北斗の拳なわけじゃ。

バイクは、車輪がふたつ、前後に配置されている。停止時は足を付いて支えるものの、走行中は左右への支えがない。
このため、左右への力がタイヤのグリップなり脚力の限界を超えると、転倒する。
バイク乗りは、それを「コケる」と、なぜか関西風に言い慣わしている。停止中にぐらつくなどで脚力が負けてコケるのは、「立ちゴケ」。
いずれにしろ、微妙なバランスの上に成立している乗り物なので、転倒は宿命といえる。

コケれば、これが物凄く痛い。スピード出てなくても、大概は自分よりはるかに重い金属の塊が、脚の上に落ちてきたりするのだ。痛くないわけがない。
バイク乗りは誰しも、コケたくはない。コケたくてコケてるやつはいない。スタントマンだって、仕事でコケてるだけで、別にコケたいわけじゃなかろう。コケたくないけど、いつコケるかわかんない。それがバイクだ。
だから、少しでもコケたダメージを軽く済ますために、バイク乗りは装甲している。


装甲の一部。
ヘルメットは法的にも義務付けられているが、義務がなくても必要だろう。このようなフルフェイスのやつは、やや暑苦しいこともあるが、顔面をガードできるという大きな利点がある。最悪の事態になっても、顔が残る可能性がまあまあ高いので、本人の確認もしやすいかもしれないしな。
プロフィール写真でもかぶってるけど、俺のメットはオフロードタイプってやつで、シールドを外してゴーグルを使えるように開口部が大きくなっている。口ヒゲまで見えてるが、普通のフルフェイスならここまでは見えない。また、ゴーグルをつけたときや運動量の多いオフロードレース時の通気などにも対応するために、口の部分が大きく出っ張っている。おかげで、顔がウマヅラでも、顎がカバーできるのだ。これは助かる。
ジェット型とか呼ばれるオープンフェイスのメットで、衝突で飛んで、顔から着地してひどいことになったやつを目の前で見たことがあるので、俺は極力フルフェイスをかぶるようにしている。

上の写真にはグローブも写っているが、ごらんのとおり、北斗の拳のケンカグローブみたいなもんだ。
転倒したら、どうしても反射的に手が出る。そのとき素手だと、たいしたスピードじゃなくても、手は路面で大根をおろすように抉られていくに違いない。だからバイク用のグローブは、掌底とか関節といった、地に突きやすい箇所を中心に、ガードがなされているのだ。そして突きやすい箇所はケンカで使う箇所でもあるので、どうしても北斗っぽくなってしまうのだ。

他にも、ライディングジャケットやパンツには、関節や脊椎の部分にパッドが入っていたり、硬いガードが入っていたりする。
ブーツやシューズも然り。全身を鎧で固めるようなもので、重さもバカにならないし、見た目も激しくいかつくなる。
でもそこまで装甲を固めても、怪我はするのだ。バイクは危険、といわれるのは、けだし当然だろう。

それは、バイクの大小や、距離の長短にはまったく関係ない。だから、チョイ乗りでも、原付に乗ってても、コケるときはコケるのだ。
チョイ乗りでは支度も面倒だし、買い物にでも行くつもりならゴツいライダールックは抵抗もある。原付に乗るのには気合入りすぎでちょっとカッコ悪くもある。確かにそうなのだが、だからといって軽装で乗ったときに限って、コケたり事故ったりするものだ。
そんなときのためには、服の中に着けても目立たないような薄手のガード類もある。ガード性能はやや落ちるだろうけど、ないよりは遥かにましなので、俺はよく使っている。ライジャケでなくても、ジーンズでも乗れるからね。
大きなお世話ではあるが、特に女子は、顔は守ったほうがいいと思う。男だからいいって事ではないけどな。
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