白黒一家

ネコ暮らし

日本一短い手紙 父へ

2007-01-24 22:19:53 | 憧れて
昨年の11月、作家の灰谷健次郎が亡くなった。
「兎の眼」「太陽の子」「ひとりぼっちの動物園」などの作品を残しているが
どれも動物や自然を題材にした題名がついていた。
それがとてもかわいらしく思え、
注目しだすようになった時には読書少女だった時代も遠く昔、
20歳を超えていた。
そんな灰谷健次郎の事をテレビ番組が数分間の特集を組んでいた。
何気なく観ていた私は、灰谷健次郎という人の心構えがどことなく
父を見たような気がした。
育ての親である実の兄を亡くしてから、途方に暮れ
自分がどうすればよいかわからなくなり旅をした灰谷健次郎。
そしてあるきっかけから死んだ人間は自分の中で生きていると
思えるようになる。
言葉にすると簡単だが、死んだ人間はそこで終わりではなく
自分の中で自分と同じように生きているのだと思う事は
凄く前向きなひらめきだと私は誰にも悟られぬように感動していた。

それから数日、日本一短い手紙父への優秀賞が発表された。
こちら
残念ながら、私と父はこの賞に参加する事は出来ないが、
心の中に生きている父はきっとこう返事するであろうと思う。

(往)「ちちへ」(生前私はこう呼んでいた)
おとうさん、淋しい想いさせてごめんやで。
(復)「○○○へ」(○には本名)
お前が元気やったらそれでええ。


(往)「ちちへ」
おとうさん、辛い時はどうすればええん?
(復)「○○○へ」(○には本名)
お前が辛い時は、お前の周りのもんはもっと辛いと思え。
お前が辛いなんていうのは、相手の方がもっともっと辛いんや


(往)「ちちへ」
おとうさん、弟がまた汚い言葉使うんやけど。
(復)「○○○へ」(○には本名)
おとうさんは嫌われたくないからお前がちゃんと言うてくれ。


(往)「ちちへ」
おとうさん、お金ないわ
(復)「○○○へ」(○には本名)
金は天下の周りものや


(往)「ちちへ」
おとうさん、ごめんやで
(復)「○○○へ」(○には本名)
お前も親になったらわかる


いくつか思い出したり、想像したりして書いてみた。
もし、弟がコレを読んだら笑って泣くかな。

死んでなお、人の心の中に生き続けるのはとても感動的だ。