母親の様子が、朝からおかしい。
銀行通帳を見て、何か腑に落ちないところがあるらしいのだが
何がおかしいのか俺に説明できないようで、少々、錯乱しているようだった。
様子が気になったので
午前中、休むと勤め先には連絡を入れ
母親と一緒に銀行に行き、古い通帳やらを整理して帰宅。
母親に通帳を返し俺は勤めに出た。
ここまでが、正午頃のこと。
午後4時、俺のスマホに母親からの電話。
狼狽した様子で
通帳が、通帳が…おかしい、見当たらない…
引き出されたら困るので銀行に電話を入れるとあわてている様子。
なだめて電話を切る。
午後6時、帰宅すると、未だに通帳が見当たらないらしい。
俺は、昼間、通帳は返したじゃん。いつも仕舞っているところにあるんじゃないの?と
一緒になって、その場所を見ると、通帳があった。
その場所を探さないのも不思議。
で、「あんたに通帳を取られたと思った」と、変なことを言い出す始末。
これって、ボケの典型なんじゃないかしらん…。
話は続く。
ご御9時、夕飯後、自室でゆっくりしていると
母親があわてて、
「ちょっと眠ったら寝過ごしちゃった。夕飯が遅くなっちゃってごめん」と俺の部屋をのぞいた。
「へ?食ったじゃん?おかしいぞ?どうしたの?」と俺。
俺が言うと、夕飯を食ったことを思い出したらしく、
「ああ。私、頭がおかしくなっちゃった…どうしよう」と言って狼狽して泣き出す。
やばい。
いよいよかあ。
誰に相談したらいいんだろ…介護の担当者さん、か。
定年まで数年。
定年後の俺の残りの人生は、親の介護で終わるんだろうか。ため息。
でもまあ、ぼけても元気、これが最高だとは思うんだ。
頑張れ、お袋。頑張れ、俺、ってか。


