貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

クリノヒューマイト

2022-12-28 20:25:20 | ややレア

クローン・ヒューマノイドだと? (ちょっと違い過ぎるだろ)
はあ。ヒューマイトというのは人名ヒューム由来なのね。ヒュームといえばあの「懐疑主義のお化け」。「99回やって同じ結果が出ても100回目は違うかもしれない」とかね。あちきなんかは電卓で計算すると3回やって3回とも違う。(それ懐疑論と違う) 人間の懐疑精神というのは恐ろしい刃で、とことん疑うと何も証明できなくなる。5分前には世界は存在しなかったとかね。いやあちき自身が本当に存在するのかどうか。(何の話だよ)
でもこのヒュームさんは全然違う人みたい。(要するに全然関係ない話ね)
まあとにかく変な名前ですね。「新鉱物」「レア」っぽい扱いを受けているらしい。

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Clinohumite。和訳すれば斜ヒューム石。(Mg,Fe)9(SiO4)4(F,OH)2。ネソ珪酸塩(単独派)。
ヒューマイト・グループの中のヒューマイト・サブグループに属する。で、ヒューマイトという名前はまたまたグループ名としても単独鉱物名としても使われるのでしばしば話がぐちゃぐちゃになる。こういうのやめて。

ヒューマイト・サブグループの鉱物は以下。
 ヒューマイト Humite                 Mg7Si3O12(OH)2
 クリノヒューマイト Clinohumite           Mg9Si4O16(OH)2
 ハイドロキシクリノヒューマイト Hydroxylchondrodite Mg9(SiO4)4(OH)2
 ノルベルジャイト Norbergite             Mg3SiO4(OH)2
 コンドロダイト Chondrodite             Mg5Si2O8(OH)2
 ハイドロキシルコンドロダイト Hydroxylchondrodite  Mg5(SiO4)2(OH)2

なんか全部おんなじじゃね?(よく見なさい)

「ハイドロ」は近年の新発見でそれ以前は4種とされていた。
といっても詳しく分析しないと識別はできないとのこと。じゃあみんなヒューマイトでいいじゃん。(鉱物学はそういうわけにはいかん)
コンドロダイトというのもコンドライト(隕石)とコンドーしやすい(つまらん)名前ですね。ノルベルジャイトはノーバージャイトと書くべきかも。

クリノヒューマイトは19世紀にすでに発見されていて、基礎的な「造岩鉱物」とされてきたけれど、1980年代後半に宝石質のものが出て、レアストーン扱いになった。色は赤・橙・黄など。
マグネシウムが豊富なスカルン鉱床によく出るが、火山噴出物、変成橄欖岩、超塩基性複合体などからも出ることがある。
「フォルステライトMg2SiO4構造をもつ層と、ブルーサイトMg(OH)2構造をもつ層とが互層している」という。
大雑把に言えばペリドットの水煮ね。(またかよ) そういう意味ではサーペンティン(Mg,Fe)6Si4O10(OH)8 に近い。
とはいえ、造岩鉱物の割には無名。少ないのかな。そしてそんな造岩鉱物が透明の結晶になるのは珍しくて、つまりレアということになる。

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パーフェクトストーンさんでこの「レアストーン」が千円台とお安く出ていたので思わずポチっと。ポチッてから1桁間違えてないかと不安になったのは内緒だあ。(誰に内緒だよw) まあ0.1ctとチビチビですから妥当なのかな。2ct とか3ct とかの大きめのものもあるようですけど、そういうのはとても高い。

美しいカットルース。輝きもなかなか。少しインクルがある。
ところがこれ、よく色がわからない。基本は淡いオレンジだけれどバイオレットが混じる。単斜晶系なので方向変色するのだろうか。
おまけに写真に撮れない。肉眼だとふんわりした色なのに、どぎつくなったりする。
上の1枚目が一番肉眼に近いけど、もっと軽やかに明るい。下の2枚は少し強い光を当てている。そうすると肉眼でもどぎつくはなる。けどこれほどおどろおどろしい感じではない。



あちきの技術がへたなのかと思って、パーフェクトストーンさんの商品写真を見直したら同じようにどぎつく写っている。どういうことなのかさっぱりわからない。
そして内部はけっこうわちゃわちゃっとしている。輝石のわちゃわちゃに似ている。小さな結晶が集まっているのか。「フォルステライト構造とブルーサイト構造とが互層している」せいなのか。高質な純粋ものだと違うのかもしれないけど、あちきはこういうの好きです。
どうも不思議な石です。一見、オレンジサファイアに似てるかなと思ったけど、もっと複雑で変。とても面白い。

クリノヒューマイトとかボーウェナイトといったものは、「広く見られる造岩鉱物なのに、めったにない透明なもの」ということでも価値があるのでしょう。どうやったらこんな純粋なものができるのか、不思議ですねえ。

 


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