貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

パイロクスマンガン鉱

2022-01-28 20:25:21 | ややレア

泣く子も黙る(もうそれやめいや)、その名も轟く、知る人ぞ知る(うるさい)パイロクスマンガン鉱(Pyroxmangite)。



日本でしか出ない石! と思っていたら、そうではないのね。
大きくて質のよい結晶は、日本でしか、しかも愛知県奥三河の田口鉱山でしか出ない。ということらしい。
これはブラジル、ミナスジェライス産。お値段も手頃でびっくり。購入した夕星庵さんの説明では「同ロット日独宝石研究所にてパイロックスマンジャイトでのソーティング済み」とのこと。

パイロクスは輝石(パイロキシン pyroxene)のということ。mangite はマンガイトと読まれたりマンジャイトと読まれたりする。英語読みだとマンジャイトだろうけど、漫才だったり何じゃいだったりして語感が悪いですな。
いずれにしても最近の日本人がよくやるように4文字に略さないこと。

組成は MnMn6(Si7O21)。ほぼ同じ組成にバラ輝石(ロードナイト Rhodonite (Mn,Ca)5Si5O15、準輝石)がある。バラ輝石は微量のカルシウムを含むということ。パイロちゃんは高圧高温でできるという説があるが、「純粋物の合成実験ではパイロクスマンガン石型の配列は低温高圧側で安定、バラ輝石型は高温低圧で安定という」というもある。まじゃっては出ないらしい。
両者は見た目では区別できず、分析しないと判定できないとのこと。ちなみに、ロードナイトの近隣種にイネス石(Ca2Mn7Si10O28(OH)2・5H2O)というレアストーンもある。

名前に惹かれて買った、ということになりますね。見た目にはロードナイトと区別できないわけですから。けれどこの透明性のある渋い赤は、ロードナイトではあんまりないんじゃないかな。カルシウムを含むせいか、ロードナイトはピンクが多いような印象がある。

これは前にも掲載したロードナイトの美結晶。美しい赤だけど気のせいかカルシウムっぽい感じがないではない。

ついでにロードナイトの丸玉。カルシウム混ざりという感じ。ほかにもいろいろまじゃっちゃっているけど、そのごちゃごちゃ模様が面白くてけっこう好きです。なんか未知の惑星みたい。




田口鉱山のパイロクスマンガン石は、ごくたまーにネットで見るけど、確かに大きくて深紅の素晴らしい結晶です。しかし売っていない、売っていたとしてもとんでもないお値段。田口鉱山は今は閉山・立入禁止になっているから、昔に出たものか、周辺でマニアが掘り当てたものということでしょう。「見たら買っておけ」の部類の最たるものでしょうけど、見ないし、見たとしても貧石には星の彼方。

マンガン含有でもう一つ、赤が美しく人気のものにロードクロサイト(インカローズ)がありますけど、こちらは炭酸塩。けっこう出回ってますけど、透明な結晶は高い。
スペサルティン・ガーネットもマンガン含有で美しい赤のものがある。モルガナイトもマンガン含有のベリルで、ピンク色。
一方ビクスビアイト(ビクスビー鉱 Mn2O3)なんかは真っ黒。
これはセルフクリエーションさんより。ユタ産。ぴかぴか。5ミリほどのものですけど。



ラムズデライト、パイロルーサイトといった黒っぽい二酸化マンガン鉱物もある。

まあ正直言うと、「パイロクスマンガン鉱、持ってますぜ」というだけで、何となく誇らしいような気がすることは確か。ちとあほかもしれないけど。(素直でよろしい)



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