古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

博物館実習の報告(初日)

2018年11月06日 | 学芸員
 10月30日から11月4日までの6日間、大阪府和泉市にある「和泉市いずみの国歴史館」にて博物館実習を受けてきました。先日の日曜日に6日間のカリキュラムが無事に終了しましたのでこの場で実習の様子を順に報告していこうと思います。今回は初日の様子をレポートします。

 初日の実習開始は11時だったので10:45頃に館に到着。「おはようございます。本日よりお世話になります。よろしくお願いします。」とまるで新入社員に戻ったような気持ちで事務室に入りました。ただ、10日ほど前の10月21日に実習受入れのお礼とご挨拶のために事前訪問していたので、それほど緊張することはありませんでした。

 11時少し前に私を指導いただく館長代理の白石さんからお声がかかり、いよいよ実習がスタート。まずはオリエンテーションです。6日間のカリキュラムの説明を受けました。事前訪問の際に伺っていた内容と少し変更があって「刀剣の取扱い」が加わっていました。この小さな歴史館で刀剣を所蔵しているんだ、と少しばかり驚くとともに、刀剣を取扱えることにドキドキとワクワクの気持ちが沸いてきました。2日目には発掘調査の見学が組まれていたのですが、発掘作業を体験させてくれるというのを伺って嬉しいやら申し訳ないやら。そして5日目の予定に入っている「自主企画展の発表」についての説明があり、テーマは何でもいいからこの博物館の展示室を使った展示を企画しなさい、というものでした。事前訪問でカリキュラムを拝見したときにすでに組まれていたので、少しずつ考え始めて情報収集をやりかけていたのですが、私が考えていたのはミニ展示のようなもの。それが広い展示室を全部使って、ということだったので完全に当てがはずれてしまいました。それ以降、昼食や休憩の時間、館への通勤や帰宅までの時間、帰宅してからの時間、ほとんどすべての時間をこの展示の企画と関連情報の収集、企画書作成に費やすことになりました。

 そんなこんなでカリキュラムの説明を聞いた後は、館内のバックヤードと展示室を案内していただきました。展示室はひとつしかなく、この期間は秋の特別展「時をかける文書(もんじょ)」を開催中で、残念ながら常設展を見ることができません。そうです、展示室がひとつしかないということは特別展や企画展があるたびに展示の入れ替えが発生するのです。これは学芸員さんにとっては大変なことだぞ、と思いました。

 午前の部が終わるとランチタイムです。すぐ近くに桃山学院大学があって、キャンパス内の学生生協やコンビニで弁当やおにぎりなどを買うことができます。初日は白石さんについて行って場所を教えてもらいました。これは便利だ。

 さて、この日の午後は「土器の洗浄」です。最初は大きくて丈夫な瓦の洗浄。タワシや大きなブラシでゴシゴシ擦っても大丈夫なので思い切ってできました。次は弥生土器の破片です。弥生土器は薄くてデリケートなので小さなブラシや筆を使います。ここで私の几帳面な性格が災いしました。こびりついた土をきれいに全部落さなければいけないと思い、ゴシゴシはしないけど、そーっと何度も丁寧に擦ります。土が落ちたかどうか親指の腹でさわって確かめます。けっきょく擦りすぎて土器の紋様が消えたり、土器の土が溶け出したり、しまいには小さな破片がひとつパキっと割れてしまいました。大切な出土遺物を壊してしまいました。本当に申し訳ありませんでした。白石さんが見かねてもう一度要領を教えてくれました。次からは大丈夫だと思います。洗い終わった土器片はカゴに並べて日陰で乾かします。この洗浄作業、小さな破片がいっぱいあれば慣れた方がやったとしてもそこそこ時間がかかりそうです。部屋の中には土器片の入ったコンテナが山積みになっています。コツコツ地道にやるしかないものの効率性も必要だなあ、と感じました。

 夕方になって土器洗浄を終え、事務室に戻って、和泉市教育委員会が小学生向けに実施している「文化芸術科学ふれあい体験事業」で使用されている「発掘調査へレッツゴー!」というスライドを見せていただきました。和泉市は遺跡が多く、池上曽根遺跡や和泉黄金塚古墳など全国的に知名度の高いものもあります。小さい頃から発掘調査を体験するなど、遺跡や遺物に触れて地域の歴史や文化を身近に感じてもらえるような取り組みを地道に積み重ねていくことで、それらを守り、次世代に受け継いでいくことの重要性や必要性を感じる人材が育ってくるのだと思います。

 以上が初日の実習内容です。社会人実習生でしかも不器用とあって、これは扱いにくいだろうなあと思うのですが、指導担当の白石さんは終始にこやかな笑顔で接してくれました。明日はいよいよ発掘現場です。


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