なんで俺は手話ができないんだろう。
できないのが悔しかった。
できれば、もっと話ができたのに。
一番最初に「俺は耳が聞こえない」という身振り。
それはフロアですれちがったときに、
ちらと見えた補聴器でわかっていたけれど、その言葉が最初。
まっすぐに俺を見ながら、話す俺の口元で言葉を読む。
俺も、それを真似てみるけれど、最初二文字くらいしかわかんなんくて。
君の言葉がなんにもわからない。
けど、君の言葉をわかりたい。
言葉は音だけではないんだよな。
次に会えたときには、手話で、「元気?」って言えるように覚えておこう。




