貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

幌満の橄欖岩

2023-06-18 08:11:04 | 国産鉱物

出ました!(何だよそれ) ずっと頭の隅に引っかかっていた石。
幌満の橄欖岩。あの「アポイ岳」を作り上げた橄欖岩。ヤフオクで出たのです。

幌満川は北海道様似郡様似町を流れる。その幌満峡の西側に「全山橄欖岩」のアポイ岳(標高810.5m)がある。アポイ岳自体は採集禁止ですけど、橄欖岩は周囲にもあるのでしょう。
橄欖岩は地球全体積中、なんと82.3%を占める岩石。地球で一番多い石。圧倒的に多い。何せマントルがこれでできているから。
けれど、マントルがマグマとなって地上に噴き出す時は主に玄武岩マグマになっているから、橄欖岩そのものを見ることはなかなか難しい。水と反応すると蛇紋岩になっちゃうし。
しかしプレートとプレートが激突する地点で、稀に地殻の下にあるマントル質が飛び出すことがある。そうすると橄欖岩がもろに地表に露出する。美しい緑のペリドットが採れる。
それがアポイ岳を中心とする幌満橄欖岩帯。日本では稀有のよう。

要するに、「マントルどばどばー!」なのです。(品がないよ)
ちょっと行ってみたい。

今回入手したのは二つ。商品説明には
■幌満かんらん岩・シンプレクタイトを含むレルゾライトのサンプル
各鉱物は淡黄緑色・橄欖石(ペリドット)、褐色・直方輝石(斜方輝石)、鮮緑色・単斜輝石、黒色点・クロムスピネル、紫褐色・シンプレクタイト
■幌満かんらん岩・ハルツバージャイトのサンプル
[鉱物説明は同じ。]

うーむ。難しい。売り手の人は専門家っぽい。
何かあちきのような素人が買うべきものじゃない感じ。まあお安い標本だしいいでしょう。

橄欖岩(Peridotite)にも成分比率によって様々あって、難解。
単純に言えば、
・橄欖石(Olivine)
・直方輝石(Orthopyroxene)
・単斜輝石(Clinopyroxene)
という3つの要素があって、その割合でいろいろ分類される。
レルゾライト(Lherzolite)は橄欖石が50~90%で、直方輝石と単斜輝石の両方を含むもの。
ハルツバージャイト(Harzburgite)は橄欖石が50~90%で、残りはほぼ直方輝石のもの。
ついでに言えば輝石をほとんど含まないのはダナイト(Dunite)。しかしもちっとシンプルな名前付けられなかったのかね。(うるさい)

シンプレクタイトとは鉱物組織相の名前で、複数の細粒鉱物が組み紐状にからみあった形状を示すもの。だそうで。

ああややこしい。おまけにこの違いが何を意味するのかはさっぱりわからない。

で現物。(前振り長すぎ) 左がレルゾライト、右がハルツバージャイト。

レルゾライトのほうがごちゃごちゃして面白い。

これがオリヴィン、つまりペリドットかな。

単斜輝石は色が濃い。

直方輝石はねぼけた色。

たぶんこれがシンプレクタイト。

これはクロムスピネルの黒点ですな。



宝石質ペリドットのような透明さ・輝きはないけれど、やっぱりこれもペリドットなんですよねえ。独特の美しさがある。なんたってマントルですし。(好きだねw) すべての岩石の母。ほぼ地球そのもの。橄欖岩は偉大なのです。
しかし地球の植物は緑が多いけど、地球最多の岩石も緑ですね。「緑の星」なんですかね。

意外なことに透明度も若干はあるんですね。




うまく磨けば、きれいなカボッションができそう。幌満の特産品にしたらどうですかね。

ともあれ、幌満の橄欖岩が見れて嬉しい。


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