『ジュゴン裁判の経緯に学ぶ』
・ジュゴンがアメリカを訴えた
沖縄島の中央に位置する名護市の東部には、美しい遠浅の海に臨む、
のどかな集落があります。幹線道路から下って民家の間を抜けると、
そこはエメラルドグリーンに輝く海。ここが辺野古の海岸です。
この静かな海辺で異変が起きたのは、1997年のことでした。
普天間米軍基地の返還に伴う、周辺の海にすむ絶滅危惧種ジュゴンと、
地元の人々の暮らしを脅かす基地建設に、WWFまど自然保護団体や、
平和を願う多くの人々が声を上げました。
長く厳しい反対運動の始まりでした。
「ふるさとの海と、ジュゴンを守りたい」。長年にわたる署名運動や
国会への請願、そして現地での座り込みといった抗議が続く中、
司法の場で状況を打開しようとする動きが起きました。
2003年9月にアメリカで始まった「ジュゴン訴訟」です。
沖縄のジュゴンという原告の名において、日米の自然保護団体などが
構成した原告団が、基地計画の違法性を指摘、アメリカ国防総省と
国防長官を訴えたのです。この原告団には、沖縄の市民団体「ジュゴンの里」
代表の東恩納琢磨さんら、WWFとも協力してジュゴン保護に取り組む方々が
含まれています。
この原告団が指摘したのは「基地計画がジュゴンに及ぼす悪影響を及ぼす
可能性を考慮していないのは、アメリカの国家歴史保存法(National Hisutoric
Prevention Act;NHPA)に違反する」という点でした。
NHPAの402条は、政府の行為が貴重な文化財に影響を及ぼす場合は
事前に保護策を講じるように定めていますが、この「貴重な文化財」の
対象には、アメリカの「国家登録簿」と同格の法律で、海外の国々が保護している
文化財も含まれます。そこで原告団は「沖縄のジュゴンは日本の文化財保護法で
天然記念物に指定されているため、NHPAで保護する対象に含まれる」として
カルフォニア連邦地裁で提訴に踏み切ったのです。
提訴を受けたアメリカの国防総省は「日本の文化財保護法は国家登録簿と同等
ではない」「辺野古の基地建設計画は日本政府の主導によるもので、
アメリカ政府の行為ではない」などとして、訴状の却下を申し立てました。
しかし裁判所は、沖縄のジュゴンを日本の大切な財産と認め、HNPAの対象に
なると名言し、却下の申請を退けました。アメリカ国外における米軍基地建設にも
HNPAの適用を求めるという、これまでに例のない訴訟は、門前払いされることなく、
正式に裁判が開かれることになったのです。
この裁判の中で争点の一つになったのは、日本の環境影響評価(アセスメント)を
めぐる見解でした。アメリカ国防省は、ジュゴンの保護については
「日本が既に自国の法に基づいた環境アセスメントを行なっており、その調査結果を
アメリカ側が“考慮”すれば良い」と主張。しかし原告側は「現状の日本のアセスメントでは、基地建設がジュゴンと海草藻場に及ぼす影響について評価されておらず、
調査結果を待っていては手遅れになる」と反論し、国防総省が独自に
環境アセスメントを実施するように求めました。
そして、ついに判決の日を迎えた今年1月24日。サンフラシスコ連邦地裁の
マリリン・H・パテル判事は「現状の基地建設計画はNHPAに違反している」と認定。
国防総省に対し、90日以内に建設がジュゴンに与える影響を調査し、対応策を
まとめ報告するように命じました。また、報告の作成にあたっては、関係する市民や
組織、政府機関からも情報を収集することを指示しました。つまりアメリカ国防総省に対し、地元住民やNGOが、直接意見を伝えられる可能性が生まれたのです。
さらに裁判の過程で、日本では入手できなかった建設計画に関する重要な書類が
アメリカ側から開示されたことも、今回の訴状で得られた一つの成果でした。
これにより、日本政府が故意に伏せてきたとみられる、計画の推進に不利な事実も
明らかになったことで、基地容認派とされる現職の沖縄県知事も、現在の環境アセスメントでは不十分であると認め、防衛省に対し、アセスメントの「方法書」の
書き直しを要求しました。
今回の判決は、あくまで再調査命じたものであり、現在の基地計画が中止される
わけではありません。それでも、原告側の主張を認めた司法の判断は、
ジュゴン保護よりも基地建設を優先してきた日米両政府に、環境配慮に向けた
新たな課題を突きつけることになりました。(WWFマガジン)
すばらしいアメリカの司法制度。
国外のことだからとないがしろにせず、正当な判断を下した裁判官に
拍手を送りたいと思います。
それに、ひきかえ日本には法律の整備さえされていないようです。
日本政府の現状は、自分達の保身ばかりを謀り(言いすぎかしら)
とにかく、肝心な仕事の成果は見えてこない。
大事な自国の、貴重な生物を守る法律さえ作ることのできない政府。
自国の自然、文化などを守る・・原点に戻って欲しいと思う。
もう一度、日本という国を見つめなおし、これからの国づくりを
考えて欲しいと思うのです。
農業国として、自然の現象を神と結びつけ、自然を神と崇めていた国民性。
八百万の神々を大事にしてきた国は、美しい自然を守ってきた国であったはず。
・ジュゴンがアメリカを訴えた
沖縄島の中央に位置する名護市の東部には、美しい遠浅の海に臨む、
のどかな集落があります。幹線道路から下って民家の間を抜けると、
そこはエメラルドグリーンに輝く海。ここが辺野古の海岸です。
この静かな海辺で異変が起きたのは、1997年のことでした。
普天間米軍基地の返還に伴う、周辺の海にすむ絶滅危惧種ジュゴンと、
地元の人々の暮らしを脅かす基地建設に、WWFまど自然保護団体や、
平和を願う多くの人々が声を上げました。
長く厳しい反対運動の始まりでした。
「ふるさとの海と、ジュゴンを守りたい」。長年にわたる署名運動や
国会への請願、そして現地での座り込みといった抗議が続く中、
司法の場で状況を打開しようとする動きが起きました。
2003年9月にアメリカで始まった「ジュゴン訴訟」です。
沖縄のジュゴンという原告の名において、日米の自然保護団体などが
構成した原告団が、基地計画の違法性を指摘、アメリカ国防総省と
国防長官を訴えたのです。この原告団には、沖縄の市民団体「ジュゴンの里」
代表の東恩納琢磨さんら、WWFとも協力してジュゴン保護に取り組む方々が
含まれています。
この原告団が指摘したのは「基地計画がジュゴンに及ぼす悪影響を及ぼす
可能性を考慮していないのは、アメリカの国家歴史保存法(National Hisutoric
Prevention Act;NHPA)に違反する」という点でした。
NHPAの402条は、政府の行為が貴重な文化財に影響を及ぼす場合は
事前に保護策を講じるように定めていますが、この「貴重な文化財」の
対象には、アメリカの「国家登録簿」と同格の法律で、海外の国々が保護している
文化財も含まれます。そこで原告団は「沖縄のジュゴンは日本の文化財保護法で
天然記念物に指定されているため、NHPAで保護する対象に含まれる」として
カルフォニア連邦地裁で提訴に踏み切ったのです。
提訴を受けたアメリカの国防総省は「日本の文化財保護法は国家登録簿と同等
ではない」「辺野古の基地建設計画は日本政府の主導によるもので、
アメリカ政府の行為ではない」などとして、訴状の却下を申し立てました。
しかし裁判所は、沖縄のジュゴンを日本の大切な財産と認め、HNPAの対象に
なると名言し、却下の申請を退けました。アメリカ国外における米軍基地建設にも
HNPAの適用を求めるという、これまでに例のない訴訟は、門前払いされることなく、
正式に裁判が開かれることになったのです。
この裁判の中で争点の一つになったのは、日本の環境影響評価(アセスメント)を
めぐる見解でした。アメリカ国防省は、ジュゴンの保護については
「日本が既に自国の法に基づいた環境アセスメントを行なっており、その調査結果を
アメリカ側が“考慮”すれば良い」と主張。しかし原告側は「現状の日本のアセスメントでは、基地建設がジュゴンと海草藻場に及ぼす影響について評価されておらず、
調査結果を待っていては手遅れになる」と反論し、国防総省が独自に
環境アセスメントを実施するように求めました。
そして、ついに判決の日を迎えた今年1月24日。サンフラシスコ連邦地裁の
マリリン・H・パテル判事は「現状の基地建設計画はNHPAに違反している」と認定。
国防総省に対し、90日以内に建設がジュゴンに与える影響を調査し、対応策を
まとめ報告するように命じました。また、報告の作成にあたっては、関係する市民や
組織、政府機関からも情報を収集することを指示しました。つまりアメリカ国防総省に対し、地元住民やNGOが、直接意見を伝えられる可能性が生まれたのです。
さらに裁判の過程で、日本では入手できなかった建設計画に関する重要な書類が
アメリカ側から開示されたことも、今回の訴状で得られた一つの成果でした。
これにより、日本政府が故意に伏せてきたとみられる、計画の推進に不利な事実も
明らかになったことで、基地容認派とされる現職の沖縄県知事も、現在の環境アセスメントでは不十分であると認め、防衛省に対し、アセスメントの「方法書」の
書き直しを要求しました。
今回の判決は、あくまで再調査命じたものであり、現在の基地計画が中止される
わけではありません。それでも、原告側の主張を認めた司法の判断は、
ジュゴン保護よりも基地建設を優先してきた日米両政府に、環境配慮に向けた
新たな課題を突きつけることになりました。(WWFマガジン)
すばらしいアメリカの司法制度。
国外のことだからとないがしろにせず、正当な判断を下した裁判官に
拍手を送りたいと思います。
それに、ひきかえ日本には法律の整備さえされていないようです。
日本政府の現状は、自分達の保身ばかりを謀り(言いすぎかしら)
とにかく、肝心な仕事の成果は見えてこない。
大事な自国の、貴重な生物を守る法律さえ作ることのできない政府。
自国の自然、文化などを守る・・原点に戻って欲しいと思う。
もう一度、日本という国を見つめなおし、これからの国づくりを
考えて欲しいと思うのです。
農業国として、自然の現象を神と結びつけ、自然を神と崇めていた国民性。
八百万の神々を大事にしてきた国は、美しい自然を守ってきた国であったはず。