はせがわクリニック奮闘記

糖質制限、湿潤療法で奮闘中です。
パーキンソン病にはグルタチオン点滴を
癌には高濃度ビタミンC点滴も施行中です。

大酒飲みの低リン血症?

2020年04月26日 | 医学
最近の私の採血結果ですが、初めてリン(P)を調べてみました。



なんと、低リン血症であることが判明しました。
一般内科医がリンを調べることは稀です。
透析中の患者、くる病などの骨代謝異常の患者などでしか調べません。
ところがリンは
様々な疾患で低下するようなのです。

列記すれば
アルコール依存症
重度熱傷
副甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
ビタミンD欠乏症
アルサルミン(制酸剤)の長期内服などです。

今後チェックしていく予定ですが、私の場合はアルコールが最も疑われます。
とりあえずはリン製剤の内服を開始しました。

さて、糖質制限ですが厳格に実行しているようで



相変わらずケトジェニックな代謝を維持しています。

特筆すべきはインスリンがほとんど分泌されていない点で、1型糖尿病が疑われるような低値です。
追加インスリンを出さずに済むような糖質制限を続けている証拠でしょう。




PCR検査をあきらめろだと?

2020年03月09日 | 医学
今朝、このようなポスターが郵送されて来ました。



院内に掲示せよとのことです。
当院ではPCR検査はできません。 という日本語は
あたかも、院長が患者さんたちに、”できないよ” と宣言しているようにも見えますよね。
まあ、それがオカミの狙いなのでしょうが.。
” 町医者がしゃしゃり出るな。PCR検査をするかどうかは、患者本人との直接電話でオカミが決める。” ということなのでしょう。

熊本県は一日にPCR検査を70件こなす能力を持っているそうですが、2月27日までに実地された検査数は117件にすぎないそうです。
何故保健所はPCR検査に消極的なのでしょうか?
検査を増やせば陽性者は確実に増えると推測されますが、そのことを嫌がるオカミに対しての忖度なのでしょうか?

肺炎は最近でも毎年12万人くらいの死亡者を生み出しています。
冬場に増える傾向がありますので、この2月一か月間で1万人以上の方々が肺炎で亡くなられたはずです。
その中でコロナ肺炎の死亡者は6人だけだったのでしょうか?
亡くなられた患者さんでも疑わしい症例はPCR検査を施行するべきではないでしょうか。
まあ、保健所が検査を承諾することは無いでしょうが....
病院側としても、普通の肺炎で死亡したとするほうが、面倒を避けられるので、あえて検査をしないでしょうが.....

現在、PCR検査を施行する条件は、当初から変わっていません。
中国への渡航歴、渡航してきた中国人との接触、罹患者との接触などと、37.5度以上の熱が4日間続いたときなどです。
最近ではライブハウスなどに見られた、発生源が不明の、人から人への感染が主流になってきています。
弾力的に条件を変更して検査数を増やすべきではないでしょうか。

一介の町医者である私のたわごと提案は
PCR検査実施の基本条件を以下の3項目とすることです。
① CRP(炎症反応)が高いこと。
② 白血球が増加していないこと。(増加した場合はウィルスよりも細菌が犯人である可能性が高い)
➂ インフルエンザ判定が陰性であること。
以上を満たした患者さんに対しては、私は保健所にPCR検査を依頼していくつもりです。

ポスターには予めご了承ください。と書いてあります。
”先に言っとくから、後でゴチャゴチャ言うなよ!” という意味でしょうが、以下のように書き換えるべきです。
あきらめてください。

脳梗塞と脊髄損傷麻痺の奇跡的な治療法

2019年05月10日 | 医学
今月号の文藝春秋に掲載されました。

札幌医大の本望修先生が平成7年ごろにスタートさせた研究です。
この研究については、このブログで平成13年の8月5日にアップしました。
当時のスタディーは、脳梗塞後遺症を患う12人の患者さんたちを対象に実施されました。
この12人は、すべてが発症後1か月半以上も経過した方々でした。
つまり、リハビリ効果が頭打ちになってきたタイミングで施行されたのですが、かなりの改善が観察されたのです。
私は当時のブログを、
” 発症後まもなくに、この治療が施されたとしたら、どうなるのかと、想像するだけでワクワクします。” 
と締めくくっています。

その後も旭川医大のニュースには、ずっとアンテナを張っていたのですが、ネットに取り上げられることはありませんでした。

しかし、研究と治験は着々と続けられていたようです。

具体的な治療のプロセスは
1.患者さんの腰骨(腸骨)の脊髄液を注射器で数十CC採取する。
2.脊髄液から間葉系幹細胞 MSC(Mesenchymal Stem Cells)を取り出す。
3.MSC を一万倍に培養する。
4.患者さんに点滴静注する。
というものです。

MSC は損傷した神経のあたりに集まる性質があります。(この性質は全く予測されていませんでした。)
1.集まって、まずは神経栄養因子というタンパク質を多種類分泌します。
2.神経細胞には、刀に例えれば鞘にあたる髄鞘があり、これが神経伝達速度を飛躍的にアップさせます。
  MSC は壊れた髄鞘を修復します。
3.MSC は並行して存在している一方が損傷したときに、損傷していない方の神経から支線を出して修復します。
4.MSC は左右の脳をつなげる脳梁の神経を増やします。

今年の2月に MSC の点滴ボトルが厚生省に認可されました。
商品名はステミラック注で薬価は1500万円です。
毎年様々な事故で脊損患者が5000人くらい出るそうです。
脊損で寝たきりの患者さんたちが、毎年数百万円の治療費を発生させていくであろう人生を、
自分で働いて生活していく人生に変えられるならば、高すぎる薬価ではないように思えますし、薬価は下がっていくはずです。


5月から脊髄損傷(脊損)患者さんへの治療がスタートしました。
条件は、発症後2週間以内であることと、他に病気が無いことです。
問題点は患者さんをどのようにして旭川に負担なく運ぶのかということのようです。

MSC は他の神経変性疾患、たとえばALS、アルツハイマー、パーキンソンなどへの効果も有望視されています。

夢のような話ですよね。
日本の片田舎の大学教授が思いついたこの治療法が、やがては世界中のスタンダードとなることでしょう。

ノーベル賞が確実だとは言いすぎでしょうか?


塩分について再び

2018年07月28日 | 医学
暑さにもめげずにゴルフに通っていますが、先々週に水分を補給し続けているにも関わらず口渇が治まらないという経験をしました。
そこで先週は、” 伯方の塩 ” を持参して、舐めながらラウンドしたのですが、効果はてき面で、もりもりと元気が出てきました。


さて、昨夜は久し振りにT君とホテル日航で開催された武田薬品の勉強会に出席しました。
二貝さんの、” Prisoner ” から、” ガウディ ” へとハシゴしたのですが、
T君が言うにはポカリスエットにもアクエリアスにも塩分は1gも入っていないらしいのです。

で、今日、ネットで検索してみました。
すると、たしかに、500ml中に、ポカリには0.6g アクエリにはせいぜい0.42gしか塩分が入っていませんでした。
これでは焼け石に水ですよね。
そこで伯方の塩3gを500mlの水で溶かして飲んでみました。
飲めないことはないのですが完全に塩水ですので、全部を飲み干すのは無理でした。

では、OS1(オーエスワン) はどうかといえば、ネットでは成分をゲットできませんでした。
美しくて立派な公式サイトがいくつかあるのですが、真っ先に紹介されるべき成分が、何故かすべてスルーされていました。
仕方なく実物を購入してみました。




500ml中に塩分は1.46g入っているようです。
この塩分濃度が、みんなが飲める限界かもしれません。


しかし、にがり(ミネラル)が入った塩を舐めながら水やお茶を飲むほうが効率が良いと思います。
さらに、OS1には炭水化物こそ12.5gですが、悪名高き人工甘味料であるスクラロースが入っているのです。

塩分については2016年の1月27日に、(医学)のカテゴリーにてアップしているので、ご参照下さい。




高インスリン療法が合併症を作る

2017年08月19日 | 医学


私が糖質制限を始めて6年以上が経過しました。
その間、様々な本やサイトで知識を増やしてきました。

しかし、この本の著者である新井圭輔先生は新しい説を唱えておられます。
それは、高インスリンが糖尿病の合併症の原因であるということです。
これまでは、高血糖状態の持続が合併症の原因とされていたのです。

まだ仮説に過ぎないのかも知れませんが、この考え方で説明できることもあるのです。

一例としては眼科医の深作秀治先生の話があります。
”眼科で糖尿病が発見させることはめずらしくないのですが、そうした患者さんたちを糖尿病専門医に紹介すると
2週間後には網膜症が悪化してしまう。そこで私は急激に血糖値を下げないようにお願いしている。”

深作先生はインスリン治療によって血糖値の乱高下ひどくなり網膜症が増悪すると考えておられます。
私たちが受けてきた教育では高血糖が持続することが毛細血管を障害するというものでした。
発見されるまでは糖尿病患者の平均血糖値(ヘモグロビンA1C)は高かったのでしょうが、
いわゆる高止まりで血糖値の乱高下は少なく、それなりに安定していたのかも知れません。

ところが新井先生はさらに踏み込んで
インスリンは人体にとって毒であり、それが老化の促進、ひいては合併症につながる臓器障害にも結び付いている
と述べておられます。

現在の糖尿病治療を私たちは、”毒を食べさせて解毒剤を与えるような治療だ ”と非難してきました。
しかし、新井先生の仮説が事実だとすれば、”毒を食べさせた患者さんに、さらに毒を盛るような治療 ”だったのかも知れません。

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった

2017年08月17日 | 医学


日本人では閉経前の女性のほとんどが鉄不足に陥っているのだそうです。

鉄が欠乏すると真っ先に連想されるのは貧血ですが、それだけではなかったのです。
鉄は幸せホルモンであるセロトニンや満足ホルモンドーパミンが産生されるときの補因子です。
鉄不足はセロトニンやドーパミンの減少を招き精神疾患のリスクを高めます。
さらには根本的なエネルギー不足を惹起します。
ちょっと難しいけど、エネルギー産生についてざっとアップしてみます。

私たちは食事によって活動するエネルギーを得ています。
このエネルギーの元がATP(アデノシン3リン酸)でエネルギーの通貨とも呼ばれます。
ATPからリン酸が1個ずつ切り離されてアデノシン2リン酸やアデノシン1リン酸に変化するときにエネルギーが発生するのです。

では、エネルギー通貨であるATPを私たちはどうやって作っているのでしょうか?

まずはブドウ糖を原料とした場合を考えてみます。2段階にわたってATPが産生されます。

① 嫌気性解糖
   ブドウ糖がピルビン酸に変化します。この時にATP2個が産生されます。
   
② 好気性代謝
   ピルビン酸はビタミンB群やパントテン酸、αリポ酸によってアセチルCoAとなってミトコンドリアに入ります。
   アセチルCoAは鉄やビタミンB群、Mgの補因子によってクエン酸回路を回ります。
   その後、鉄とO2が介在して電子伝達系に入りATP36個が産生されます。

次に脂肪酸を原料としてみます
   脂肪酸はビタミンB群やパントテン酸、αリポ酸によってアセチルCoAとなってミトコンドリアに入ります。
   その後は好気性代謝と同じですが産生されるATPの数は脂肪酸の長さによって変わります。
   たとえば炭素数が16のパルミチン酸の場合はATP129個が産生されます。

つまり、鉄やMgやビタミンが不足するとクエン酸回路に入れなくなってしまいエネルギー不足になります。
そうなると、鉄もビタミンも必要としない嫌気性解糖に頼るしかなくなります。
代謝産物のピルビン酸はミトコンドリアで燃やされずに乳酸に変化していきます。
この乳酸の蓄積が様々な症状を発現します。

以上のような理由で起こる鉄不足の症状を列記すれば
イライラ、集中力低下、神経過敏、立ちくらみ、めまい、耳鳴り、偏頭痛、節々の痛み、腰痛、喉が詰まる
冷え性、易疲労、朝起きれない、皮下出血、コラーゲン劣化、ニキビ肌荒れ、不妊、睡眠障害、うつ、パニック
むずむず足症候群、氷を食べたがる、などです。

さて、鉄はフェリチンの形で肝臓を中心とした体内で貯金されます。
正常値は測定方法によっても違いますが、日本人女性では10から120くらいとされています。
これは外国と比べると異常です。
欧米ではフェリチンが40未満の女性は妊娠しないように指導されるそうです。
この本の著者はフェリチンは100以上を目指すべきだと主張します。

ところで、外国では鉄不足は珍しいのだそうです。
欧米では小麦に鉄を混ぜています。
フィリピンでは米に、中国では醤油に、東南アジアではナンプラーに鉄を混ぜているそうです。
日本政府は何もしません。
さらにアメリカから輸入される小麦には鉄は入っていません。

日本では女のお子さんは初潮が始まるまでは大丈夫ですが、始まると2年くらいでフェリチンが低値になります。
このことが思春期の立ちくらみや不登校、いじめや自殺の原因になっているかもしれません。

特に悲惨なのは出産後の女性です。
子供にフェリチンを50くらい持って行かれます。
鉄不足は母乳にも反映されますので、子供の鉄不足も心配されます。

この本の最後のほうで作者は次のように述べています。

医師は「病気」を勉強しているのであって「健康」について勉強しているのではない。
医師は「どうすれば健康でいられるか」ということを指導するための教育は受けていない。

深作秀春・視力を失わない生き方

2016年12月18日 | 医学


深作先生の新刊です。

前作に引き続き現在の日本眼科学会を痛烈に非難しており、大学病院の実態を研修病院に過ぎないと切り捨てています。

糖質制限を認めようとしない糖尿病学会、
湿潤治療を認めない形成外科学会、
既往歴がない高齢者に対しても140以下の血圧を推奨する学会、
依然としてコレステロール悪者説にしがみついてスタチンを投与し続ける医者、
医者が医者を信用できない世の中になってきました。

眼科学会よ、おまえもか、というところでしょうか。

話は変わりますが、最近安倍首相がプーチンと会談しました。
平和条約を締結して、経済協力を餌に、あわよくば北方領土を返還させようという作戦でしょう。

私は昔から不思議でなりません。
なぜ、日本人はロシアに対して、 ” 恨み言 ” を言わないのでしょう。
終戦間際になって一方的に日ソ不可侵条約を破棄して中国の日本軍、日本人に襲いかかり
抑留した日本人にシベリアで過酷な強制労働を強いて、数十万人を死亡させたのです。
そして北方4島を火事場泥棒みたいにかすめ取ったのです。

パールハーバー、南京事件、慰安婦問題など、各国は何のためらいも無く日本に対して恨み言を口にします。
私たちは敗戦国として恨み言が言えないような教育を受けてきたのでしょうか。

火事場泥棒のロシアといまさら平和条約を結ぶことに、何の意味があるのでしょうか。
シベリアで殺された抑留者の遺族や、北方4島を追い出された島民はどう思うでしょうか。
最低限、ロシアは、日ソ不可侵条約の破棄とシベリア抑留を謝罪して、北方領土を返すべきでしょう。
平和条約を締結するのはそれからでしょう。

ロシアが北方領土を返還する可能性は無いと思います。
歴史的にも国境が動くのは戦争によってだけなのです。

安倍首相自身は、本気で返してもらえると思っているのでしょうか?

誰の詩だったかは忘れましたが、
” 間抜けなロバが夢を見た ” を思い出しました。

( グーグルで検索したところ
三好達治の ” 駱駝の瘤にまたがって ” という詩でした。
間抜けな驢馬が夢を見た という一文が出ています。 )

アルダーマン 塩分

2016年01月27日 | 医学
昔は ( 今でもそうですが ) " 塩分の摂りすぎは高血圧を招くのでダメだよ。 "
" 塩分は1日10g以下に抑えましょうね。 " と、医者も、看護婦も、栄養士も、みんなして減塩指導をしていた時代がありました。

それは、1960年にある学者が発表したグラフが出発点でした。



それ以後、塩分摂取と血圧の相関関係について、様々なスタディーが施行されました。
しかし、すんなりとは相関関係が実証されなかったのです。
そこで、" 塩分感受性 " という概念が導入されました。
つまり、体質的に血圧が塩分に影響される人と、そうでない人がいるという説です。
このことが、スタディーでの塩分摂取量と血圧の相関関係が単純に示されないことの要因の一つだとされました。
その後、日本人で塩分感受性を持っているのは30%以下であるだろうというデータも出てきました。
それなのに、日本人全体に高血圧を回避するための減塩を指導するのは、おかしな話ですよね。
塩分摂取量と血圧の相関関係について決着がつくことは無さそうですが有名なスタディーをアップしておきます。

1988年の国際共同調査であるインター・ソルト スタディーです。
32か国1万人について調査した結果、はっきりとした関係は認められませんでした。

さらに、アメリカで高血圧学会の最高賞と言われるチバ賞を受賞された故・青木久三博士は次のように警告しています。
ビタミンの欠乏は特定の病気を引き起こすだけだが、塩の欠乏は命を奪う。
日本人の高血圧症の98%以上は塩は関係ない。
腎臓やホルモン、血管、血液の問題だ。
大多数の日本人にとって減塩は意味がなく、危険のほうが大きい。


振り返ってみれば、高血圧の90%は本態性(原因不明のときに付ける業界用語です。) でした。
あとは、腎性高血圧、腫瘍が原因の高血圧などがありますが、塩分性高血圧なんて聞いたこともありませんよね。
高血圧の患者を発見した時に、真っ先に減塩指導だけで経過をみられる医者は存在するのでしょうか?
もしも存在したとして、成功を収めていられるのでしょうか?

さて、話は血圧から離れますが、20世紀の終盤にアメリカのアルダーマン博士が塩分悪者説に異議を唱えました。
20万人を対象として20年間も追跡したスタディーを英国の一流医学誌であるランセットに投稿したのです。
対象者を毎日の塩分摂取量により4つのグループに分類して死亡率を計算したのです。
結果は、負の相関関係でした。
すなわち、塩分摂取量が少ないほど早死にで、多いほど長生きするという結果だったのです。

この結果をもとにして、Emma Ros がレポートを発表しました。

(1) 20万人のアメリカ人を対象とした
20年間にわたる疫学調査の結果
減塩は死亡率の上昇をもたらした。
(2) 毎日の食塩摂取量を1g増量することが
死亡率を10%縮小させることに結びつけられた。
(3)調査は、血圧、コレステロール、年齢性別、微量ミネラルの欠損、
さらには、経済的な地位など、多元的な要因にわたって実施された。
(4) 以前の合衆国厚生省による調査は
塩の消費量の設定が、あまりにも不正確であった。
(5) アルダーマン博士は塩分摂取と心疾患の因果関係を血圧だけに焦点を絞れば失敗するだろうと言った。
(6) 減塩によって、血管を締め付けて心臓発作を引き起こすホルモンが増加する。
(7) 減塩はインシュリン抵抗と神経性ストレスを増やす。
(8) 合衆国政府は減塩運動を、しばらく見合わせるべきだ。


このレポートは欧米では広く報道され物議を醸したのですが
不思議なことに日本のマスコミは、足並みを揃えて、みごとにスルーしました。

興味がある方は、" アルダーマン 塩分 " でグーグル検索をかけて下さい。

アルダーマン博士の以下の言葉が耳に残りました。

" 先進諸国では日本人の塩分摂取量が最も多い。
しかし日本人の平均寿命は世界一長い。
このことを君たちは、どう解釈するのかね? "


私ですか? 減塩を実践したことも、指導したこともありません。
というか、私自身は毎日大量の塩分を摂取しています。
大酒飲みですので、細胞内脱水が毎朝繰り返されます。
水分補給をしてもナトリウムが無いと水分が細胞膜を突破できません。
いきおい、たっぷりと出汁と味噌を叩きこんだ味噌汁で一日をスタートさせます。
昼食のケンタッキー・フライド・チキンも塩分が多いらしく、一時間後に口渇が出現します。
夜は、毎日、たっぷりのわさび醤油で刺身を食べます。
ピーナツも、わざわざ塩をつけて食べることさえあります。

それでも、昨日血圧を測ってもらったところ、140の90でした。
学会のお偉方や、薬品メーカーから見れば、これでも高血圧なのかもしれませんが、相手にする気は、さらさらありません。



NNT: その治療が、何人に一人、恩恵を与えるのか

2015年07月09日 | 医学


Number Needed Treatment とは一人の死亡や病気の発症を防ぐために、何人がその治療を受ける必要があるかを示した数字です。

例えば無作為に振り分けられた100人ずつの2つのグループを追跡調査していくのですが、
Aグループには治療薬を投与し、Bグループにはプラセボ( 偽薬 ) を投与するのです。
10年後にAグループで5人が発症し、Bグループでは10人が発症したとしますと、
その薬は100人中5人の発症を阻止したことになります。
このことはその薬を20人が飲んだならば1人が恩恵に与るということを意味します。
これをNNT20と表記するのです。

したがってNNTが大きくなればなるほど、その薬はオバカだということになるわけですが、
ネットでNNTを検索すると、アメリカには、そういうサイトがあって、公表されているのです。
そのサイトで公表されているオバカな薬や治療法を紹介します。

既往歴の無い軽度高血圧患者(収縮期140~159、拡張期90~99)への降圧剤投与 : NNTなし

既往歴の無い人たちへの脳卒中と心臓病予防のためのアスピリン投与......
........致死的では無い心臓病の予防 : NNT2000、
........致死的では無い脳卒中の予防 : NNT3000

既往歴の無い人たちへの心臓病と脳卒中予防のためのスタチン(コレステ薬)投与....
........心臓発作の予防 : NNT104
........脳卒中の予防 : NNT154
(さらに、最近ではスタチンの副作用として、糖尿病発症のリスクが高まる、癌の発生率が高まる、記憶力低下と認知症、筋力低下、うつ傾向、テストステロンの低下によるEDなどが指摘されています。)

骨折の予防のためのビタミンD投与 : NNTなし、そして腎結石と腎機能低下リスクが1/36

大人の急性気管支炎に対する抗生剤の投与 : NNTなし、ただし咳が無くなるNNTは6

大人の副鼻腔炎に対する抗生剤の投与 : NNT18だが1/8で副作用が出るから利益は赤字

骨折経験の無い中高年女性に対するビスフォスホネート製剤の投与 : NNTなし

結局、予防医学の実態は製薬会社に踊らされた私たち開業医の虚業に過ぎなかったような気がします。

Lipo- Spheric- Vitamin- C

2015年04月27日 | 医学
昨日は阿蘇グランヴィリオの西コースをラウンドしました。
結果は99打の32パットでした。
メガネ無しのプレーにも慣れてきて違和感がなくなってきました。

さて、例年、ゴールデンウイークには旅行することが恒例だったのですが、
今年は、どこにも行かずに、すべてゴルフに充てようという計画を立てました。
昨日の26日、29日、5月の3日、4日、5日、6日と予約を取りました。
11日間で6回のラウンドですか。
なんだかツアープロみたいですよね。

で、昨夜は夜に焼き鳥屋の、" たば鳥 " に行ったのですが、不思議なことに腹が減らず、焼き鳥が入りません。
さらには頭痛まで自覚してきました。私が頭痛を感じるのは熱発時だけです。
そういえば、この数日間、ひどい咳に悩まされていました。
しかし、もう何年間も風邪やインフルエンザに罹ってないし、自分が発症するはずが無いと思っていましたので認めたく有りません。
そう、その後の展開は、皆さんの予想通りです。
" 飲んで治すぞ! "という科学者にあるまじき選択をしてしまったのです。

泥酔して寝たのですが、朝の4時に目が覚めてしまって寝付けません。
全身倦怠がひどく、そのまま一睡もせずに朝を迎えてしまいました。

9時になって診察はするのですが、ちょっとでも隙があれば診察室のベッドで横になるということを繰り返しました。
そして昼休みになるやいなや、超高濃度、多種類のビタミン剤、などを詰めた、" スーパーカクテル "という点滴を打ってもらいました。
ついでに血液も迅速試験をしてみたのですが、CRP(炎症反応) 1.3、白血球:6000でした。
すなわちウィルス性の疾患が強く示唆される結果でした。
体温も37.7度と上昇していました。

さて治療計画ですが、ウィルス性ですので抗生剤は無効です。
そこで、こいつを内服してみることにしました。





Lypo-Sphnic Vitamin C です。

一般的にはビタミンCの内服薬は、とても吸収が悪いということが知られています。
で、この made in USA の薬はヴィタミンCを脂質でコーティングしてゼリー状とし,吸収しやすくしてあるのです。
以前は一袋100円くらいだったのですが、最近は円安のせいで120円位します。
これを3時間ごとに服用してみます。

安静治療の失敗

2015年04月13日 | 医学
結局、6日間安静にしても、ぎっくり腰は改善せず、昨日のゴルフは欠席せざるを得ませんでした。
いつもですと、昨年の9月に、" 仙腸関節 " と題してアップしたように、テニスボールで治療するのが定石です。
しかし、今回は思うところあって安静だけでの治療を試してみたのですが、結果は裏目にでた形となってしまいました。
月曜日の痛みを10とするならば、火曜日が8、水曜日が6、木曜日が4と順調にも思えたのですが、金曜日に再び8に悪化していました。
慌ててテニスボールを導入し、今日の痛みは3くらいでしょうか。
腰痛症に対しては、急性期から積極的に治療を開始するべきだという結論に達しました。







今夜のボウリングまでは大事を取って休みますが、明日からは軽く打ちっぱなしを再開してみるつもりです。

もう10日間もゴルフクラブやボウリングボールに触っていません。

準備運動や、それに付随する筋トレもしておりません。

なんだか、体がジジイに変化していくのが実感できます。

腰痛のために、買い物に出かけても歩行速度が上がりません。
オバちゃんたちにスイスイと追い越されていきます。
ジジイの世界を垣間見たような気がしました。


壊死性筋膜炎と後天性血友病A

2015年03月24日 | 医学


昨夜は、はせがわクリニックのスタッフが居酒屋、" 蔵 " に集まっての祝賀会が開催されるはずでした。
長年、当院で医療事務・受付をこなしているSが2年間の努力の末、准看護師の資格試験に合格したからです。

ところが昨朝Sが右上腕の腫脹と痛みを訴えてきました。
原因は全く不明でしたが、午後には腫れと痛みが悪化したので、整形外科を受診させました。
整形外科でも診断がつかずに、私の知り合いの放射線科にMRIのオーダーを出されました。
その結果が、" 壊死性筋膜炎の疑い " だったのです。
こいつはヤバイ病気です。
死亡率が30%にも達する病気で、治療は切開して壊死組織をすべて切除していくというものです。
つまり、敗血症におびえつつ、患部を切り刻まれて、仕上げには皮膚移植が待っているという、めまいがするくらいに悲惨な病気です。

Sは戻った整形外科で入院を勧められたそうですが、子供の世話があるとの理由で断り、帰宅しようとしていました。
私はすぐに携帯で連絡を取り、そんなにのんびりとした病気ではないことを告げて、即、国立病院受診を勧めました。

居酒屋の予約をドタキャンするわけにもいかず、残ったスタッフで乾杯したのですが、
持ち込んだジョニ黒を飲むなり私は、" 不味いっ! " と叫んでいました。
人生でもっとも不味い乾杯の味でした。

さて、国立に入院して切開された結果ですが、壊死はなく、血腫だけであったそうです。
つまり、壊死性筋膜炎ではなかったとのことで、最悪は免れたと思い、ホッとしました。
ところが、今日になって診断がつきました。
なんと、" 後天性血友病A " だったのです。

原因不明の自己免疫疾患で、血液凝固の第Ⅷ因子に抗体を作ってしまう病気なのです。
第Ⅷ因子が働かないと血液は凝固できません。

とりあえず国立病院は血腫を除去して、止血を試みています。
止血には第Ⅷ因子を投与すれば良いように思われますが、現実的には無理なのだそうです。
なぜならば、投与量の決定が困難だからです。
少ないと凝固しないし、多すぎると血管内で凝固しすぎてDICを引き起こし、死亡する恐れがあるのです。
そこで、" バイパス止血製剤 " なる物が投与されます。
これには3種類あるようです。
詳しくは書きませんが、第Ⅶ因子、第Ⅹ因子などを組み合わせた迂回止血剤です。

輸血も並行して実施されています。
逆に考えれば、輸血を必要とするほどの出血だったということなのでしょう。

止血が落ち着いたら、根本治癒を目指して、ステロイドの単剤投与か
ステロイドと免疫抑制剤の2剤投与が行われるはずです。

まあ、最悪は免れたとは言え、一難去ってまた一難でしょうか.....

Sは当院随一の健啖家です。
肉食獣ですのでステーキは他人の分まで、いくらでも食べることができます。
スウィーツにも目が有りません。
いつぞやの忘年会では男性陣が手を付けなかったスウィーツ8皿を一気食いしていました。
そんなSがいない宴会ではコース料理が余り気味でした。

Sが退院したあかつきには、快気祝いもかねて、" 蔵 " に集まるつもりです。
今度こそ乾杯のウィスキーを、美味しく飲みたいものです。

まだ医者を信じているあなたに

2014年10月24日 | 医学


2013年の5月2日にアップした、" 医者に殺されない47の心得 " の著者である近藤誠先生の最新刊です。

定期的な健康診断は受けるなという、これまでの意見に変わりはないのですが、
今回は各論にも踏み込んでこられましたので、私見も交えて、いくつか紹介します。

日本では70歳以上の2人に1人が降圧剤を服用しているのだそうです。
昭和の時代にWHOが定めた高血圧の診断基準は、上が160、下が95でした。
しかし、2000年に日本高血圧学会が、上が140、下が90と定めた影響で患者数は倍増しました。
それに伴い、高血圧薬の市場規模は1900年代に5000億円であったのが、現在では1兆円に倍増しています。

薬品メーカーは頻繁に勉強会なるものを一流ホテルで催します。
開業医のもとには、事前に担当者が、参加を促しに来院し、タクシー券を置いていきます。
勉強会の講師は遠方の大学の先生が、いわゆる、 " アゴアシ付き " で招かれ、数十万円のギャラが支払われます。
その講師を招いた熊大の教授が座長を務め、10万単位のギャラをゲットします。
勉強会自体は2時間くらいで終わるのですが、その後、 " 意見交換会 " と称して隣室に豪華なバイキングが用意されます。
勉強会の内容は、降圧剤を使用することによって、脳血管イベントの発生を数十%減らしたというデータの発表がメインです。
ただ、この数字は、以前にもアップしましたが、データ解釈の一面に過ぎないのです。
例えば、内服を一年間続けて正常血圧を維持した1000人のグループと、内服無しの一般的な1000人のグループを比較したとします。
その結果、脳血管イベントが、内服グループから6名、内服なしグループから10名発生したとします。
この時、メーカーは、 " この薬を内服することによって脳血管イベントを40%も減らした。 " と発表するのです。
実際に利益を享受できたのは、内服を続けた1000人のうちの4名に過ぎないのです。
さらに、内服を続けたにもかかわらず、6名は発症しているのです。
この結果を冒頭のように、イベント発生を40%も減らしたと表現するのは、確信犯的な詐欺だと思います。
私が研修医の頃には、" 年寄りの高血圧には手を出すな。 " と指導されていました。
年寄りは動脈硬化が進んでいるので、血圧を上げてやらないと、血液が末梢血管に入っていかないからからです。
メーカーがどんな数字を出そうと、この考え方がまっとうの様に思えます。
以後、私は、血圧に関しては患者さん達にユルユルな立場を貫いてきました。
昔の基準で十分だと考えたし、80歳以上の患者さんの高血圧は基本的には目をつぶりました。

次はコレステロールを下げる薬がやり玉に上がっています。
昭和の終わりごろに、日本の三共薬品がメバロチンという新薬を開発しました。
肝臓でコレステロールが合成されるのを阻害する薬で、爆発的にヒットして、三共は本社ビルを建て直し、" メバロチン御殿 " と呼ばれました。
そして、その頃までの総コレステロールの正常値は230までだったのですが、どういう訳か220以下に訂正されました。
基準値が10厳しくなれば、患者は倍増するはずです。
当時はコレステロールが動脈硬化の元凶のようにみなされていました。
たしかに、動脈硬化を起こした血管を解剖してみると、血管壁にコレステロールがへばりつき、それがマクロファージに捕食され、その死骸が糊状になって、
業界用語でいうアテローム硬化を起こしていたからです。
しかし、アテローム硬化の発端は、糖尿病や高血圧で血管が損傷することにありました。
その損傷した傷口にコレステロールが滑り込むことで物語がスタートするのです。
もともと、コレステロールは損傷した血管を修復しようとして滑り込むのです。
そのことが裏目に出た場合にアテローム硬化を起こしますが、修復がうまくいくケースも多々あることが予想されています。

さて、コレステロールを下げる薬はメバロチンを追いかけるようにして似たような薬がゾロゾロと発売されました。
どれも肝臓でのコレステロールの生合成をブロックする薬で、まとめて、" スタチン " と呼ばれました。
当初からスタチンには横紋筋融解症という副作用の危険性が指摘されていました。
処方された患者さんが、力が入らないと訴えてきた時には、真っ先にスタチンの副作用を疑わねばなりません。
さらに最近ではスタチンが糖尿病を発生させ、癌になるリスクを高めるとも指摘されています。

現在アメリカでは総コレステロールが検査項目からはずされています。
特に、更年期を過ぎた女性では400を超えていても治療の対象にはなりません。
LDLコレステロールとは比重の低いコレステロール、肝臓から組織へと運ばれていくコレステロールですが、日本では悪玉コレステロールと呼ばれます。
日本でのLDLの上限は140くらいまでですが、アメリカでは190です。
中性脂肪は日本では150以下とされていますがアメリカでは900です。
日本でも世界の流れには逆らえず、総コレステロール値で高脂血症を云々することは無くなりました。
しかし30年近くにわたって、総コレステロールを基準に延々とスタチンを売り続けてきた製薬会社は、一言も謝りません。
そして、素早く話を悪玉コレステロールにすり替えて、厳しい正常値を設定し、薬を売り続けようとしているのです。

私自身は、以前にアップしたベンゾジアゼピン ( 安定剤、睡眠導入剤 ) 撲滅に加えて、スタチン撲滅も目指しています。




パーキンソン病の改善した症例 (No.2)

2014年10月16日 | 医学
昭和26年生まれの男性であるKさん63歳が、今年の9月1日、奥さんに連れられて当院初診となりました。
Kさんのパーキンソン病歴は14年以上にもなるとのことでした。
宇土市に在住で、松橋の専門病院を毎月一回受診され、内服処方を受けておられました。
処方箋をチェックしてみると、さすがに専門病院だけあって、8種類の抗パーキンソン薬、ベンゾジアゼピン系薬が
芸術的に、きめ細かく処方されていました。( 皮肉です。)
さらに2種類のビタミン剤、便秘薬、コレステロールを下げる薬を加えると、毎日12種類もの薬を服用せねばなりません。
それだけの薬を服用し続けながらも、Kさんは転倒が絶えず、杖を使用しても独歩は不可能でした。

Kさんが当院を受診されたきっかけは、私が7月4日にアップした、 " パーキンソン病とグルタチオン点滴 " というブログ記事でした。
出入りの薬屋さんが、私のその記事を読んで、知り合いであったKさんの奥さんに勧めたのです。

初診時のKさんは、仮面様顔貌とまではいかないものの、表情に乏しく寡黙でした。
歩行は、すくみ足、突進現象、共に陽性で、奥さん一人の介助では転倒の危険性を排除できず、スタッフが両側から補助してベッドまで誘導しました。
ところが、第一回目の点滴が終了した直後にKさんは、杖を忘れて独歩で歩かれたのです。
あわててスタッフが杖を持ってKさんを追いかける始末でした。

効果が期待できるので、ご夫婦に、とりあえずは週に2回のペースで点滴に来るように指導しました。
ただ、問題もありました。
宇土から来られるのですが、奥さんは仕事を持っておられるので、手が空いている身内の方々も、交代でKさんを連れてこなければならなかったのです。
奥さんも、周りの方々も大変だったと思われます。

さて経過ですが、十分満足のいくものでした。
表情が柔和になり、笑顔をのぞかせるようになられました。
すくみ足もほぼ消失し、突進現象が影をひそめたために、ゆったりと安定した歩行になり、転倒の危険性は激減しました。
その結果、最近ではKさんは一人で来院されることもあります。
室内でさえ、毎日数回の転倒を繰り返しておられたKさんが、独りでJRを利用して宇土から熊本駅まで来られ、
そこでタクシーに乗り換えて当院まで来られるのです。
素晴らしいQOL ( Quality Of Life ) の向上です。

今日は14回目の点滴でしたが、来週からは、週に1回の点滴でOKであることをK夫婦に伝えました。
奥さんの笑顔が明るくなり、Kさんの顔に自信のようなものが垣間見え始めたと感じるのは、私の読み過ぎでしょうか。

「 健康第一 」 は間違っている

2014年09月30日 | 医学


現在行われている医療は 「死なないための医療」です。
しかし、人間の死亡率が100%であることを考えれば、「死ぬことを前提とした医療」をも考慮して
両方のスタンスに立ちながらも、融通の利く医療が必要だと筆者は主張します。



まずは日本人の生存曲線を示します。
男は60歳くらいから死亡というイベントが少しづつ始まり、80歳を超えると急激にイベントが増える。
女は数年遅れるが、やはり同じような曲線を描く。



このグラフからは、80歳の男性の70%が90歳までに死亡するということです。
女性でも、その間に40%が死亡します。
これって、凄ましい現実ですよね。



これは筆者が得意とする4分割のグラフです。
長寿で幸福な人もいれば、短命で不幸な人、あるいはどちらかだけの人もいるという、当たり前のグラフです。
そかし、この単純な4分割のグラフが結構役に立つことが、後で分かってきます。



これは血圧と脳卒中リスクの関係を表したグラフです。
すべての年代で血圧が高くなるほどリスクが高くなっています。
血圧を下げれば下げるほどリスクは減ります。

ところが自治医大のグループが報告している脳卒中の頻度を参照すれば、50歳代の脳卒中の頻度は正常血圧で年率0.3%程度、
130以上の高血圧患者でその3倍とすると年率1%程度である。
これにより50歳代2000人を4分割すると次のグラフが得られる。



この表を薬品会社は、血圧を130以下に下げることによって、脳卒中のリスクを3分の1以下にできると読むのでしょう。
しかし、正確に言えば血圧が130以上の人達1000人に降圧剤を一年間投与すれば脳卒中の発症を10人から3人に減らせるということでしょう。
つまり降圧剤を投与された1000人のうちで、本当にご利益を賜るのは7人だけであり、さらに3人は投薬の甲斐も無く脳卒中を発症するのです。



このグラフは降圧剤が脳卒中を予防しているのでは無く、数か月遅延させているだけだと示しています。

また筆者は、動脈硬化が進むと拡張期血圧が低下して脈圧が上がることが脳卒中のリスクを高めると記しています。
これは初耳でした。
これまでは、拡張期の高血圧こそが動脈硬化の存在を示唆していると思っていました。
T君よ、本当のところ、どうなんだい?