老いの風景〔7〕「色欲」
市街に住むひとり暮らしの男性(85歳)の名は円山輪三郎
若いときは競輪三兄弟で知られた。
輪三郎の戦績は華やかものではなく、
地方大会で数度優勝した程度であった。
妻は苦労した
定年に近い長男は近くのマンションに住む。
仕事を終えてから長男はスーパーで惣菜などを買い、父親の家を訪れる。
在宅訪問のとき長男は、父親のことを話してくれた。
父とは同じ血が流れているが、半分は母の血もある。
女好きの父親。
競輪選手を引退した後
いま店舗は閉店されたが昔は地元の百貨店に勤めていた母。
母は黙々と仕事をしていた。母は何処へも出かけたことがなかった。
母を置いたまま父は、ハワイ旅行にも行っていた。
母は、家から出ることもなく、最後はうつ病になり寝たきりになった。
母を介護することもなく、父はダンス教室に足蹴く通っていた。
母が亡くなり、母の保険金で 父は、日本1週旅行は6回もしたのかな。
両親と自分が出かけのは、
つくば万博だけであり、後にも先にも1回だけだった。
昨日、かかりつけ医にかかったことも忘れ
薬も飲んだり飲まなかったり。
でもお酒だけは忘れずに、毎日飲んでいる。
お酒が入ると起きるものも面倒臭くなる。
緑内障は進み、目も不自由でありトイレに間にあわないこともある。
尿便失禁あり 便付着は下着やズボンにもみられてきた。
本人は宵越しの金は持たないと、いった調子で
お金はあるだけ使い
しげしげと通ってくる60歳近い女性にお金をあげたりしている。
女性が冷蔵庫やテレビが故障したと、いえば
預金をおろし、家電製品を買ってあげ、定期預金は残高なし。
そんな父を、息子は「見栄っ張り」と話す。
「女性にお金をあげるのは男の甲斐性だ。だから女は男の言うことを聞くのだ」
という考えはぼけていても失っていない。
デイサービスのスタッフに千円を渡そうとする。
(勿論受け取りはできない)
女好きは、若いときからであり
老いてもなお血気盛ん、聞くに堪えない卑猥な言葉を大きな声で話すから
他の利用者には、嫌がら嫌われても気がつかないのは当の本人だけである。
入浴介助中、昔でいう「トルコ」と勘違いし色欲を露わにする。
彼の場合、色欲は最後まで残る。またそれが「生きる力」なのかもしれない。
ダンスのときに着る衣裳は、黄、ピンク、赤、青、緑、紫の各色を所有し、
その衣裳を着てデイサービスに通う。
靴も衣裳に合わせた色靴がある。
長男は細かいことまで気にする性格、うつ病から心療内科受診中。
「自分も父親の血を流れているかと思うと心配になる」、と話されたときは、
「母親の方に似ているから大丈夫ですよ」と切り換え話すことも数度あった。
市街に住むひとり暮らしの男性(85歳)の名は円山輪三郎
若いときは競輪三兄弟で知られた。
輪三郎の戦績は華やかものではなく、
地方大会で数度優勝した程度であった。
妻は苦労した
定年に近い長男は近くのマンションに住む。
仕事を終えてから長男はスーパーで惣菜などを買い、父親の家を訪れる。
在宅訪問のとき長男は、父親のことを話してくれた。
父とは同じ血が流れているが、半分は母の血もある。
女好きの父親。
競輪選手を引退した後
いま店舗は閉店されたが昔は地元の百貨店に勤めていた母。
母は黙々と仕事をしていた。母は何処へも出かけたことがなかった。
母を置いたまま父は、ハワイ旅行にも行っていた。
母は、家から出ることもなく、最後はうつ病になり寝たきりになった。
母を介護することもなく、父はダンス教室に足蹴く通っていた。
母が亡くなり、母の保険金で 父は、日本1週旅行は6回もしたのかな。
両親と自分が出かけのは、
つくば万博だけであり、後にも先にも1回だけだった。
昨日、かかりつけ医にかかったことも忘れ
薬も飲んだり飲まなかったり。
でもお酒だけは忘れずに、毎日飲んでいる。
お酒が入ると起きるものも面倒臭くなる。
緑内障は進み、目も不自由でありトイレに間にあわないこともある。
尿便失禁あり 便付着は下着やズボンにもみられてきた。
本人は宵越しの金は持たないと、いった調子で
お金はあるだけ使い
しげしげと通ってくる60歳近い女性にお金をあげたりしている。
女性が冷蔵庫やテレビが故障したと、いえば
預金をおろし、家電製品を買ってあげ、定期預金は残高なし。
そんな父を、息子は「見栄っ張り」と話す。
「女性にお金をあげるのは男の甲斐性だ。だから女は男の言うことを聞くのだ」
という考えはぼけていても失っていない。
デイサービスのスタッフに千円を渡そうとする。
(勿論受け取りはできない)
女好きは、若いときからであり
老いてもなお血気盛ん、聞くに堪えない卑猥な言葉を大きな声で話すから
他の利用者には、嫌がら嫌われても気がつかないのは当の本人だけである。
入浴介助中、昔でいう「トルコ」と勘違いし色欲を露わにする。
彼の場合、色欲は最後まで残る。またそれが「生きる力」なのかもしれない。
ダンスのときに着る衣裳は、黄、ピンク、赤、青、緑、紫の各色を所有し、
その衣裳を着てデイサービスに通う。
靴も衣裳に合わせた色靴がある。
長男は細かいことまで気にする性格、うつ病から心療内科受診中。
「自分も父親の血を流れているかと思うと心配になる」、と話されたときは、
「母親の方に似ているから大丈夫ですよ」と切り換え話すことも数度あった。