一昨日、マブラヴオルタをクリアしました。
Aster→マブラヴ→マブラヴオルタ、と立て続けにプレイしたため、記憶が薄れつつありますが…
いやーでも、マブラヴはさすがにすごかったな…。高評価されるだけはありますよ。
『Aster』 (Rusk)
Ruskは2011年に解散してしまっているため、
げっちゅ屋の商品説明ページをご参照ください。
ニコ動で
主題歌を知り、「非常に泣ける」「隠れた名作」との評判を目にして購入。
私はこの作品の熱心なファンにはなれなかったので、
アンチ的感想を読みたくない方は閲覧をご遠慮ください。
・シナリオ 40~50点
シナリオは一本道。選択肢はありません。
更にこのブランドの特長として、主人公が複数存在し、
攻略ヒロインが一人ずつきっちり割り当てられています。
有名な作品だと、おれつばが近いですね。まあ、好みが別れるかもしれません。
過去作品の主人公&ヒロインを登場させまくるので、
可愛いサブヒロインが登場したと思ったら美男の彼氏がいて、
延々二人のラブラブを見せ付けられます。
これが複数のカップルで行われます。ハーレムよりノーマルカップリング萌えな方にはいいかも。
メインのシナリオは双子の姉妹との三角関係を描いたもの。
付き合っていた姉の方が死亡し、
その事故を主軸として4人の主人公の視点から物語が語られます。
「奇跡は起こらない」という
どこかの泣きゲーに挑戦するようなコンセプトに惹かれて挑んだのですが、
正直、腕すかしを食らいました。
せっかく、奇跡を否定して現実に立ち向かう!というような方向を目指したのに、
結局生々しい心情が描かれることなく、凡庸な着地点にへろへろと突っ込んでいったような印象。
1.私のせいで事故が!死にます! → 死なないで! → わかりました死にませんがんばります
2.失明した別れよう! → 俺が守る結婚しよう! → やだ…かっこいい…
→ 学生結婚で親と同居
いや、上記のようなあらすじでもいいシナリオはいくらでもありますが、
↑の流れをわずか数分でやられると…こっちの気持ちがついていきません…。
そういう結論にもっていくのはまだいいとして、もう少し頑張って丁寧に話を運んで欲しかった。
で、双子×料理人志望編。
なんというか、キレイに締めたかったんだなあ…という。
「双子の姉妹のうち姉と付き合い、その姉が死亡、妹とどうなるか」
という始まり方のエロゲは珍しかったため、期待し過ぎてしまったのか、
ああはい…山場どこかな…と距離をおいて見ていたら終わりました。
何より気になってしまったのが、この三角関係が「キレイ」過ぎるところ。
・双子で同じ相手を好きになったのに姉だけが付き合うって気まずくないのか? 葛藤は?
→姉は死ぬ直前まで妹の気持ちを知らなかったので大丈夫です
・妹の方は嫉妬しなかったのか?
→妹は良い子なので二人の幸せ=自分の幸せです
・三角関係で生じる、二者間を行き来することのずるさ
→だって片方死んじゃったからしょうがないよね
という…意地悪な見方をしているとは思いますが、こんなんありえませんよ。
この作品は元々こういうストーリーだと種明かししているからいいけども、
三角関係の決着として「片方が死ぬ」って史上最悪に卑怯だと思います。
また、日常のテキストがやたら古いノリで退屈。
ヒロインの「おっとり系」率が5人中3人なせいもありますが、けっこう忍耐力を要求されます。
Airも日常パートしんどかったけど、泣きゲーってこういうものなんだろうか…。
笑えたのが、雛の初体験シーン。あそこは良かった。
沙耶の初夜も萌えました。行為の最後まで局部を見せたがらない沙耶がかわいい。
萌えゲーだと、処女でも蛍光灯の明かりの下でM字開脚したりするからね…。
沙耶が普通です。
・グラフィック 60~70点
浅葉ゆう氏の描く女の子が非常に好みです。
現在は絵柄が変わってしまったようでとても残念。
沙耶・沙希は塗りに気合が入っており、はっとさせられる絵が多かったです。
率直にいって、全ての原画を浅葉氏に担当してほしかった。
製作期間がなかったのでしょうか。
・音声 70~80点
美少女ゲームアワード優秀賞を受賞しただけあって、『二つめの空』がいい出来です。
「奇跡なんかが起きなかったとしても」という、
テーマを歌詞に組み込んでいるあたりがポイント。
シナリオが短い割に、BGMが多いのも好印象です。
CVについては、沙耶役のまきいづみさんと、
沙希役の青山ゆかりさんがさすがの演技でした。
青山ゆかりさんにキレられたい人はお勧め。
・システム 5点
デバッグすらやる時間ないなら延期してもいいのよ…
まあ『Aster』といったらプレイしたことないオタでも
「バグがひどいんだっけ?」と連想するレベルなので、
バグの権化のような個性的な仕上がりです。
誤字脱字も雨あられですが、テキストが重なって表示され判読できなかったり、
同一キャラの立ち絵が分身するイリュージョンを披露したり、コンフィグを毎回忘れたりと、
「ふだんプレイしているエロゲはよく出来ているんだなあ」
と他ブランドへの感謝を促してくれます。
主人公が複数おり、主人公Aシナリオのときは主人公Bがサブキャラとして登場し、
立ち絵もCVも有り!
という特殊な作品なので、当然男性CVもオンオフ調整できるようになっています…が、
その設定を主人公が切り替わる度に忘れ、ゲーム再開ごとに忘れ、とにかく事あるごとに忘れます。
記憶って大事だね…。そんな些細なことに気付かせてくれるよAsterは…。
私が購入したのは2007年発売版ですが、実はこれ、
2011年に「普及版」というのも発売されています。
普及版が2011年6月末に発売、しかし、RuskのHPは2011年中に消滅しています。
もちろんバグ調整をしてはあるんでしょうが、
せめて一年くらいはサポートページを残しておくべきだったのでは。
チームが解散してしまったとしても、親会社の方でHPだけでも管理できなかったのかなあ…。
そういう意味でも、販売側の姿勢をあまり好意的に見ることが出来ません。
総評
「おわり泣ければ全て良し」の方以外にはお勧めできません。
マイナーな作品であるだけに、現在ネットに残っている感想はほぼ全てが高評価です。
ですが、WA2などが好き…というか、
ああいうクオリティに慣れてしまっていると、どうしても劣って見える。
「古いから仕方ない」といえるほど古くない
(2007年ならマブラヴもパルフェも戦国ランスも発売後)し、
あまり優しい気持ちで見守れませんでした…。
Airも世論の評価とは真逆の感想だったし、
私はそもそも「泣きゲー」というのが合わないのかもしれない…。
奇跡で解決は好きじゃないし、浮ついたハーレムより現実的な物語の方が好きですが、
素材ではなく、調理の時間や手間の掛け方に問題があると感じました。
双子との恋も、重苦しい問題の解決も、もっと丁寧に描いて欲しかった。
ただ、複数主人公+ヒロイン固定、というのは希少なので、
そこがツボで、かつ絵が好きな方は購入を検討してもいいかもしれません。