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『月に寄りそう乙女の作法』 感想

2014-12-02 01:36:36 | エロゲ感想@えむあい
広告(60日間更新がないと表示される)が出ちゃった! あかん!
仕事のペースがまた乱れ始めたもので、10月からバタバタしておりました。
でもエロゲはきっちりやってたわけで、以下感想。


『月に寄りそう乙女の作法』 Navel
愛称「つり乙」。SHUFFLEやおれつばで有名なNavelです。
私も『SHUFFLE!』『SoulLink』『俺たちに翼はない』の3作をプレイ済みです。
正直言って「適当に萌えキャラ散らかして終わりだろう」とまるで興味を持てずにいたのですが、
あまりにも評判が良かったので(萌えゲーアワード2013大賞受賞作品)購入。


・シナリオ 50~85点
幅を持たせて頂きました。
いかんせんルートによってクオリティが違いすぎるので…。(ライターが異なるため)

Navelらしからぬ女装主人公もの。
女装のみならずメイドを務め、お嬢様学校に通うという、3つの人気要素いいとこどり。
女装ものだと主人公に人気が集まりがちですが、
主人公である朝日(本名・遊星)がもう、このお約束を度外視しても、身も心も美し過ぎる。
序盤から彼の不幸な生い立ちに感情移入させられ、
服飾への情熱、穏やかな純粋さ、かつお茶目なところもあって日常テキストでも笑わせてくれます。
こら人気出るわ。主人公がいいとエロゲって名作になるしね。
しかしながら、この強力な朝日を人気で凌駕するメインヒロインがいる、
というのがこの作品の強さ。

いやあ、銀髪赤目のヒロインにハマるとは思いませんでした。とても苦手なカラーリングなので。
HPでビジュアルを見ていた時にはもっとも期待値の低いヒロインだったのですが、
CV、台詞回し、朝日との信頼関係を築くまでが丁寧に描かれた秀逸なシナリオ、そして何より中身。
翌年にFDが発売されたために、萌えゲーアワードではヒロイン部門で2年連続優勝、初の2冠を達成。
最近でここまでの人気を博したエロゲキャラはあまりいないんじゃないでしょうか。
エロゲヒロインでは珍しい「カリスマ」という属性でもって、
朝日やユーザーを引っ張ってくれます。

女装主人公ものでキモになる、性別がヒロインにバレるイベントですが、
ルナルートではここが一番先送りにされます。
というか、ルートに入って、恋人同士になっても「女同士」で進みます。
「私は同性愛者ではない」「女性同士でキスなんて」と言い続けたルナ様が
ついに「朝日に恋している」と認め、いちゃいちゃちゅっちゅしても性別は明かされません。
この状態で朝日はルナ様に肉体関係を求められ、
「ショーの日の夜に、全てを捧げたいと思います」とまで誓うに至ります。
…………
……朝日たんの性別は「メイド」でいいんじゃないかな……
少なくともルナ様はかなり終盤まで「女性である朝日」に恋しているわけで、
ある意味百合でもあります。

で、気になる朝日たんの後ろの処女ですが、
ルナ様に限り2パターンあるHシーンのうち、該当のものを選べばきちんと奪っていただけます。
この時点では「朝日=遊星、つまり男性」とバレています。バレてますが掘られます。
「女性と思っていた時に買った道具なので男性に突っ込むにはデカい、でも突っ込む」
といった台詞すら出ます。
掘ると決めたら掘る。いいんですこの二人はこれで。

長々とルナ×朝日の主従について語ってしまいましたが、他のヒロインも全員好きです。
テンプレかと思われた金髪高飛車お嬢様のユーシェも、意外に泥臭い頑張りで好感が持てました。
個人的に一番期待していた湊のシナリオが意味不明でしょんぼり。
服飾がメインのゲームなのに、なんでメイド喫茶で働くエンドになってしまったん。
瑞穂お嬢様は…黒髪ロングで一番不人気って逆にすごいというか…。
ルート外の方が輝くんではないかと。

他、妹のりそな、兄の衣遠なども強い印象を残しますが、彼らはFDで活躍するのでそのときに。
実は巧いキャラだと思ったのが、遊星が服飾を志すきっかけになった天才デザイナー、スタンレー。
遊星を「友人」と認めながら過剰に甘やかさず、天才らしい奔放さで周りを明るくする。
いわゆるチートキャラなので、長く舞台に居させないようにしたのも良い配慮だと思います。


・グラフィック 70~80点
塗りが違うとこうも違うのか!とエロゲオタたちを驚嘆させたNavel塗り革命です。
特にヒロインの目の塗りが変わったのが大きいのでは。
髪の色も繊細で、「進化した」と明確に言っていい仕上がりです。
キャラデザも万人受けする可愛さで、個人的にも好みです。

ただいかんせん、一枚絵がいっつも「顔どアップ」です。特に西又氏。
「ヒロインの顔だけ」か、「ヒロインが立ってるだけ」。
CGギャラリーで並べて見ても、あまり違いがわからない…。
Navelって背景にこだわらないから空間に広がりがなくて、余計にそう感じてしまうんですよね。

ヒロイン達が好きなので、ちょっと欲目もあってこの点数。


・音声 80~90点
おおお、ボーカル曲もBGMもCVもいい…!

特にルナ様のCVが良かった。声質、演技、申し分ございません。
逆に、ここまでぴったりがっちり合ってると、
この声優さんに別のところで出会ったときにルナ様のイメージが拭えなくて苦労しそう…
とか思うレベル。

OPの『DESIRE』が大好きです。
いまWiki見て知りましたが、ボーカル曲は全て西又氏が作詞されてるんですね。


・システム 80~90点
特に問題なく優秀です。章スキップがあるとやはり助かりますね。

これはシステムどうこうという話なのか不明ですが、
FD(スピンオフ)である『乙女理論とその周辺』初回版についてくるアペンドパッチを当てると
朝日たんにCVがつくのですが、つり乙本編のディスクを入れないと機能してくれません。
これでけっこう悲しい思いとした方がいるそうなのでご注意を。
そしてまあ…朝日たんのCVについては乙女理論の方でコメントしますよ…。


総評
久々の萌えゲー快作であり、女装主人公ものの傑作。
Navelのゲームにここまで夢中になろうとは…。
おれつばも面白かったけれども、つり乙はキャラ萌えがきちゃったからグッズも買う始末。

12月19日発売の続編「つり乙2」も予約済みですよ。
ルナ×朝日の主従が良過ぎたのでこの2人を超えるのは難しいでしょうが、それでも楽しみです。

全体として、朝日の心濃やかな視点から紡がれるテキストが丁寧で品があり、
かと思えば笑いもある。
キャラもいい(ルナ&朝日に人気が集中してますが)し、メインヒロインのシナリオがいい。
ここ数年の萌えゲーでこれだけきっちり仕上げてきたのはそう多くないので、
人気が出て当然でしょうね。
特に地雷を見つけられなければ、やってみて損はないと思います。是非。
コメント
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