貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

花崗岩は意外と奥が深い

2022-07-17 11:13:19 | 単品

(大変すんません。間違ったことを書いていたので一部削除しました。2023/1/22)

花崗岩のことでも書こうがん。(がんって何だよがんって)

まあ実に何とも。何というか。(何だよ)
よく見ます。特にお墓で。(またかよ)
石垣や建材なんかもある。山の頂上にある三角点なんかも花崗岩が多いようで。

それもそのはず、この石、地殻。近くにあるからよく見る。(いいかげんにしなさい)
しかし地殻と言っても単純ではない。花崗岩は「大陸地殻」の主要岩石。「海洋地殻」は玄武岩で別。玄武岩というのはあまり見ないですな。地殻なのに近くない。(……)

この「大陸地殻」と「海洋地殻」の形成の話はえらく難しいので改めて。

     *     *     *

大陸地殻としてあちきらの身近に、大量にある花崗岩。けど、いろいろと面白い特質がある。
花崗岩は地殻の中でゆっくりと冷えてできる。このゆっくりさのおかげで、いろいろな鉱物が大きな結晶を作る。輝石、柘榴石、雲母、長石などなど。いわゆる「ペグマタイト鉱物」というやつですな。鉱物マニア垂涎の的。
普通に見る花崗岩は、主に雲母と長石と石英の細かい結晶からできているけれど、もっといろいろな元素を含み、ゆっくりと固まった花崗岩は「鬼御影」などと言われて、美しい鉱物の大きな結晶が散りばめられている。そしてペグマタイト上部には熱水晶洞ができて、水晶を初めとする繊細美麗な結晶がたくさん生まれる。
花崗岩は鑑賞鉱物の母胎の一つとも言えるでしょうね。

もうひとつ花崗岩の面白いところは、中で熱を発生させていること。放射性物質の崩壊によるものらしい。日本の温泉の6割は、火山のマグマでなく花崗岩の熱による温水だというから驚き。
「地熱発電」というのも、火山の下のマグマに発電装置をぶっ込むのではなくて、花崗岩の熱を利用するらしい。マグマじゃ危険だものね。へたに突っついたら大噴火したり。
これもちょっとびっくりですねえ。花崗岩、つまり大陸地殻は、それ自体、熱を生産しているのです。岩石というと冷たい死んだものというイメージがあるけど、そうではない。地中深くで得た熱を保持しているだけでなく、自ら熱を発している。はええ。地球が温暖化するわけだ。(違うと思うよ)

で、放射性崩壊が起こっているのだから、放射線も出る。一般的に花崗岩地盤の土地では、自然放射線が多い。日本では関東より近畿中国のほうが地盤が花崗岩質なので放射線が多い。朝鮮半島などはもっと多いらしい。あちらの方々は福島がどうこうと騒いでいるけれど、自分たちの地面はもっと多い放射線を発していることは無視しているらしい。
といっても人体には影響はない。つか、微量の放射線は逆に健康にいいという説もある。関西人がエネルギッシュなのはそのせいか。(違うと思うよ)
ちなみに、少し前のことだけど、「紀伊半島の地下には巨大な花崗岩の一枚岩がある」というニュースを見たことがある。紀伊半島が実にアヤシイ土地なのはそのせいかと思ったけれど、大陸地殻の多くは花崗岩なのだとしたら、そう特異なことではないのかもしれない。

     *     *     *

花崗岩が鑑賞石になることはあまりない。日本の伝統的石鑑賞でも、御影石はたぶん出て来ない。どういうことなのかはよくわからない。石自体の主張が強すぎて「景色」にならないのかな。
そう言えば、この前開催された「宝石展」で、原石の展示スペースに花崗岩が飾られていた。は? という感じ。
で、唯一健闘しているのが、「K2ストーン」。「アズライト・イン・グラニット」。

K2はカラコルム山脈の最高峰で世界第二位の高峰。そしてかつて遭難者が続出した魔の山。採れるのはその麓だとはいえ、あんまり縁起がいいとは言えないかも。(余計な話を)
鮮やかな青が入っているので、凡庸な花崗岩が俄然美しくなる。不思議なものです。黒雲母が少ないというのも特長かもしれない。
この青、少し前までは「アズライトらしい」とか言われていたけど、今は普通に「アズライト・イン・グラニット」と表記されている。確定したのかな。
しかしアズライトというのは銅鉱床から付随的に生まれる二次鉱物ですぜ。本体の銅鉱塊もないのに、どうして花崗岩の中にぽつねんと存在するのか。しかも炭酸塩が。謎。
ともあれ、人類には一番縁の深い花崗岩=大陸地殻が、こうやって美しいものとして愛でられるのは、とてもいいことではないでしょうか。


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