉛鉱) Zn2(AsO4)(OH)
     レグランダイト(Legrandite、レグランド石) Zn2(AsO4)(OH)H2O
【燐酸】 フォスフォフィライト(Phosphophyllite、燐葉石) Zn2Fe2+(PO4)2・4H2O
     ヴェゼリアイト(Veszelyite、ベゼリ石) (Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O。
     ホープアイト(Hopeite、ホープ石) Zn3(PO4)2・4H2O *ウィキにはなし。
【バナジン酸】 デクロイザイト(Descloizite、デクロワゾー石) (Pb,Zn)2(OH)VO4

案外持ってるな。亜鉛と意識してないだけで。

亜鉛鉱物の筆頭と言えばスファレライト、閃亜鉛鉱でしょう。汎産で亜鉛採取の原料として最も広く利用されている。日本でもたくさん出るらしい。
色も姿も多彩だけど、うちにいるのは赤がきれい。スペイン産。カドミウムを含むと赤くなるそうで。



ウルツァイトというのはスファレライトの純粋亜鉛形みたいなものだけど結晶形が違うとか。商品としてはあまりない。純粋種だから稀産なのか、いちいち分析するのがめんどくさいのか。(んなあほな) 赤い石らしい。うちのシャーレンブレンド君に含まれているかもしれないけどあちきには判別不能。この真ん中の赤いのかな?

ジンサイトはジンカイト? 亜鉛はジンクだからカだろうけど綴りを素直に読むとサですな。困ったものだ。天然ではあまり出ず、亜鉛工場の煙突にできるやつが出回っている。これは人工鉱物なのか天然鉱物なのか。スウェディッシュ・ブルーみたいなスラグ鉱物は人工だろうけど、銅鉱山の坑道の水滴に生成するカルカンサイトは天然とみなしたりする。わからん。
あちきの持ってるのは小さいけど、キラキラしてきれい。淡いピンクのかわいい色合いなんだけどなぜか写真では全然別人。ポーランド産。

フランクリナイトは既出。共生しているウィレマイトとかが美しく蛍光するのを横目にご当人は無反応。真っ黒で愛想がない。亜鉛鉱物というより鉄とマンガンの鉱物ですかな。

ガーナイトは亜鉛スピネル。特にナイジェリアで産する青い宝石質のものは珍重されている。高くて手が出ない。けど、ガーナイトがすべて青いわけでもないし、スピネルが青ければ即ガーナイトというわけでもない。これは長垂のペグマタイトに入っている小さな結晶。



ヘミモルファイトとウィレマイトは前記事と前々記事。

スミソナイトは既出。色は多彩で美しい標本もたくさん出回っている。これはあちきにとっては美しい奴なんだけど、見せびらかすほどのものではごじゃりません。メキシコ産。

ローザサイトはついこの間上げた。スミソナイトに銅と水が加わった組成。銅のせいか青の色が深い。わりとレアか。



オーリカルサイトも上げたばかり。これも亜鉛鉱物か銅鉱物か。

ミンレコーダイトとジンクメランテライトは超稀少石。ないことにしよう。(こら)

アダマイトは砒酸塩という珍しい御仁。これは以前ミネラルショーで買ったのだけどもうひとつインパクトがないように思えてここには上げなかったらしい。ドゥランゴ産。改めて見返してみると、キラキラで美しい。

レグランダイトは持ってない。組成的にはアダマイトとそっくりさんなのにえらく稀少。いろいろな色があって、黄色の宝石質のものはとんでもなく高い。しかし「レグランド石」は「ルグラン石」でないとおかしいぜよ。

フォスフォフィライトは亜鉛鉱物の一番の華かもしれない。リン酸塩ということもあるのか美しい。人気があって高価。あちきのはお見せするほどのものではないけど。過去記事はこちら

ヴェゼリアイトは既出。美しい。

ホープアイト、発音的にはホーパイトかな。は超レアストーン。持ってるわけない。

デクロイザイトも既出だけど国産もので見栄えはよろしくない。バナジン酸塩という珍しい鉱物。

ううむ。レグランダイト、ホープアイトかあ。まあそのうち。

【注記】ここで言っている亜鉛鉱物というのはあくまで一般的な観賞標本や有名鉱石の中でということです。亜鉛を主要元素として含む鉱物は mindat によれば418あるようです。まあ鉱物種は4000だか5000だかあるそうですから、細かく見て行ったらそうなるでしょう。


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