「地獄八景:浮世百景」
出演:佐藤アツヒロ・高橋由美子・山内圭哉・松永玲子・小松利昌・出口結美子・桂吉坊・市川笑也・桂吉弥・升毅・松尾貴史
概略:地獄の閻魔の庁にて今まさに亡者の裁きが行われようとしている。ところで今日は先代閻魔の一千年忌。閻魔さんは大判振舞いで「面白い話をしたら極楽行き。」と言い出す。交渉の上手い亡者の一人が「極楽なんてせこい事言わんと、現世に戻したりなはれ。」と閻魔に掛け合い、その話がまとまる。そこへ現れたのが愛しい恋人・小糸を追いかけてやってきた薬屋の若旦那。二人で現世に戻るため、閻魔相手に百日前から始まったてんやわんやの大騒動を話し始める・・・。さてさて、小糸と若旦那は無事に現世に戻れるのか?!
・・・ま、そんな話です。
まず、何に心惹かれてこの芝居のチケットを購入したのか。それは「地獄八景亡者之戯」という上方落語の大作の一つをベースにしているというこの触れ込みにひっかかったのでした。私がかつて聴いたのは桂米朝の「地獄八景」ですが、絵本「地獄のそうべえ」と聞けば「ああ、あれ。」と思う人も多いのでは?
二時間くらいの長い話なんですが、地獄の情景をそれはそれは活き活きと表現しているメチャメチャ面白いお話しです。
で、今回の芝居はこの「地獄八景」をベースに、有名な上方落語の名セリフやら名場面をふんだんにちりばめて、小糸と若旦那の馴れ初めから、何故二人が地獄に来る事になったのかというどたばたの成り行きが描かれているのでした。
冒頭に松尾貴史が噺家に扮して出てきて「後に何にも残りません。」と言っていましたが、まさにケラケラ笑って始まって、ケラケラ笑って終る話でした。
そう。面白かったんです。面白かったんですが・・・!ここからイチャモンが始まる(笑)。
「地獄八景」ファンには非常に物足りない!なぜなら「地獄八景」の醍醐味である地獄の情景がほとんどないのです。三途の川を渡る件やお裁きを待つまでの地獄の生活(商店街があったり、劇場があったり)の描写が全くない。・・・これはいけませんよ~。地獄八景というからにはもうちょっと地獄の情景を描いて欲しかった。コレじゃ「地獄一景」だよ。
これはほとんど私の中ではマイナス三十点くらいのしくじりですね・・・。
役者陣は非常に多彩な顔ぶれで舞台役者・歌舞伎役者・噺家・タレントと、各種の人々でした。いずれも流暢な大阪弁(間違っても関西弁ではない)を使いこなし、上方落語の世界を自然に視覚化出来ていたように思います。時々現代的なセリフも入って、アドリブもポンポン入ってテンポがとても良かったです。結構舞台の上で遊んでるな~という感じもあって、くすぐりから大笑いまで笑いの耐えない舞台でした。昨年見た「噂の男」のようなブラックな笑いはあまりなく、あとくちは爽やかでしたね。
ただ、今回の舞台ですごく気になったのは役者の声。舞台で活躍している人と、テレビ出身であったり、舞台の場数を踏んでないという人との声の客席への届き方が、かなり違ったのですね。役者の技量の問題はともかく、音響でフォローしてもらわないと・・・。
それともう一つイチャモンを言うならば、主役である若旦那(佐藤アツヒロ)にもう少し色気が欲しかったです。上方落語に出てくる若旦那って、アホで道楽者でどうしようもないけれど、どことなく芸事に通じていて色気と洒落気があるんですが、佐藤の若旦那にはその辺がちょいと欠けておりました。あれではただのバカ旦那だよ・・・(涙)。大阪弁は頑張っていましたけどね。
まぁ、そんな訳で、前もっての期待が大きかった(大きすぎた?)分、総括すると七十点いくかいかないか、際どいところだなぁ・・・。
余談:
劇場を出る時、毎日放送の西アナウンサーと思しき男性が目の前におりまして、「西サンによく似てるなぁ・・・。」とじーっと凝視してしまいました。西サンは私の視線に気付いて、気まずそうな顔で視線をそらしていました。
西サン、失礼致しました(笑)。
出演:佐藤アツヒロ・高橋由美子・山内圭哉・松永玲子・小松利昌・出口結美子・桂吉坊・市川笑也・桂吉弥・升毅・松尾貴史
概略:地獄の閻魔の庁にて今まさに亡者の裁きが行われようとしている。ところで今日は先代閻魔の一千年忌。閻魔さんは大判振舞いで「面白い話をしたら極楽行き。」と言い出す。交渉の上手い亡者の一人が「極楽なんてせこい事言わんと、現世に戻したりなはれ。」と閻魔に掛け合い、その話がまとまる。そこへ現れたのが愛しい恋人・小糸を追いかけてやってきた薬屋の若旦那。二人で現世に戻るため、閻魔相手に百日前から始まったてんやわんやの大騒動を話し始める・・・。さてさて、小糸と若旦那は無事に現世に戻れるのか?!
・・・ま、そんな話です。
まず、何に心惹かれてこの芝居のチケットを購入したのか。それは「地獄八景亡者之戯」という上方落語の大作の一つをベースにしているというこの触れ込みにひっかかったのでした。私がかつて聴いたのは桂米朝の「地獄八景」ですが、絵本「地獄のそうべえ」と聞けば「ああ、あれ。」と思う人も多いのでは?
二時間くらいの長い話なんですが、地獄の情景をそれはそれは活き活きと表現しているメチャメチャ面白いお話しです。
で、今回の芝居はこの「地獄八景」をベースに、有名な上方落語の名セリフやら名場面をふんだんにちりばめて、小糸と若旦那の馴れ初めから、何故二人が地獄に来る事になったのかというどたばたの成り行きが描かれているのでした。
冒頭に松尾貴史が噺家に扮して出てきて「後に何にも残りません。」と言っていましたが、まさにケラケラ笑って始まって、ケラケラ笑って終る話でした。
そう。面白かったんです。面白かったんですが・・・!ここからイチャモンが始まる(笑)。
「地獄八景」ファンには非常に物足りない!なぜなら「地獄八景」の醍醐味である地獄の情景がほとんどないのです。三途の川を渡る件やお裁きを待つまでの地獄の生活(商店街があったり、劇場があったり)の描写が全くない。・・・これはいけませんよ~。地獄八景というからにはもうちょっと地獄の情景を描いて欲しかった。コレじゃ「地獄一景」だよ。
これはほとんど私の中ではマイナス三十点くらいのしくじりですね・・・。
役者陣は非常に多彩な顔ぶれで舞台役者・歌舞伎役者・噺家・タレントと、各種の人々でした。いずれも流暢な大阪弁(間違っても関西弁ではない)を使いこなし、上方落語の世界を自然に視覚化出来ていたように思います。時々現代的なセリフも入って、アドリブもポンポン入ってテンポがとても良かったです。結構舞台の上で遊んでるな~という感じもあって、くすぐりから大笑いまで笑いの耐えない舞台でした。昨年見た「噂の男」のようなブラックな笑いはあまりなく、あとくちは爽やかでしたね。
ただ、今回の舞台ですごく気になったのは役者の声。舞台で活躍している人と、テレビ出身であったり、舞台の場数を踏んでないという人との声の客席への届き方が、かなり違ったのですね。役者の技量の問題はともかく、音響でフォローしてもらわないと・・・。
それともう一つイチャモンを言うならば、主役である若旦那(佐藤アツヒロ)にもう少し色気が欲しかったです。上方落語に出てくる若旦那って、アホで道楽者でどうしようもないけれど、どことなく芸事に通じていて色気と洒落気があるんですが、佐藤の若旦那にはその辺がちょいと欠けておりました。あれではただのバカ旦那だよ・・・(涙)。大阪弁は頑張っていましたけどね。
まぁ、そんな訳で、前もっての期待が大きかった(大きすぎた?)分、総括すると七十点いくかいかないか、際どいところだなぁ・・・。
余談:
劇場を出る時、毎日放送の西アナウンサーと思しき男性が目の前におりまして、「西サンによく似てるなぁ・・・。」とじーっと凝視してしまいました。西サンは私の視線に気付いて、気まずそうな顔で視線をそらしていました。
西サン、失礼致しました(笑)。
この劇でもその描写が中心かと思いきや、そうでなかったのがおっしゃるとおり残念でしたね。
それと役者の声に言及されたのは感心しました。
聞き取りつらいのは2階席のせいかな、とも思っていたのですが、そうじゃなかったんですね。僕は松永玲子さんのファンなので、彼女のお芝居も期待していましたが、やはり舞台女優さんらしく声も通っていたし、存在感ありました。大阪出身だけあって上方言葉もしっくりでしたね。
佐藤さんの旦那ぶりはまさに同感です。たちきれ線香の若旦那はたしかにもっと「粋」ですもんね。ほんと鋭い的確な視点で見られていて感心いたしました。
また訪問させてください。
いらっしゃいませ。上方落語ファンの方にいらしてもらって光栄です~。
私も落語は大好きで(そんなに詳しい訳でもありませんが)、その中でも大好きな「地獄八景」だっただけに、文句が多くて(笑)。ちなみに「地獄八景」「七度狐」「貧乏花見」が私の中でのベスト3です。
舞台はとても好きで、機会があれば毎月でも行きたいのですが、如何せんお金と時間が・・・(涙)。
それでも何か見た時にはレビューを書いておりますので、またお越し下さい。
あ、勿論、その他のネタにもぜひお越し下さいませ。