仏作文(8) (スタンダードフランス語講座③より)
【8回目】
例文8
源頼朝は、鎌倉にはじめて幕府を開いた。
Yoritomo Minamoto établit pour la première fois
le Shogounat à Kamakura.
♦ この単純過去形というテンスは、日常の話し言葉では使われ
ません。
(日常会話では、過去のことは複合過去形で話します。)
単純過去は多く、文学作品や、歴史などの叙述に用いられ、
完全に過去になった出来事を表します。
しかし、新聞記事のような場合は、かなり最近の事にも、この
単純過去形で書かれます。
♦ 単純過去形は前過去形と併用されることがあります。前過去形
は、主節で表された行為に先立つ行為を表し、多くの場合、この2
つの行為は引き続いて行われます。
「彼は仕事を終えるとすぐに家に帰った。」
Dès qu'il eut fini son travail, il rentra à la maison.
話し言葉では、主節の動詞も、従属節の動詞も複合過去形でよ
いのです。
Dès qu'il a fini son travail, il est rentré à la maison.
問題A
1: ジャンヌ・ダルクは祖国を救った。
ゴタの答案: Jeanne d'Arc a aidé sa nation. (自己採点4点/10点中)
正解は : Jeanne d'Arc délivra sa patrie.
———————≪感想≫———————————————————————
出題前に「歴史の記述は、単純過去形を使う」旨、書いてあり
ました。これを無視した罪は重い。
次に「祖国」。調べずに、横着してnation で済ませようと
したのがよくなかった。nation (国家)と patrie (祖国)では、
少し意味がかわります。祖国は、自分と先祖が生まれた国。
「国家プラス思い」。nation ではない。
ジャンヌ・ダルクは、イギリス軍に包囲されたオルレアンを救った
わけで、この場合は、オルレアンをイギリスから解放したのだから、
aider よりも、délivrer (他)(開放する)(de から)の方がいいかも。
2: ある日のこと、狐はこうのとりを夕食に招いた。
ゴタの解答: Un jour le renard a invité la cigogne à dîner.
正解 : Le Renard invita un jour la Cigogne à dîner.
—————————≪感想≫—————————————————————
寓話に出て来るキツネやコウノトリは、役柄が与えられている
ので大文字にすればいいのでしょうね。それは普通のキツネで
なくしゃべるし、他人を自宅に招待するキャラなので、人間扱
いで、「キツネさん」が固有名詞みたいなものですな。
さて、ゴタは、また同じ間違いをしております。
物語は、「単純過去」で綴られる、という冒頭の説明を、
無視してしまっております。これだけで、減点4点。
固有名詞化不履行で減点1点。 (5点/10点中)
3: 昨日三鷹に火事があった。
ゴタの答案: Hier il y eut feu incendie en Mitaka.
正解は : Un incendie eut lieu à Mitaka hier.
≪感想≫
そうか、解答をみて納得。Hier を先に持ってくると、
火事が毎日あって、昨日は三鷹、一昨日は紀国坂、きょうは赤坂
見附みたいな感じになるかも。
【教訓】hire は強調がない限り、目立つところには置くな!
feu かincendieかどちらか1つにしないとね。これじゃ、
火事火事があったことで、三鷹が焦土と化してしまう。
「火事」にも不定冠詞un が要りますよ!
それから【語法】市町村名の前では à を使うのだそうです。
(白水社仏和大辞典: enの項目)
(自己採点3点/10点中)(3点は甘いかな)
問題B
1: 1945年8月、日本はポツダム宣言を受諾し連合軍の前に降伏した。
ゴタの答案: En 1945, le Japon a accepté la Déclaration de Potsudam et
s'était rendu à Alliées:
正解は : En août 1945, le Japon accepta la Déclaration de Potsudam
et capitula devant les forces alliées:
≪感想≫
「降伏する」はゴタが調べた辞書では se rendre à ~
だったので、上記のような作文になりました。
連合軍は辞書ではLes Alliés でした。書き写しを間違えました。
その他 puissances allliées も連合軍。(減点1点)
8月を入れ忘れしていました。(減点3点にしました)
単純過去を使った方が歴史記述としてはよかった(減点1点)
(最終点数 5点/10点中)
《解答で使われた単語》
capituler (自)降伏する
問題B
2. 仏教は538年に、インドから中国と朝鮮を経て日本に渡来した.
【単語の事前チェック】
仏教:bouddhisme (m)
渡来:inportation (f)
伝来:introduction (f)
伝来する:être introduit(e), être importé(e)
~を経て → ~を通って
パリを経てロンドンに向かう
se rendre à Londre via Paris
se rendre à Londre en passant par Paris
インド:Inde (f)
中国 :Chine (f)
朝鮮 :Corée (f)
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生徒ゴタぴょんの答案:
Le bouddhisme a été introduit en 538 au Japon via
Chine et Corée.
正解は:
Le bouddhisme fut introduit au Japon en 538, venant
de Inde par la Chine et la Corée.
———————≪感想≫——————————————
そうだった、歴史記述には、単純過去が使われるのでした.
au Japon とen 538 の語順も気になるが、文法書では重要な
語が後の傾向があるとなっているが、538年がキーワード
なのでau Japon en 538がいいようです(逆でもおまけで正解).
(自己採点:単純過去違反 -2点
:語順違反おまけで減点なし
:国名冠詞着用違反 -2点
最終得点: 6点/10点中)
être の単純過去をここで復習:
je fus [フュ] n. fûmes [フューム]
tu fus [フュ] v. fûtes [フュット]
il fut [フュ] ils furent [フュール]