よりみち散歩。

日々の暮らしのなかで心に浮かぶよしなしごとを、こじんまりとつぶやいています。お役立ち情報はありません。

サザエさんうちあけ話

2015年01月09日 | 読書


長谷川町子さんの自叙伝漫画を読み返す。

今回は、町子さんの母、貞子さんについて。

初読のときは「善行に一生懸命な敬虔なクリスチャン女性」と思っていた。
何せ子どもだったから。

しかし、今読み返すと「頼られて善行を行うのは大好き、
けれど頼み事は苦手」な女性だったのでは、という印象をもつ。

例えば、女学生だった町子さんを、田河水泡の弟子に、と頼む際、
付き添いは長女・鞠子(町子姉)さん。

洋子さん(町子妹)を菊池寛の弟子に、と頼むときも
使者にたったのは鞠子さん。

サザエさん2巻を本屋に置くよう一軒一軒まわったのも鞠子さん。
(このころは姉妹社の社長になっているから、役割かもしれない)

そして資金繰りが苦しい中、知人に「家を買ってくれ」とお願いされ
「そんな余裕はない」と鞠子さんが拒否しているところへ
善行大好き母・貞子さんが
「そこを何とかならないの!何とか!」と怒鳴りつける。

結果、要らない家を買うため奔走させられる、気の毒な鞠子さん。

貞子さんはいつも「いいとこどり」だ。
頭を下げるところ、泥をかぶるところ、稼ぐところはすべて娘に丸投げしている。



話が変わるが、私は『美味しんぼ』の栗田ゆう子が一時期苦手だった。

困った人をみると「何とかしてよ、山岡さん!」と怒鳴りつけ、
自分は何もせず、山岡さんが窮地を救うと「良かったわ」と
さも自分が功労をたてたようなドヤ顔をする。
(※ゆう子嬢は途中から自分でも行動するキャラになった)



話を戻すと、どうも貞子さんから、あの栗田ゆう子の匂いを感じてしまう。
そして、やはり善行は自分のお金と労力で行うべきだろう。

子孫に美田を残さないという発想は理解できるが、
子どものお金を親が奪いまくるのは、まったく共感できない。

使い道がオトコであろうと、恵まれない相手であろうと、
他者の稼ぎをつぎ込むのは感心しない。

貞子さんが近所のおばさんなら、とても頼れる良い人と思うが、
家族は苦労したろうなとしみじみ思う。

もちろん「町子さんの描く母親像」から想像するだけだから
実際とは異なる面もあるだろうが。


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