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『天使のいない12月』 感想

2016-03-20 02:12:45 | エロゲ感想@えむあい
『天使のいない12月』 Leaf
2003年発売の超有名タイトル。
みつみ美里&なかむらたけし、という強力萌え絵師による原画によって注目を集め、
その絵に反したセンシティブなシナリオで話題となりました。
某有名同人誌通販サイトに、
未だ「天使のいない12月」というカテゴリが固有名詞で存在することからも
当時の大フィーバーを窺い知ることができます。


・シナリオ 85~95点
共通パートが長く、1つ1つのルートは短め。
それでもなお、多くの台詞が心に残ります。どのシーンも目を逸らせない。

「ふとしたきっかけでヒロインとセフレに」という冒頭だけなら、
それこそどこにでも転がっている話です。
問題は、この主人公がどのルートにいっても
「ヒロインを心から愛してる」という自覚に至らないこと。
どのヒロインに対しても、どのエンドに行き着いても、「好きなのかどうかわからない」まま。

まず、「親友の恋人」という攻略対象ヒロインがいるのがもう恐ろしい。
寝取ってやったぜイエー!というノリでもなく、
ほら好きでもない男とセックスしても何にもならないでしょ、という空虚感が残るだけ。

また、この時代ならではですが、完全なる非処女がいるのもすごい。
今や、一度経験済みなだけで処女厨がビッチビッチ騒ぐと言われますが、
本当に援助交際してましたからねこの人。
生半可な非処女ヒロインじゃ太刀打ちできませんよ。

メインヒロイン透子の幼馴染であり、いわゆるツンデレのしのぶシナリオも忘れられない。
こちらも異様な流れで肉体関係に至り、それまでの険悪な仲からは一転、
日常的にホテルに通うようになる。
ここで主人公が「もうセックスなんてたくさんだ、恋愛ではないけど大切にしたい」
と言い出すものの、はっきりと拒絶されます。

しのぶ「なんで、こうなる前に友達になれなかったのかな…」
しのぶ「なりたかった…私…」

パケにも出ている2番手ヒロインの正ルートで、これ。
恋人同士ではなく、でも友達同士でもない、セックスフレンドですらない、
袋小路に辿り着いてしまった絶望感。
このルートに限りませんが、無理矢理に話をまとめることはしないため、
ハッピーエンド!とはとても言い難い締め方が多いです。

最も恋愛してたのは、やはりメインヒロインである透子ルートでしょうか。
しのぶに主人公との関係を咎められ、「じゃあ、どうすれば心と心が繋がるの!?」と発する、
まさにこれがこのシナリオの肝です。

エロゲに限らず、それなりにフラグ立ててほのぼのセックスすればそれで純愛成立! お幸せに!
…とするのが普通でしょう。
しかし、このゲームはそれを許さない。
割り切ったヌキゲーでもなく、ご都合主義な純愛ゲーでもない。
みんな何となくくっついてセックスしてスキスキ言うけど、それって本当?
と鋭く切り込んでくる仮借のなさがあります。

当時の雑誌インタビューでスタッフが
「10年後のヒロイン達を想像してほしい」と仰っていたそうで…。
実際、これは思春期の少年少女達ならではの物語だと思います。


・グラフィック 80~90点
2003年発売でこれはすごい…。
奇抜なキャラデザを避けていることもあり、今でも充分に通用するグラフィックです。
て、いうか…なかむら先生はこのときの方がデッサン安定してるくらいじゃないかな…

あるヒロインのトゥルーエンドで、
「ヒロインが『一緒にマフラー使おう』と言いながらこちらを試すような目で伺ってくる」
CGが表示され、改めてこの作品に圧倒されました。
トゥルーエンドの最後ですよ、最後…。

塗りに大手のプライドを感じますね。


・音声 80~90点
BGMというのはある意味、一番時代を感じるとこなんですが…
これも今聞いても色褪せない名曲揃いです。
ハイセンス。シャッチョさんはこの才能だけでも業界に必要な人物です。

CVも良かった。
どのキャラもばっちりのキャスティングです。
個人的に、透子、しのぶ、絵美梨がお気に入り。


・システム 40~50点
ここはさすがに時代を感じる作り。
まず設定画面がなんだか見づらい(タイルを張り合わせたみたい)

困るのが、スキップの使いにくさ。
スキップを始めてしまうと、設定画面を立ち上げるか選択肢が出るかしないと止まらない。
何度も読み直したいからこそ、普通に右クリックで止まってほしかった。

そして、この時代のエロゲのお約束なので仕方ないんですが、
主人公の名前を変える機能はいらないです…。
何故かというと、名前を変更可能にすることによって、台詞が不自然になるから。
クセのある主人公なんだし、デフォルトの名前をそのまま呼んでもらいたいです。

ディスクレス動作不可なのも困った。けど仕方ない…。
これからもリプレイしたい作品なので、簡単に呼び出せるよう、DL購入もする予定。


総評
アンチ純愛ゲーと見るか、究極の純愛ゲーと見るか。
10代の少年少女が、そんなにうまくお互いの感情や性欲をコントロールできるわけないじゃん!
・・・と、純愛ゲーや純愛ドラマを懐疑的に眺めている方には、特にお勧め。
萌えゲーをやりまくって、その後にあえてこれをプレイするのもいいかも。

ともかく、私の中の殿堂入りです。
Leafも2003年までこんなゲーム作ってたんだなあ…。
コメント
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