つくばの“ド素人”音楽同好会

クラシック音楽から,邦楽,洋楽とジャンルにとらわれず幅広く語り明かす,音楽の素人さんのための憩いの場です。

「ディープ・スロート」

2009年01月17日 19時04分14秒 | ウォーターゲート事件
「ディープ・スロート」
(ボブ・ウッドワード著 文藝春秋)

以下個人的資料のための引用。

(FBIがニクソン大統領から)
「フェルトが圧力を受けているのは察しがついた。FBIの高潔さと中立公正が脅威にさらされているのは現実で、フェルトはなによりもその対処に心を砕いていた。」(P40)
フェルトとは当時のFBI副長官である。
↑ディープスロートの情報提供の理由はここに尽きると思う。


「テープに記録されていたのは、キング牧師の婚外性交渉の実況報道だった。公民権運動のために各地をまわるキング牧師のホテルの部屋に、白人女性がつぎつぎと訪れる。牧師のよがり声まで含めて、洗いざらい聞くことができた。男性客がその歓楽に飛び入りすることも多かった。
 フーヴァーの目からすれば、キング牧師は公民権運動を率いる特性などない偽善者だった」(P49)


(ニクソン大統領はフーヴァーの死後26時間10分後に新しいFBI長官を指名する。ニクソンの永年の忠臣であったL・パトリック・グレイである。)
「FBI長官は神のような地位で、だれもがあこがれていた。それを政治的に支配しようというもくろみから、生え抜きではない人間に与えてしまった」(P56)


(トマス・ジェファーソンの言葉)
「必要不可欠な法、自衛のための法、危険に瀕している国を救うためための法は、より強い拘束力を持つ。成文法を墨守して国を失うなら、法そのものを失うことになる」(P133)


(ニクソン政権下の大統領法律顧問 E・ハワード・ハントについて)
「ニクソンのホワイトは素手の勤務経験がディーンの性格形成に影響を与えたことが仇となり、そこから抜け切れていない。どんな政権であろうとホワイトハウス入りした人間は、外部の人間がその政権の本性を見抜いて適切にいい表わしても承服できないものだが、ディーンもその弊にとらわれていた。物事の周辺を経巡っている人間が真実を見出すのは珍しいことではない。だからこそ、ジャーナリストや歴史家ばかりか小説家も、時代の全貌を描き出すことができるのだ。」(P209)

【結論】
先日読み終えた「大統領の陰謀」の続編というところ。
ディープスロートの正体が公にされてからの著作であり、ウッドワードが当時を振り返りながら、その後のディープスロートに会う。
これはノンフィクションの探偵小説であり、興奮が収まらない。
とにかく事実の前にはことばを失うしかない!当分は作り物の小説は読めそうにない。

さて、疑問として残るのは取材源の秘匿についてである。
ディープスロート本人が身分を明かし→ウッドワードも取材源を認めて本を出している。

奈良・供述調書漏洩との関連で考えをまとめているところである。

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