富裕層が自らの資産運用のために設立する個人資産運用会社である「ファミリーオフィス」への規制強化論が強まっている。個人資産運用の延長線上として厳しく監視されてこなかったが、ヘッジファンドが手がけるような投機的取引を実施する抜け穴として利用されていることが明らかになったためだ。運用資産が膨らむにつれて、運用の失敗が金融システムを揺るがしかねないことも背景にある。貧富の格差拡大への関心が高まっているだけに、超富裕層による規模の大きな資産運用の情報開示や監視の強化のほか、銀行の富裕層向け業務への規制強化などの可能性が浮上してきた。(以下 小見出しと文末 原文をお読みください)
〇アルケゴスの運用失敗で注目
〇規制・監視が緩めだった「個人資産運用」
〇富裕層増加に伴う規模拡大で迫られた専門性
〇トランプ政権下の規制緩和で投機的取引しやすく
〇強まる規制強化論
米国のエリザベス・ウォーレン上院議員はツイッターへの投稿で「アルケゴスのメルトダウンは、危険な状況につながりかねない。監督者は金融システムへのリスクを回避しなければならない。われわれは次のヘッジファンドの破綻が経済を沈みこませないために、透明性の向上と監視の強化が必要だ」と指摘した。課題のある分野として、規制を逃れているヘッジファンド、不透明な金融派生商品取引、SECの規制執行をかいくぐるトレーダーなどを挙げている。欧米では、個人が投機的な運用で失敗しても、それは自己責任と考えられ、過度に規制することへの反対は根強い。ただ、すでに運用資産の規模が1000億ドルを超えるようなファミリーオフィスもあり、投機的な運用が失敗した場合に、金融システム動揺につながる恐れが強まっているのも事実だ。そうしたリスクの一端をうかがわせたアルケゴス問題が規制論を勢いづかせたのは間違いない。 (*日経記事より)写真:ウォーレン米上院議員は規制逃れによる金融システムへのリスクを危惧している=AP . . . 本文を読む