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はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

村上春樹 1Q84

2013年11月28日 | 読書


この4日間は、ひたすら”1Q84”を読み続けました。

素敵な恋愛小説です。
とても情熱的でピュアな恋愛小説です。
ファンタジーの要素も強く、ハードボイルドなトーンも有るのですが、こいつは、まぎれもなく恋愛小説です。
しかし、ピュアな恋愛を夢物語と考える人にとってはファンタジー小説のカテゴリーに入るのかも知れません。
しかし、私は、この作品を恋愛小説だとみなします。

もともと、村上春樹は、”羊”シリーズなどの、ファンタジーだかなんだか訳の分からないストーリー展開が得意でした。
しかし、この作品に限って言えば、ちゃんと訳の分かる、エンタメ小説です。
個人的には、最高に楽しい作品でした。

村上春樹は隠喩の巧みさで有名ですが、この作品でも至る所にそれが認められました。
ネタバレにはならないので一部アップしてみます。

演奏が終わった後の拍手を長く聞いていると、終わりのない火星の砂嵐に耳を澄ませているみたいな気持ちになる。

二年の歳月が彼の身体から多くの物を持ち去っていた。まるで収税吏が、貧しい家から情け容赦もなく家財道具を奪っていくみたいに。

また、ドストエフスキーを思い起こすような描写もあります。

意地の悪そうな老人が、頭の悪そうな雑種犬を散歩させていた。
頭の悪そうな女が、醜い軽自動車を運転していた。
醜い電柱が、空中に意地悪く電線を張り巡らせていた。
世界とは、「悲惨であること」と「喜びが欠如していること」との間のどこかに位置を定め、それぞれの形状を帯びていく小世界の、
限りのない集積によって成り立っているのだという事実を、窓の外のその風景は示唆していた。

読み終えての満足度は100点です。
これほどの長編小説は、ジャン・クリストフや、魅せられたる魂以来ですが、没頭することが出来ました。
しかし、没頭した分、仕事も、ブログも、ゴルフの練習も、何もかもが、はかどりませんでした。

ドライブ・マイ・カー  村上春樹

2013年11月08日 | 読書
たった今、文藝春秋の今月号に掲載されている上記短編小説を読み終わりました。
内容は村上春樹得意の、”コキュ(女房を寝取られた亭主)物”ですが、読後の満足感は100点です。

主役は推定60歳くらいの家福という中堅俳優です。
彼は仕事の行き帰りは、すべて自分で運転していました。
その彼の愛車が12年も乗り続けている、サーブ900コンバーティブルのマニュアルミッションです。
ボディーカラーは黄色ですが、おしゃれですよね。



家福はほろ酔い運転で事故を起こしてしまい、その時の視力検査で緑内障によるブラインドスポットが発見されてしまいます。
右後方からの車が見えないということで、事務所から運転を禁止されます。
そこで急遽運転手を雇うことになりますが、なじみの修理屋から紹介されたのは、みさきという24歳の女性でした。
みさきのミテクレは、身長165cmでがっしりとした体型、美人ではなく、化粧もせず、疑り深そうな瞳。
みさきのキャラは、ぶっきらぼうで、無口で、むやみに煙草を吸うが、運転のテクはプロ級というものでした。

以後、この物語でのみさきは、生来寡黙なはずの家福に、いつの間にか昔話を語らせるという役割に徹するのですが、
最後に女の立場として、女の習性を知る者として、素晴らしく簡潔なセリフをはくのですが、ネタバレになるのでアップしません。

村上春樹についてですが、若い頃に、”ノルウェイの森”の単行本を読みました。
そう、あの上下2巻で、深紅と深緑色のカッコイイ装丁のやつです。
しかし、内容については記憶に残る物ではありませんでした。
そして十数年前に、文庫本をまとめ買いして10冊くらい読みましたが、それほどの感動はありませんでした。
したがって、数年前に、”1Q84”がブームになった時もスルーしましたし、
先日出版された”色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年”にも無関心でした。
しかし、今は両方とも読んでみようという気になっています。

それから、忘れていましたが、村上春樹が影響を受けたというフィッツジェラルドのグレート・ギャッツビーも読んでみます。




軽井沢シンドロームSPROUT

2013年10月09日 | 読書






私は20歳の頃から30代半ばまで、漫画週刊誌を読んでいた時代がありました。
そして1982年から1985年にかけてビッグコミック・スピリッツに、”軽井沢シンドローム”が連載されました。
私も非常に楽しく読んだ記憶があります。
さて、最近、その続編である、”軽井沢シンドロームSPROUT”があるという情報をキャッチしたので、ネットで購入しました。

作者の、たがみよしひさ、は1958年生まれで、軽井沢高校を卒業後2年でプロ漫画家になっています。
ですから24歳から27歳の時に、”軽シン”を描いたことになります。
そして、”軽シンSPROUT”は2002年から2006年までの連載ですから、作者は当時44歳から48歳だったはずです。

”軽シンSPROUT”は、”軽シン”の20年後を描いています。
”軽シン”の登場人物が、皆、父親や母親となって登場し、主役は彼らの子供達です。

もともと、登場人物が多くて、ゴチャゴチャするようなストーリーでしたが、さらに家族の係累という問題が加わって
難解とも言える作品に仕上がっています。

私達の年代には結構、”軽シン”ファンが多いと思います。
そのような方々には、お薦め度90%です。

”軽シン”をご存じない方々には、お薦め度0%です。

ところで、私の妹も小学生の頃からコミックファンでした。
マーガレット、花と夢、セブンティーンなどのコミック誌を愛読していました。
しかし、17歳になった時に、妹は、”18歳になってセブンティーンを読むのはおかしいから止める。”と宣言しました。
それにもかかわらず、妹は、20代後半までセブンティーンを購読していたように記憶しています。

イングリ

2013年10月02日 | 読書


昨日に続いて、山口恵以子の作品を読んでみました。
実は、2冊まとめて購入していたのです。

これまた175cmを越すマッチョな美人である海堂桃子がヒロインです。イングリッド・バーグマン似で40歳ちょっとの金融業社長です。
しかしヒロインという単語は、この小説では不適切で、主人公と呼ぶべきでしょう。

狂言回し的な役柄を担う希(ノゾミ)は、25歳のパッとしない青年で、職業はオバチャン達相手のデリヘルホストです。
桃子という名前が自分に似合わないことを自覚している主人公は、希にそれを隠します。
そこで希はイングリッドを略して、主人公のことを胸の内では、”イングリ”と呼びます。

昨日は気づきませんでしたが、山口恵以子は推理小説作家なのですね。
月下上海でもトリックらしきものは出てきましたが、余りにもベタなものでしたので記憶に残りませんでした。
しかし、そうでなければ松本清張賞を受賞するはずも有りませんよね。

”イングリ”は7つの章にに分かれていて、いかにも連続テレビドラマ化されやすいような体裁です。
ストーリーや事件は、どれも現実離れしていて、推理小説というよりも、ファンタジー、お伽噺のようです。
もっと意地悪に評するならば、”少女漫画レベル”でしょうか。
推理小説のキモであるトリックも、どれ一つとして印象的なものは有りませんでした。

山口恵以子......もう、お腹いっぱいです。もういい.......

あとがきでは、この作品は、著者が更年期鬱でのスランプから脱出するきっかけになったことを以下のように述べています。
書きながら、調子の良かったときの感覚が蘇ってくる感じ、キャラクターが作者の予想を裏切って活躍を始める展開に、
喜びに震えたことをよく覚えています、


私は20歳の時に、倉橋由美子の、”わたしのなかのかれへ全エッセー集”を読みました。
言葉が言葉を繁殖すると称した、内容も、面白さも全く無い、ひどい作品でした。
なぜか、そのことを思い出してしまいました。

最近、名前を聞かないので検索してみると、倉橋由美子氏は2005年に69歳で死亡されていました。

月下上海

2013年10月01日 | 読書


最近売り出し中の山口恵以子の作品で、松本清張賞を受賞しています。
財閥令嬢で長身の美人、才気煥発で職業は画家という、スーパースター的な女性が主人公です。
舞台は昭和17年から終戦後までの上海です。
まあ、面白く読み終えることができたのですが、この作品をどのようなジャンルに入れるのか迷ってしまいます。
帯の宣伝には悲恋歌(エレジー)とありましたが、内容はかなり複雑です。
どの男性とのエレジーなのかも、よく分かりません。
ネタバレは避けますが、男と女が愛し合ったが結局は結ばれずに終わったなどという単純なストーリーではありません。

この作品の面白さは、ヒロインに与えられた魅力的なキャラクターにつきると思います。
理知的で意志が強く、正義感と公平さを持ち、自分の気持ちを客観的に分析できるという男性的なキャラと、
女としての、嫉妬や独占欲といった愚かなキャラがあいまっているのです。

写真は表紙のイラストですが、これで随分とイメージが作られて助かりました。
ヒロインが衣装を替えるたびに、その説明が何度も繰り返されるのですが、男性読者としては、いちいちイメージするのは面倒です。
和服以外は表紙のイラストを連想することで代用させていただきました。

作者は女性ですが、男尊女卑の傾向が見え隠れします。
ヒロインの女性的な魅力は、その美貌以外にはとくに強調されません。
性格的な女性らしさは、どちらかと言えばマイナス的な意味合いで表現されます。

また、作者は美男を好み、ブスを嫌います。
ヒロインの別れた夫はフランス女性とのハーフの美男子ですし、つきまとってくる憲兵隊員にいたっては、
美貌を隠すために、髪も髭もボサボサにして、ダサいメガネをかけているという設定です。
父親の後妻は宮家から嫁いできたのですが、その顔を、”べったらづけ”と表現します。
また、夫の浮気相手を、”焦げたジャガイモのコロッケみたい”と表現します。

お薦め度は80%くらいでしょうか.....

「うつ」は食べ物が原因だった!

2013年09月28日 | 読書


昨日読んだのですが、感動して今朝も読み直しました。
しかも、受験生のように、赤のボールペンで重要な部分にラインを入れながらです。

うつの原因を
1.低血糖症
2.鉄欠乏
3.亜鉛欠乏
4.ビタミンB群欠乏
5.蛋白質欠乏
に分類して症状、メカニズム、対策について分かりやすく記されています。
まさに、”目から鱗がとれた”様な状態で、勇気が湧いてきました。

2年前に、釜池豊秋先生の糖質制限の本に出会って自分の人生が、かなり変わりました。
ダイエットに成功しただけでは無く、精神的に安定して前向きになったのです。
以前は、時々、不機嫌な自分を抑えられないようになっていたし、長生きする自分を想像できませんでした。
最近は、いつも機嫌が良いし、東京オリンピックまでは生きていられそうな気がします。

この本も、また同じような力を与えてくれるかも知れません。
ここ数年来うつ病に関しては、治療の出口が見えずに、ギブアップ状態でした。
患者さん達が心療内科に走り、ベンゾジアゼピン系、3環系、4環系、あげくの果てにはSSRIを処方されて
次第に深みにはまって行くのを傍観するしか無かったからです。
拒食症に対しても同様でした。

4,5年前ですが、中学2年生の少女に出会いました。
彼女の母親が、私の娘は拒食症かも知れないとこぼしていたので、連れてこさせたのです。
身長こそ150cmくらいは有りそうでしたが、体重は30Kg有りません。
色白で目が大きく、人間には見えません。アニメ漫画の妖精のようでした。
彼女を見た瞬間に私は、”ヤバイッ”と思いました。
両親に生命の危険があることを伝えましたが、危機感を持たせることはできませんでした。
それでも無理矢理専門医を紹介して、彼女への治療が始まりました。
彼女の母親は、はせがわクリニックの常連さんでしたから、その子も時々一緒に顔を出すようになりました。
不登校が増えてきたからです。
傍目にも、その子への治療が、うまくいっていないことが見てとれました。
高校2年くらいまでは、時々見かけたのですが、その後、親も、その子もプッツリと来なくなりました。
症状が悪化したのではと心配していた矢先に、その子の死亡の報せが入りました。
結局、その子は大阪の専門医まで頼ったのですが、高校を卒業することも無く、17歳で人生を終えたのです。

当時の私に、この本の知識があったならば、結果は違う物になっていたかも知れないと思うと悔しくてなりません。

この本は、すべての医者が、とりわけ精神科医は、読む価値があると思います。
なぜならば、精神科医も出口の見えない治療に疲弊しているはずだからです。





永遠のゼロ

2013年08月21日 | 読書


百田尚樹の最初のヒット作とのことで読んでみました。
”海賊とよばれた男”を凌ぐエンタメ小説です。

ゼロ戦と呼ばれた戦闘機で神風特攻隊として戦死した男がいました。
男には妻と幼い娘がいました。
妻は再婚して夫と二人で娘を育てます。
その娘は成人して結婚し、長女と長男を産みます。
この物語は戦後60年経って、30歳になった、その孫娘が、ひょんなことから、戦死した祖父に興味を抱くところから始まります。
祖母からも殆ど話を聞いたことが無かったのです。余りにも戦死した祖父の情報が無さ過ぎるのです。
孫娘とその弟に、戦死した祖父のことを知っている人々を訪ねさせて、その思い出話をアップしていくことで、この小説は成り立っています。

構成もしっかりしているし、オチも意表をつかれるし、文句なく面白い作品です。
作者は、当然ながら太平洋戦争を綿密に調べ上げていて、日本軍の作戦失敗を次々と明らかにしていきます。
まあ、半分くらいは私でも耳にしたことがある作戦失敗ですが、百田尚樹はその失敗した理由について、持論を展開しています。
また、これも、彼の持論でしょうが、特攻隊の生き残り老人の口を借りて、新聞記者に対して、支那事変から5.15、2.26
真珠湾攻撃など、持続して国民の戦意を高揚させ、大本営発表をそのまま報道するだけの国賊ジャーナリストだったと非難します。

感動で涙がこぼれる部分が何度か出てきますので、涙をふいた直後のぼんやりとした目で読まねばならぬ状態を経験しました。

爪と目

2013年08月12日 | 読書
今年の芥川賞受賞作です。
はじめてあなたと関係を持った日、帰り際になって父は「きみとは結婚できない」と言った。
という文章で始まるのですが、これだけで、この二人称小説の語り部が、この父の娘であり、あなたというのは父の愛人であるということを、
即座に理解することができませんでした。
結局3ページ目の、父はもちろん、彼の一人娘のはなしを、わたしのはなしをしているのだった。
というくだりで理解するのですが、それまでは混乱した頭のまま、文章を読まされてしまいました。

読書の醍醐味は、なんとなくわかっているけれども、すっきりと説明することができないような心の動きを
クリアーな文章で表現されていることへの、”そう、そうなんだ!”という共感にあるそうです。

わたしが共感できた部分をアップしてみます。

あなたの容姿はは、取り立ててすぐれたものではなかった。
多少愛嬌があるといった程度だったが、男性の気を惹くにはあなたの持っているものだけでじゅうぶんだったし、
なによりもじゅうぶんだということをあなた自身がよく知っていた。
あなたには、男性が自分に向けるほんのほのかな性的関心も、鋭敏に感知する才能があった。
しかもそれを、取りこぼさずに拾い集める才能もあった。
植木にたかる羽虫を一匹一匹指先で潰すようなものだった。
あなたは手に入らないものを強く求めることはせず、手に入るものを淡々と、ただ、手に入るままに得ては手放した。
決して面倒くさがらず、また決して無駄な暴走をすることもなかった。
それがあなたの恋愛だった。


国内で、長く記憶されることになる天災が起こった。あなたはそのことをテレビの速報で知った。
被害の甚大さに動揺し、悲しむ同僚たちに混じって、あなたもまた動揺し、悲しみに暮れたが、ひとりになるたびにきれいに忘れた。
あなたは恐怖しなかった。
いつか、それが今ではないだけでいつか、自分の身にも同様の惨事が降り掛かるかもしれないと考えたことはあった、いいえ、
考えてさえいなかった。
それは同僚の誰かが言ったことだった。あなたは認めた、そのとおりだと言った。怖いと言った。言っただけだった。
恐怖はつるつるとあなたの表面を滑っていった。あなたは恐怖を指先でもてあそび、目もくれなかった。


この小説は、実の母親の突然死にともなって、後妻として入り込んできた女を、3歳の娘が冷ややかに観察して、
”あなた”という二人称を駆使して表現していくストーリーです。
ストーリー自体は、これといって怖い部分も、面白い部分も印象には残りません。
しかし、ここ数年の芥川賞の中ではイチオシです。
というか、私が芥川賞受賞作を推奨すること自体が珍しいような気がします。

海賊とよばれた男

2013年08月08日 | 読書


この2日間は読書に、はまってしまいました。
百田尚樹の作品を読むのは初めてでしたが面白いですね。
エンタメ小説としての完成度は非常に高いと思います。
基本的なトーンとしては、”意気に感ずる”ということでしょうか。
主人公の生き様、モットーに、多くの人物が惚れ込み、彼と人生をともにすることで、自分の人生を豊かなものにしていきます。

出光興産の創業者である出光佐三をモデルとした、ノンフィクションに近い作品です。
現在の神戸大学を卒業しながらも、小さな個人商店に就職し、丁稚として商売のノウハウを覚えようとすることから、
彼のキャリアはスタートします。
その後90歳を過ぎるまで、波瀾万丈の人生を歩むのですが、”士魂商才”すなわち、”武士の心を持って商いせよ”を座右の銘として生き抜きます。
珍しいことに、この作品には女性がほとんど登場しません。
最初の妻、ひいきにした芸者、二番目の妻が出てきますが、いずれも些細な脇役に過ぎません。
この作品は、あくまでも、男による男達のための物語なのです。
女性読者は感動できるのでしょうか?

カタカナ語

2013年07月04日 | 読書


最近、意味が分からないカタカナ語が増えて、いかにも時代から取り残されたような気持ちになっています。
これではいけないという思いから、上記を購入しました。

この本の良いところは、辞書的な訳ではなく、実践的な意味づけをもとにした、説明訳となっていることです。
例えば、”イノベーション”の直訳は”技術革新”ですが、この本では、”未来の常識になるかもしれない新しいアイデア”、となります。

私にとって、歯が立たなかったか、あるいは、何となく雰囲気は分かるけど、きちんと説明できなかったカタカナ語をいくつか紹介します。
ただし一度も耳にしたことが無いような単語は省きます。

プロパー : 生え抜きの社員。
アジェンダ : 話さなきゃ、やらなきゃならないこと。
スキーム : 実現に向けたカチッとした計画。
アカウンタビリティー : ちゃんと説明する義務。
インセンティブ : アメとムチのアメのほう。ご褒美。
エンタープライズ : 個人ではなくて会社、企業。
コンプライアンス : 「そろそろ会社も法律を守りましょう!」という新しい考え方。
ディベロップメント : 今よりもいい状況やモノを作り出すこと。
アライアンス : 仲間になること。
デフォルト : 何もしない、できない状態。金を返せない状態。
アルゴリズム : こうなったらこうする、という決まり。手順。

日本でしか通用しない和製英語も紹介されていましたので列記します。
スキンシップ : physical contact
ベビーカー : baby carriage
ガードマン : security guard
ハイウェイ : freeway
アフターサービス : after-sales service
グレードアップ : upgrade
コンセント : electrical outlet
オフィスレディー : 英語には無い


父子鷹

2013年06月28日 | 読書


私が中、高校生の頃、テレビで”オヤコ鷹”という連続時代劇ドラマが放送されました。
少年期の勝海舟とその父親である勝小吉が主役でした。
内容は覚えておりませんが、とても面白かった記憶があります。

この本の、”氷川清話”は勝海舟が、序盤では、その生い立ちや、幕末から明治維新までの活躍の自慢話を書いたものです。
中盤以降は、自分が接した多くの人物(50名以上)を上から目線で評価しています。
さらには、会ったこともない歴史上の人物まで評価しています。
実践的な行動力に優れていたことは確かでしょうが、自慢が鼻につきました。
ただ、江戸っ子のべらんめえ調の文章は、口語体で、楽しめました。

しかし、なんといっても面白かったのは、勝小吉の自伝である、”夢酔独言”です。
42歳になった小吉が ”男たるものは、決して俺がまねをばしないがいい。
孫やひ孫ができたらば、よくよくこの書物を見せて、身のいましめにするがいい。”
 という考えから著した自伝です。

6歳の時に旗本勝家の養子となり
7歳の時に他家の子供との喧嘩の罰として30日間座敷牢に入れられます。
13歳で最初の家出するも3ヶ月で帰宅。
20歳で再び家出し、帰宅後は座敷牢に2年以上入れられます。
柱に細工をして、いつでも脱走できる状態でありましたが、心機一転を計るため、あえて留まり、読書にふける毎日を過ごします。
その後、剣術や柔術の腕っぷしと、弁がたつことを活用して有名人になっていきます。
なんというか、清水の次郎長的な、頼りにされるし、世話も焼くという人物像が頭に浮かびます。
小吉と海舟に共通する才覚は経済に明るかった点です。
小吉は青年時代から刀剣の目利きとなり、売買で儲けていきます。
とにかく破天荒な少年が、そのまま大人になり、才覚を発揮していく様が正直に書かれていて、感動しました。

日向鈴子

2013年06月13日 | 読書


ミヤコ蝶々の本名は日向鈴子で、昨年、テレビの連続ドラマで、”鈴子の恋”として、その半生が放映されました。
私も、連ドラ予約で録画して楽しく視聴しました。
ミヤコ蝶々が南都雄二と二人で司会をするテレビ番組であった、”夫婦善哉”は私も子供の頃よく観ていました。
糖尿病の末期で、やせ衰えた南都雄二の姿も、よく覚えています。
”夫婦善哉”の放送は私が24歳の頃まで続いたようです。

ミヤコ蝶々は親の指導のもと、7歳で旅回り一座の座長となります。
小学校に通うことはできませんでしたので、蝶々はひらがなの読み書きがやっとで、漢字は読めませんでした。
後年、台本を読む必要に迫られた時には、弟子である鈴夫君に、”これ、何という字?”と何回も聞かねばなりませんでした。
それを見ていた周囲の人達が、鈴夫君の名前が、”ナントユウジ”かと勘違いしたことから、鈴夫君の芸名が南都雄二になった
そうなのです。

蝶々の母親は継母でした。
実の母親は離縁された後に再婚しますが、また離縁されたそうです。
そのことをふまえて、蝶々は以下のように書いています。
娘の私も、またしかり。いわば『捨てられ筋』とでもいいましょうか。あまり、いい筋とはいえません。が、なにかの因縁ごとだと思われます。
蝶々も最初の結婚相手の三遊亭柳枝にさんざん浮気されたあげくに離婚します。
そして二人目の夫となった南都雄二にもさんざん浮気をされ、女に子供ができたことから、離婚を余儀なくされます。
この時の南都雄二の言葉が秀逸でした。
「あんたは、捨てられっぷりのええ女や。男が安心して出て行ける。不思議な人やなァ・・・・・・・
そもそも女は、俺が捨てたら、この女、どうして生きて行くのやろ、と男がどことなく気になって捨てにくい、つまり、か細い女でなくては・・・・・・色気と女の憐れさがないなァ」



ソクラテスの弁明

2013年03月23日 | 読書


文藝春秋で田中美知太郎の訳が絶賛されていたのでネットで購入しました。
当然、旧仮名使いの旧漢字を予想していたのですが、送られてきたのは平易な現代語訳でした。
田中美知太郎と藤澤令夫の共訳みたいな体裁ですので、おそらくは田中の訳を藤澤が現代語訳にアレンジしたものかも知れません。

紀元前400年頃の話ですが、ソクラテスは、自分は無知であるがそのことをちゃんと自覚しているという、”無知の知”を根拠に、
各界の著名人達に討論を挑み、彼らがことごとく、”知らないのに知っていると勘違いしている。”ということを喝破していきます。
そのことで恨みを買い、”青年達に有害な説法を続けている。”ということで告訴された裁判でのソクラテスの弁明をプラトンが著した
作品です。
法廷には被害者の青年らしき者は一人もおらず、原告の姿もはっきりしないという、現代では考えられない、魔女狩りにも似た裁判です。

当時の裁判は500人の陪審員の多数決で、まずは、有罪か無罪かが決定されます。
ソクラテスは僅差で有罪となってしまいました。
次に、量刑ですが、原告側の主張と被告側の主張を陪審員の多数決で決定します。
原告側は死刑を主張しました。
陪審員もさすがに死刑はひどすぎると思っている者が多かったようですので、ソクラテス側は大金を払うとか、
国外追放だとかを主張するようにソクラテスに勧めます。
しかしソクラテスが主張したのは1ムナ(現代では数万円程度)の支払いだけだったのです。
陪審員達は侮辱されたような気持ちになり、ソクラテスははっきりとした差(340票対160票)で死刑と宣告されます。

当時の監獄は番人もユルユルで賄賂を使えば脱走も容易でしたので、友人達は手配しますが、ソクラテスは拒否を貫き通し毒杯をあおって死亡します。

人間にとっては、徳その他のことについて毎日談論するということが、まさに最大の善きことなのである。
これに反して、吟味の無い生活というものは人間の生きる生活では無い。


芥川賞

2013年02月08日 | 読書
今朝、文藝春秋の3月号が郵送されてきました。
すぐに、今年の芥川賞を受賞した黒田夏子の、”abさんご”を読み始めました。
”受像者”を始めとして15の短編を集めたものです。
読み始めてすぐに、読むのに難渋する作品であることが分かりました。
冒頭の書き出し部分をアップしてみます。

aというがっこうとbというがっこうのどちらにいくのかと、会うおとなたちのくちぐちにきいた百にちほどがあったが、
きかれた小児はちょうどその町を離れていくところだったから、aにもbにもついにむえんだった。


これは小説というよりも、実験的な散文詩の寄せ集めのように思えます。
確かに日本語の柔らかさは感じられますが、読み疲れがたまっていきます。
頭の中でひらがなを漢字に変換して、高校時代の古典文学の解読を強制されるからです。
面白さを感じることもなく、半分でギブアップしてしまいました。

今日は日本中で文藝春秋を手にした人々が苦しんだことだろうと思います。


64

2013年01月26日 | 読書


妹の友達である、”セタのマリー”さんが昨年末の、”僕の死に方”の書評に対するコメントで、”64よりも面白かった”とコメントされていました。
64をネット検索してみると、昨年ブレイクした警察小説でした。
推理小説や探偵物は殆ど読んだ経験が無いのですが、何かの縁だと考えて購入しました。

内容はネタバレを回避するためにアップできませんが、退屈することなく読了できました。
読後に感じたのは、組織の一員として働いていくことの厳しさでした。
警察という組織の中にもセクショナリズムが存在し、出世欲もからんで、様々な人間関係と駆け引きとが、あざなう縄のようにもつれあっていきます。
私が一番苦手な世界です。
つくづく個人商店主で良かったと思いました。