まずは、その迫力に思わず姿勢を正してしまう強面のお三方にご登場いただきましょう。
真中の 『親分』 は、元プロサッカー選手で俳優に転向したヴィニー・ジョーンズです。
ヴィニー親分が、『心肺が停止してしまった人に遭遇したら何をするべきか』 を教えてくれますから、皆さん一緒に学びましょうね!
「ヤローがあんたの目の前で倒れたらどうする? 反応がなくて、息もしていなかったら? 変な音を立てていることもある。
そんな場合は、心肺停止が疑われるからな。 まずは救急車を呼べ。」
「それから胸骨圧迫を始める。 キスはいらんぜ。 唇へのキスは女房だけにしておきな。
いいか? 手の甲を上に向けて指をロックさせたら、まっすぐ下に押すんだ。」
「5cmから6cm押せ。 力をこめて、一秒に約2回だ。 “ステイン・アライブ” のビートでな。
怪我させそうで怖いって? 棺桶に入るよりゃ肋骨のヒビの方がマシだろ? これを救急車が来るまで続けるんだ。
いいか、忘れるなよ。 救急車を呼ぶ。 “ステイン・アライブ” に合わせて力をこめて速く押す。
手だけを使った心肺蘇生だ。 実際は見かけほど難しくないぜ!」
動画はこちらです。 そのうち記事にしようと思っていたヴィニー親分の心肺蘇生ビデオですが、昨日の出来事で思い出したので今日記事にします。
私は病院で働いているとはいえ、ただの無資格のヘルスケア・アシスタントです。
でも職場柄、毎年 MERT (Medical Emergency Response Team) のトレーニング(一日コース)への参加が義務づけられています。
高齢者専門の精神科病院ですから、MERT (医療上の緊急事態対応チーム) が呼ばれることは、週に2、3回あります。
チームの一員になることは当番制なので、それに備えてトレーニングを受けるわけです。
心肺蘇生は 『胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を交互に繰り返す』 ことで試みます。 でも人工呼吸はそれ用のマウスピースが使える場合のみ。
感染防止の観点から、マウスピースがない場合は 『胸骨圧迫のみを続ける』 のです。 ヴィニー親分が言っていたように。
トレーニングでは心肺蘇生はもちろん、酸素の与え方(これは人工呼吸の代わりにもなります)、AEDの使い方も習います。
AED、自動体外式除細動器。 私のようなド素人にも使えるようなやつでも、人の生死を分けることがあるんですね。
昨日は遅番だったんですが、病院で働き出して7年目にして、初めてそんな場面に出くわしたんです。
夕食後、共用の居間でテレビを見たりおしゃべりしたりしてくつろいでいた患者さんたち。
突然Aさん(女性)が妙なうめき声を上げたと思ったら、目を閉じてぐったりしてしまったんです。
Aさんは呼吸をしていないようだったので、すぐに MERT が呼ばれ、有資格ナースが胸骨圧迫を開始しました。
酸素マスクがAさんの鼻と口を覆うと、30回の胸骨圧迫と交互で酸素がポンプで2回、送り込まれます。
それと平行してAEDのパッド2枚が、Aさんの胸部に貼り付けられました。
AEDは、電源を入れれば音声で指示を出してくれるのでと~っても便利!
「ショックが必要」 との指示だったので、Aさんは一度だけショックを与えられました。
その後は 「ショックは必要なし」 が続き、胸骨圧迫と酸素補給だけで救急隊員が到着するまでをつなぎました。
心拍と呼吸が回復していたAさんは、意識が朦朧とした状態のまま、救急車で総合病院に運ばれていきました。
過去7年間に私が出会った MERT は、高齢の患者さんが転倒した場合が最も多く、
あとは患者さんの意識が混濁していたり、血圧や血中酸素濃度が異常に低かったり。
患者さんの意識はともかく、心臓が止まっていたことは過去に一度もありませんでした。
そのため心肺停止に遭遇したのは昨日が初めて。 心肺蘇生とAEDが実際に、本当に救命に役立つところを目撃できて感動しました。
床に横にされたAさんの顔は、どんどん赤青くなっていってしまい・・・ あのまま何もせず放っておかれたら、おそらく亡くなっていたことでしょう。
もし街中でそんな非常事態に出くわしたら、私にできることはしなくちゃ!と強く思いました。
たとえ不幸な結果に終わっても、何もしないよりは何かした方が、自分を納得させられますから。
トレーニングでは、ちょうど下のようなダミーと下の2点のようなAEDを使います。
ちょっと違うタイプもあるようですね。 でも使い方は同じでシンプルそう。
イギリスではAEDは駅、空港、ショッピングセンター、スポーツ競技場、ホテルなど人が多く集まる場所に設置が進められています。
顎を上げ額を下げて気道を確保(舌で窒息しないように)し、AEDのスィッチを入れ、2枚のパッドを胸部に貼り(胸毛が多い人は剃る必要がある場合も)、
音声による指示に従って、必要なら電気ショックを与えます。
ショックを与えるときは、酸素を1m以上離し、誰も患者さんに手を触れないよう注意! ショック後は指示に従い、必要なら心肺蘇生を続けます。
というわけで、心肺蘇生とAEDの効果を目の当たりにし、トレーニングでも見せられるヴィニー親分のビデオを思い出した次第です。
いつどこで出会うかもわからない緊急事態。 知っていてソンはないですよね、心肺蘇生法 みなさまも、ぜひご一読くださいな。
大事な誰かの命を救う日が、来ないとも限りませんからね!
実母の入院やもろもろでネット徘徊できませんでした。
こちらに来られないことがこんなストレスだったとは・・・。
時事ネタに取り残された気分でもあります。
さて、親分の動画、いいですね!
私の子供もサッカーをしていることもあり、帯同する身として最低年に一度はAED講習を受講しています。
サッカーの試合で方々に行く際も、AEDの場所をまず確認しています。
胸部圧迫、交代要員がいないとかなりきついですよね。
数年前、マラソン大会の観戦をしていた時に遭遇し、対応をしたことがありました。
幸い、若い方でもあったので蘇生後脳症などの後遺症もなく、無事社会復帰されたようです。
ほんの少しの勇気とトレーニングで救える命があることを実感しています。
年末までには退院され、ご自宅で新年を迎えられるようお祈りしています。
えなゆきさんもAEDにはお馴染みでしたか。前もって馴染んでおくって、とても大切ですよね。
いきなりあんなのを出して来られても、普通は戸惑っちゃいますからね。
「使い方を間違えて、患者さを死なせちゃったら?!」なんて。
音声指示があるから、そんな心配はまずないんですが。
そうそう、胸骨圧迫、ヴィニー親分は「簡単だぜ」なんて言ってますが、けっこうきついですよね。
私達もトレーニングで2分続けるんですが、その2分間が長く感じられることったら。
トレーニングでは「代われる人がいる場合は、2分を目安に交代して続ける」よう習います。
えなゆきさんは実際に心肺蘇生に貢献済みですか! すばらしいです。
まごまごしているうちに失われるかもしれない命。
心肺蘇生では時間が、本当に貴重ですから。
私も万一そんな場面に出くわしたら、何も考えずに飛び込もう!と思います。