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『装甲悪鬼村正』 感想

2015-05-11 01:46:09 | エロゲ感想@えむあい
『装甲悪鬼村正』 ニトロプラス
2009年発売の超有名作。ニトロ10周年記念作品だとか。
 ライター:「愛とかエロとか萌えだとかよくわからない」と公言する現役の剣術家(師範代)
 原画家:原画やったことないグラフィッカー
…という、なんだか心配になる二柱をもって、恐るべき大作が作られたのであります。
やったら絶対面白いだろうけど胃にもたれそう、という理由でプレイしておりませんでした。


・シナリオ 85~95点
この圧倒的な世界観と設定をどう説明したものか…!
ほんのりとファンタジー入った架空戦記(GHQなどが出てくる)、パワードスーツものです。
相棒となる劔冑(つるぎと読む)が特徴的で、
有名な刀剣を元にしてキャラデザされているのですが、
これが実に多種多様で、固有スキルを駆使してのバトルが熱い。
主人公である景明の劔冑はタイトルにあるように「村正」。
劔冑にもよりますが、村正にははっきりと自意識があり、一個のキャラクターとして活躍します。
村正の負う「善悪相殺」という呪いが、この作品のメインテーマでもあります。
この呪いのせいもあり、いや関係ないか、ともかく景明の性格が実直過ぎて暗過ぎる。
「そこまで思い詰めなくても…」と心配になること請け合いです。

ルートは基本的に3つ。
一条ルート、香奈枝ルート、そして村正ルート。
公式HPには茶々丸がヒロインとして、村正はそれ以外として記載されてますが、
茶々丸にはまともなルートがありません。ほんのちょっと脱線して終わります。

どれも手抜きなく濃ゆい出来になっており、とんでもないボリューム。
正宗と一条が好きなので、ラストバトルが気に入ってるのは一条ルート、
景明の本編中最も安らかな寝顔に救われるのは香奈枝ルート、
そしてやっぱり、魔剣「装甲悪鬼」がこれ以上なく美しく結実しているのは村正ルート。
どれもいい。どれも捨てがたいです。

逆に、魔剣「装甲悪鬼」で締めて良かったんじゃないかな、と思います。
それ以降の悪鬼編は蛇足だと感じました。まあ、せめて村正とはいちゃいちゃしなきゃね…。
何せ、一条ルートで一条と、香奈枝ルートで香奈枝と、景明は恋愛しませんからね。
一条が景明に仄かな想いを抱いているのは伝わりますが、香奈枝は微妙だし、景明はさっぱりです。
でもそれはそれとして、セックスにはてきぱきと応じます。
エロゲだからね。そこ躊躇するの無駄な時間だからね。
でもニトロらしくエロシーンが途中で途切れるので、パンツを脱がずにご覧下さい。

ニトロ至上最多数のキャラクターが登場しますが、ヒロイン以外も非常に魅力的。
どちらかというと「悪役」だった四公方が、村正ルートでああもかっこいいとは!
仕切りたいタイプかと思いきや、
本来影役の自分が表舞台に立っていることに羞恥を覚えている獅子吼、
親の七光り+オカマでいじられ役という、いかにもかませに見せ掛けて戦闘力最強の雷蝶など、
実に巧みなキャラメイキングです。
香奈枝の侍従である永倉さよ、彼女も素晴らしい。キャノン中佐も好きだ。
…というわけで、取り留めなく語ってしまうほど、キャラ・シナリオ共に充実しています。

「正義」「善悪相殺」に関しては、ユーザーそれぞれ感じるところはあるのでしょうが、
主人公の景明がひたすらに自戒をやめず、悩み苦しみ続ける人物だからこそ、
不快感なく読み進められるのだと思います。重いけれども、不快ではない。

最後にツッコませて頂くと、村正ルート終盤、
最も大事なバトル中に謎のクイズは…勘弁してほしかった…。
頭のいい人が考えることはわからん…。


・グラフィック 85~95点
「これなら文句はなかろう」と言わんばかりの力の入りよう。
装甲してのバトルムービーなど、どれだけの労力と資金を注ぎ込んだのか計り知れません。
劔冑回転目録を用意してくれているのも嬉しい。

原画家のなまにくATK(ATKは「あったかい」と読んでほしいそうです…)氏も、
初原画とは思えぬ技量。
というか、ニトロ設立からいるグラフィッカーだから画力は充分なわけですね。
萌える絵かどうかは好みが分かれるところですが、
こういった画風でなければ老若男女を書き分けられないでしょう。
これ以上ない人材だと思います。

個人的に、今までプレイしたエロゲの中で私服デザインが最もお洒落だと感じました。
特に景明、茶々丸、香奈枝。
キャラデザとして一番萌えるのは大人一条だな。


・音声 65~75点
相棒でありメインヒロインである三世村正のCVがちょっと…序盤から引っかかりました。
発声・演技ともに、どことなく不慣れな印象を受けます。
これが普通の萌えゲーならそこまで気にせず流せるのですが、いかんせん
「諒解。死を始めましょう」などの厨二台詞を連発する配役のため、その度に萎えてしまう。
こういう台詞はただでさえ恥ずかしいので、文句なしの美声でキリッと決めて欲しい。

また、演技指導に力を入れていないのか台本が不親切なのか、漢字の読みが間違っていたり、
『そうではない』という否定の「そうじゃない!」を
疑問系の「そうじゃない!?」と言ったり(これまた村正)、
シナリオが長いから管理が難しいのでしょうが、気になる箇所がかなりありました。

ただ、それ以外は相当に高水準。
キャスティングも素晴らしかった。
景明、獅子吼、特にキャノン中佐と正宗が同じ方だとは!
有名ではないけれでも演技の巧い男性声優を集めてきています。
まあ、景明の声優さんは今や女性ファンがつきまくっているんですが…。

あと、ここに至って河合春華さんのエロシーン演技を聴けるとは思ってなかった!
いやー大好きな喘ぎ声なので、今作のエロはあれだけで大満足です。

ボーカル曲は…ニトロはやっぱり男性歌手よりいとうかなこさんだよね、という。

シナリオがとにかく長いので、BGMが「他エロゲよりちょっと多い」では足りなかったような。
どれも物悲しく美しいのですが、
「これ聞き飽きたなー」という曲目が出てきてしまっていました。

そしてサントラのジャケット…なんだこれは。
男性向け美少女ゲームとは思えない絵面だよこれ。


・システム 30~40点
だから重いんだってばニトロはいつも!
演出・CGをモリモリ盛り込んでいるからしょうがないんですが、
スキップしてもまともにスキップされません。
普通に文章読めるレベルのスキップ。

選択肢後などに、ヒロインごとの現在の好感度表というのが表示されるんですが、
既読スキップで流していても、これが出るとスキップが停止する仕様。

時折探索シーンなどで数十回選択肢が出るときもありますが、この反応が遅いのなんの。
まー全体として重い重い。

村正ルート終盤に至ると、バックログが使えなくなり難儀しました。
使えないどころか、一気に落ちるからね…。そこまでの既読履歴残ってないし…。
景明と一緒に頭を抱えろ、ということでしょうか…。


総評
エロゲ界が誇る、傑作大長編の一つ。
2009年の有名作品なので、エロゲオタなら凡その方がプレイ済みでしょうが、
エロゲを普段やっていなくてもこれなら楽しめるだろう、といえるクオリティです。
これだけのエンタメにはそうそう出会えません。是非どうぞ。
コメント
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