開陽台に連泊することにして、テントを置いて「音楽の流れる道」を見に行ってきます。
2005.06.07
今日は天気はパっとしないが雨は降りそうも無い。
昨日1番後に到着した旅人を見送った。
自宅にいる時に「音楽の流れる道」が標津町にあるという情報を入手していた。
是非行ってみたいと思っていた。
ハイジーの家にその道の地図が壁に貼ってあった。
その道の正確な場所を確かめた後、テントに戻ってバイクに乗る準備をした。
バイクに跨り発進する。
空荷の為、軽快そのものだ。
砂利がまばらに残っている土の小道をゆっくりと下りていく。
駐車場を出て一方通行の下り道をゆっくり進んだ。
この道の谷側となる左側にはガードレールが無い。
緩いカーブの後、少しきつめの右コーナーにさしかかった。
緩やかでは無い斜面に笹薮が敷きつめられている状態だ。
右側には草木が生え、見通しが良くない。
左側の笹薮の斜面を見下ろしながらゆっくりと進んだ。
クリッピングポイント延長上の笹薮が潰れていた。
「まだ潰れていたかぁ。」
昨年の出来事を思い出してヘルメットの中でつぶやいた。
昨年8月ごろ、2台のバイクがココから落ちたのだ。
夜8時ごろ、数人で風呂に行くと言って出発していった人達がいた。
長期滞在していた人が先導し、その後ろを当日着いた旅人が数人。全員バイクだ。
先導したバイクはこの道に慣れているので暗くなったこの道をスムーズに駆け下りていった。
直後に付いて走っていたバイクがこのコーナーを曲がりきれず、落ちた。
その後に続いていたバイクは停止して救助を始めた。
先導していたバイクは一方通行の出口で停まって後続車を待っていたのだが、誰も下りてこないので一方通行の上り道を走って駐車場まで様子を見に戻った。
駐車場では誰の姿も見えなかった。落ちた場所は駐車場からは見えないのだ。
置いていかれたら困ると思い、急いで一方通行の下り道を駆け下りていった。
しかし、落ちたコーナーのアウト側には救助中のバイクがハザードを点灯させて停まっていたのだ。
急いで駆け下りていったバイクはバンク中に停車しているバイクが視界に入ったが、イン側に避ける余裕は無かった。
選択の余地は無い。アウト側に進んだ。
先に落ちたバイクと救助している人達の頭の上を、回転しながら飛んでいった...
幸い2人とも笹薮がクッションになったおかげで軽症。骨折も無かった。
バイクは2台とも走行不能になってしまったが...
昨年の9月ごろにも、もう1台落ちた。
時間は朝9時少し前だった。
バイトに行くといって出発していった人達だ。
先導していたのは、またもや8月に落ちた長期滞在の人。
前回のバイクは修理不能だった為、大きいバイクに変わっていた。
後ろに付いて走っていた人は道に慣れていない。2日目か3日目だったと思う。
朝だったのでテントサイトに居た人達が彼らを見送った。
少し経ったと思ったら、先導して行った1台のバイクだけが戻ってきた。
どうしたんだろう。そこに居た数人が注目した。
「バイク落ちたー!」
後続のバイクが落ちたのだった。
こりゃ大変だと数人が現場まで走りだそうとした時、助けを呼びに来たはずのバイクが、少し低くなっている左側にゆっくりと倒れた。
跨っていた長期滞在の人もバイクと一緒になって倒れた。
Uターンしようとしての、立ちごけだった。
左足をバイクの下に挟まれて動けないでいる。
「あぁ~、まずは俺を先に助けてくれ~!」
普段よりも一段高い声で彼は助けを求めた。
そこに居た数人は走る方向を急遽変更し、倒れたバイクを起こした。
ゆっくり倒れた為、挟めた左足は問題が無かった。
彼はバイクで先に下りていった。
その後を、すぐに動かせたバイク1人と徒歩の数人で駐車場下の現場まで走っていった。
落ちた人は元気そうだった。
数人で落ちたバイクを道路上まで引き上げた。
大きくは壊れているところは無い。走れそうだ。
エンジンをかけようとしたところ、セルスイッチが押せない。
見ると奥のほうでポッキリ折れていた。
何か細いモノで奥のほうを押すとセルが回った。
エンジン始動、そして試運転。
問題無く走れた。
後で押し掛けした人が割り箸を加工して「木目セルスイッチ」を作った。
すげー、すげー、と皆で賞賛した...
思い出してヘルメットの中でしばらくの間、ニヤニヤと笑っていた。
中標津市街地方面へ走り、空港を過ぎたところの信号付き交差点を直進する。
川北の町を通り過ぎて民家が無い道を走った。
「音楽の流れる道」は標津町の酪農地帯を走る「町道川北北7線」に在る。
最近、曲がり角の周辺に看板が立てられたというので見落とさないように道路右側に注意しながら走った。
少し走ったところで「メロディーロード→」の看板を発見。
減速して右折した。
進入した側が終点なので、1度通りすぎてからUターン。
始まりを示す「ト音記号の標識」が少し遠くに見える位置で停車した。
「メロディーロード」という名前が付けられたこの道路は、60km/hで走行すると「知床旅情」が聞こえるという。
アスファルト表面に彫られた幾つもの溝の上を走ることで、その振動が車に伝わり音階となって耳まで届くというものだ。
車で走ると聞こえるのは判っていた。
しかし、バイクではどうなのか?
開陽台で話を聞いてもバイクで走ったという話は無かった。
自分の耳で確かめるしかなかったのだ。
発進し、ト音記号の標識で60km/hになるようにアクセルを開けて加速した。
スピードメータで60の数字を確認しながらト音記号を通過した。
息を止め、耳に神経を集中した。
.
..
...
終点の「八分音符の標識」まで走りきったが、聞こえない。
「風の音」と「バイクのエンジン等のノイズ音」が一定の音量音階で聞こえるだけだった。
んー、バイクだとダメなんだろうか。
Uターンしてもう一度走った。
.
..
...
やっぱり聞こえてこない。
今度はクラッチを切り、ヘルメットを左手でずらして左耳が良く聞こえるようにして走った。
.
..
...
ダメだった。やっぱり聞こえてこない。
バイクだと聞こえないのだ。
聞きたかったが、聞こえないものはしょうがない。
結論が出てしまってする事が無いので、来た道を引き返した。
開陽台に戻る前に「中標津保養所温泉旅館」に寄り、温泉に入った。
ココも久しぶりだ。
中標津の街中には何件も温泉があるのだが、ココが一番のお気に入りだ。
建物は新しくないが、手入れが行き届いていて清潔だ。
客の年齢層が少し高いということもあるのだろう。一番混んでいる時間を外せば落ち着いて入浴できる。
一番好きなのは露天風呂だ。
少し広めの露天風呂の向こうには、冬になると白鳥と丹頂が飛来する「池」が有り、「林」が有り、「空」が有る。
明るい時間にすいている露天風呂でのんびりすると、とても心地がよい。
風呂から上がって少しだけ体を冷ましてから開陽台に向かった。
開陽台に到着し、「メロディーロードはバイクでは聞こえなかった」という話をした。
昨日からテントを張っている「軽トラの人」も行ってきたという。
車なので当然聞こえたらしかったが、それよりもその後に聞いた話が少し悔しかった。
彼が車から出て「ト音記号の標識」の写真を撮っていた時の話だ。
写真を撮っていたところ、他の車がメロディーロードを通過した。
その時彼の耳にメロディーが聞こえたのだ。
路面とタイヤの摩擦音なので、車の中はもちろん外にも聞こえたのだった。
そうか、停まってヘルメット脱いでたら聞こえたのか。
そういえば他の車もチラホラ走ってたっけ。
曇り空を理由に写真を撮っていなかったのがいけなかった。
おしいことをした。
次に「メロディーロード」へ行った時には、ちゃんと停まってメロディーを聞こうと思った。
次へと続く。
2005.06.07
今日は天気はパっとしないが雨は降りそうも無い。
昨日1番後に到着した旅人を見送った。
自宅にいる時に「音楽の流れる道」が標津町にあるという情報を入手していた。
是非行ってみたいと思っていた。
ハイジーの家にその道の地図が壁に貼ってあった。
その道の正確な場所を確かめた後、テントに戻ってバイクに乗る準備をした。
バイクに跨り発進する。
空荷の為、軽快そのものだ。
砂利がまばらに残っている土の小道をゆっくりと下りていく。
駐車場を出て一方通行の下り道をゆっくり進んだ。
この道の谷側となる左側にはガードレールが無い。
緩いカーブの後、少しきつめの右コーナーにさしかかった。
緩やかでは無い斜面に笹薮が敷きつめられている状態だ。
右側には草木が生え、見通しが良くない。
左側の笹薮の斜面を見下ろしながらゆっくりと進んだ。
クリッピングポイント延長上の笹薮が潰れていた。
「まだ潰れていたかぁ。」
昨年の出来事を思い出してヘルメットの中でつぶやいた。
昨年8月ごろ、2台のバイクがココから落ちたのだ。
夜8時ごろ、数人で風呂に行くと言って出発していった人達がいた。
長期滞在していた人が先導し、その後ろを当日着いた旅人が数人。全員バイクだ。
先導したバイクはこの道に慣れているので暗くなったこの道をスムーズに駆け下りていった。
直後に付いて走っていたバイクがこのコーナーを曲がりきれず、落ちた。
その後に続いていたバイクは停止して救助を始めた。
先導していたバイクは一方通行の出口で停まって後続車を待っていたのだが、誰も下りてこないので一方通行の上り道を走って駐車場まで様子を見に戻った。
駐車場では誰の姿も見えなかった。落ちた場所は駐車場からは見えないのだ。
置いていかれたら困ると思い、急いで一方通行の下り道を駆け下りていった。
しかし、落ちたコーナーのアウト側には救助中のバイクがハザードを点灯させて停まっていたのだ。
急いで駆け下りていったバイクはバンク中に停車しているバイクが視界に入ったが、イン側に避ける余裕は無かった。
選択の余地は無い。アウト側に進んだ。
先に落ちたバイクと救助している人達の頭の上を、回転しながら飛んでいった...
幸い2人とも笹薮がクッションになったおかげで軽症。骨折も無かった。
バイクは2台とも走行不能になってしまったが...
昨年の9月ごろにも、もう1台落ちた。
時間は朝9時少し前だった。
バイトに行くといって出発していった人達だ。
先導していたのは、またもや8月に落ちた長期滞在の人。
前回のバイクは修理不能だった為、大きいバイクに変わっていた。
後ろに付いて走っていた人は道に慣れていない。2日目か3日目だったと思う。
朝だったのでテントサイトに居た人達が彼らを見送った。
少し経ったと思ったら、先導して行った1台のバイクだけが戻ってきた。
どうしたんだろう。そこに居た数人が注目した。
「バイク落ちたー!」
後続のバイクが落ちたのだった。
こりゃ大変だと数人が現場まで走りだそうとした時、助けを呼びに来たはずのバイクが、少し低くなっている左側にゆっくりと倒れた。
跨っていた長期滞在の人もバイクと一緒になって倒れた。
Uターンしようとしての、立ちごけだった。
左足をバイクの下に挟まれて動けないでいる。
「あぁ~、まずは俺を先に助けてくれ~!」
普段よりも一段高い声で彼は助けを求めた。
そこに居た数人は走る方向を急遽変更し、倒れたバイクを起こした。
ゆっくり倒れた為、挟めた左足は問題が無かった。
彼はバイクで先に下りていった。
その後を、すぐに動かせたバイク1人と徒歩の数人で駐車場下の現場まで走っていった。
落ちた人は元気そうだった。
数人で落ちたバイクを道路上まで引き上げた。
大きくは壊れているところは無い。走れそうだ。
エンジンをかけようとしたところ、セルスイッチが押せない。
見ると奥のほうでポッキリ折れていた。
何か細いモノで奥のほうを押すとセルが回った。
エンジン始動、そして試運転。
問題無く走れた。
後で押し掛けした人が割り箸を加工して「木目セルスイッチ」を作った。
すげー、すげー、と皆で賞賛した...
思い出してヘルメットの中でしばらくの間、ニヤニヤと笑っていた。
中標津市街地方面へ走り、空港を過ぎたところの信号付き交差点を直進する。
川北の町を通り過ぎて民家が無い道を走った。
「音楽の流れる道」は標津町の酪農地帯を走る「町道川北北7線」に在る。
最近、曲がり角の周辺に看板が立てられたというので見落とさないように道路右側に注意しながら走った。
少し走ったところで「メロディーロード→」の看板を発見。
減速して右折した。
進入した側が終点なので、1度通りすぎてからUターン。
始まりを示す「ト音記号の標識」が少し遠くに見える位置で停車した。
「メロディーロード」という名前が付けられたこの道路は、60km/hで走行すると「知床旅情」が聞こえるという。
アスファルト表面に彫られた幾つもの溝の上を走ることで、その振動が車に伝わり音階となって耳まで届くというものだ。
車で走ると聞こえるのは判っていた。
しかし、バイクではどうなのか?
開陽台で話を聞いてもバイクで走ったという話は無かった。
自分の耳で確かめるしかなかったのだ。
発進し、ト音記号の標識で60km/hになるようにアクセルを開けて加速した。
スピードメータで60の数字を確認しながらト音記号を通過した。
息を止め、耳に神経を集中した。
.
..
...
終点の「八分音符の標識」まで走りきったが、聞こえない。
「風の音」と「バイクのエンジン等のノイズ音」が一定の音量音階で聞こえるだけだった。
んー、バイクだとダメなんだろうか。
Uターンしてもう一度走った。
.
..
...
やっぱり聞こえてこない。
今度はクラッチを切り、ヘルメットを左手でずらして左耳が良く聞こえるようにして走った。
.
..
...
ダメだった。やっぱり聞こえてこない。
バイクだと聞こえないのだ。
聞きたかったが、聞こえないものはしょうがない。
結論が出てしまってする事が無いので、来た道を引き返した。
開陽台に戻る前に「中標津保養所温泉旅館」に寄り、温泉に入った。
ココも久しぶりだ。
中標津の街中には何件も温泉があるのだが、ココが一番のお気に入りだ。
建物は新しくないが、手入れが行き届いていて清潔だ。
客の年齢層が少し高いということもあるのだろう。一番混んでいる時間を外せば落ち着いて入浴できる。
一番好きなのは露天風呂だ。
少し広めの露天風呂の向こうには、冬になると白鳥と丹頂が飛来する「池」が有り、「林」が有り、「空」が有る。
明るい時間にすいている露天風呂でのんびりすると、とても心地がよい。
風呂から上がって少しだけ体を冷ましてから開陽台に向かった。
開陽台に到着し、「メロディーロードはバイクでは聞こえなかった」という話をした。
昨日からテントを張っている「軽トラの人」も行ってきたという。
車なので当然聞こえたらしかったが、それよりもその後に聞いた話が少し悔しかった。
彼が車から出て「ト音記号の標識」の写真を撮っていた時の話だ。
写真を撮っていたところ、他の車がメロディーロードを通過した。
その時彼の耳にメロディーが聞こえたのだ。
路面とタイヤの摩擦音なので、車の中はもちろん外にも聞こえたのだった。
そうか、停まってヘルメット脱いでたら聞こえたのか。
そういえば他の車もチラホラ走ってたっけ。
曇り空を理由に写真を撮っていなかったのがいけなかった。
おしいことをした。
次に「メロディーロード」へ行った時には、ちゃんと停まってメロディーを聞こうと思った。
次へと続く。
ココで聞けるようです。
http://www.shibetsu.net/melodyroad/
後日クルマに乗せてもらって実際に聞きました。
クルマで実際に聞いたほうが、響き具合とか良いですよ~。カンドーするほどじゃないけど。
今日買ってきたツーリングマップルの「北海道おすすめスポット」に載ってました!
バイクじゃ聞こえないってのに...(苦笑)。