『遥かに仰ぎ、麗しの』 感想

『遥かに仰ぎ、麗しの』　(PULL TOP)
ついさっきクリアー。美少女ゲームアワード2007大賞、ってことで前から気になってました。
（2006年はこんにゃくね。2005年以前はありませんでした）
シナリオがすごくいいぞ！と大評判なんですな。でもそのぶん値が下がらないもんで…。
サントラつきの初回限定版なんて、５桁が当たり前ですしね。


・シナリオ　６０～９０点
超のつくお嬢様学校へ新任教師としてやってきた滝沢司、穏やかで優しい彼が主人公。
エロゲ主人公としては異質なほど落ち着きがあり、思いやりがあり、順当に周りに好かれます。
本校を担当するか分校を担当するかで攻略ヒロインが分かれ、それぞれライターも変わります。
最初にぶっちゃけてしまうと、健速（たけはや）氏担当の本校ルートの方が出来がいいですね。
点数に開きがあるのはそのせいです。
分校の赤毛姉妹はもうエロばっかで意味が不明っつーか。エロゲだから！って頑張ったんだね…。
これが学生同士ならいいんですが、やっぱり「教師と生徒」なので、あんまりにもエロに溺れて
生活がgdgdになりすぎると「おま…」って思う。本校ルートではしっかりしてるだけに。

邑那については別記事に書いたので、もうそれで。シナリオは面白かったです。燕玲萌え。
赤毛姉は、こう…「素直で明るくて良い子ですね」という。良い子なだけに異性としては見られん。
栖香はかわゆかったです。シナリオはアレだけど。やっぱ委員長系ツンデレっていいよなー。

で、本校。殿子は述べましたね。もちろん好きですが、気持ちが定まらなかったであります。
梓乃シナリオは新鮮でした。
殿子の陰に隠れている対人恐怖症のお嬢様で、
殿子と仲良くなる主人公を疎ましく思い、
彼を遠ざけようとするうち行動力が身についていく、という。
正直、苦手なタイプだなと思わないでもなかったのですが、
主人公が邪魔→辞めさせようと画策する→関わる事になり為人を知る→気付くと恋に落ちている
っていう一連の流れが非常に丁寧で素晴らしい。
ただ、都合上梓乃の一人称が多くなってしまい、
「攻略対象」っていうより「主人公」に近くなってますね。それはそれでいいんだけど。
そしてHシーン…あんだけお互いのことを考え慎んできた二人が、
初体験なのに校内で緊縛青姦。
あの、お二人ともどうしちゃったんですか一体…。
見つかったら「キャッ☆」とかいうレベルじゃない。
Hシーンって鬼門なのかもな、シナリオ重視エロゲにおいて…。

そして最後に臨んだメインヒロイン・みやびルート。これも良かった…泣けた…。
生徒で理事長代理、っていう異色の位置にいる彼女が、
少しずつ主人公を心を預けていく過程が実にいい。いいけど長い。
その「長さ」は他シナリオも感じました。何でかっていうとこのゲーム、雰囲気はいいんだけど
ギャグは面白くない（ていうか殆どない）から。みんな良い子ね～ほのぼの～っていう感じで。
日常パートにもう少しサービスがほしかったというのと、Hシーンの酷さで減点。神作には至らず。


・グラフィック　４０～５０点
「嫌われない」画風ですね。一番にはなれないけど、苦手な人はまずいない絵。
そして画力はもうちょっと、かなり、だいぶ研鑽の必要があると言うしかありません。
絵によってキャラの顔が変わりすぎです。立ち絵でも横向いてる絵と正面のとじゃ別人。

キャラデザも…媚がないというのは好感度高いですが、ちょっとやっぱり地味ですね。
特に邑那とかひどすぎ。あれを攻略しろって言われてもなあ…。美崎も男の子みたいだし。
立ち絵はともかく、一枚絵が足りてませんね明らかに。赤毛姉妹のHシーン、使い回しすぎだろう。

「これが好き！」っていう絵が一枚もありませんでした…。どこかしら崩れてるんだもんよ全部…。
ああ、殿子の正面向いた立ち絵はかわいいですね。


・システム　６５～７５点
普通かなあ。何度も何度もしつこく書きますが、送りボタンをEnterキーだけにしないでおくれ…。
もう一つ言うなら、音量調節が大雑把すぎ。「１」がでかすぎです。もっと細かく設定したいんだ。

あとは特に問題がないので、演出の良さで加点されてます。
一枚絵とBGMを持ってくるタイミングが巧い。巧すぎる。ただ、それだけに絵がなあ…。


・音声　７０～８０点
殿子ボイス…もう登場時点から「ああ千早、千早の声だー!!!」ともうそれだけしか考えられなく…。
もうほんと千早病すぎる。そんなわけで彼女が喋るたび「ち、千早だ千早ー」と…。終わってます。
そんなこんなで萌えるどころではなかったのさ。千早は千早として愛したいのでね。
その声が目当てで購入したくせに。こんな結末になるとはな…（遠い目）

あとはみやびでしょうね。ロリツンデレの北都南ボイスは危険過ぎる。可愛いにも程がある。
他ヒロインは別にこれといって。有名な方いないしね。
何よりも音楽が素晴らしいです。あーくそ、サントラつきの買っとけばよかったかなー。
どの曲目も上品で美しい。特にＯＰの『風のRhythm』は名曲ですね。
殿子Verがあると聞いてＣＤ買っちまいました。みんごす嬢、ほんと「歌う声優」づいてきたなあ。
リンク先はねーよwwwPの千早動画。


総評
シナリオ重視のエロゲーマーなら買って悔いなし、2007年最強の純愛ゲー。
この「シナリオ重視」っていうのは、画力の低さやエロ度の低さを覚悟した上でという意味で。
最近の純愛エロゲは３回くらいＨシーンがあるもんですが、本校ルートだと基本的に一人一回。
複数回あるヒロインはＣＧが使い回しだったりで、何だかもうどうにもこうにもです。

去年は良シナリオが少なかったせいもありますが（2005年はすごかった）、
この作品が2007年最高の純愛ゲーであることに異論はありません。
未プレイの方は…できれば頑張って限定版を購入しましょう！　きっとサントラがほしくなるので。