はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

小泉流「丸投げ」の一考察

2006年06月02日 | 政治

 官邸での小泉首相のコメントと表情を見ました。
どうやら「共謀罪」法案の扱いについて、現場に口出ししない方針を決めている様子が伺えます。小泉首相の任期5年のなかで、常套手段の「丸投げ」です。
これまでもいくつかの課題で「丸投げ」手法を駆使してきましたが、どれもこれもあまりパッとした成果に繋がっているとは言い難いです。
批判する側から見ると、付け入る隙だらけの状態です。では、仮に批判する側が政権を担当したら、まとめ上げることが出来るのかといえば疑問が残ります。
 この小泉「丸投げ」式を前向きに受け止めてみるとどうなるでしょうか。
官庁、企業どの組織でも、こうした無理難題がトップダウンでおりてくるケースがあります。
 今回の取り組むべきテーマは「共謀罪」新設を柱とする組織犯罪処罰法改正案の成立。
トップである小泉首相は
「これはもう執行部に任せている。
現場の対応に私は口出しをしない方がいいと思っている」と言い放っています。
取り扱いを与党に委ねているのですが、委ねられた方は大変です。
一番悩んだのが自民党・国会対策委員の面々です。特に委員長の細田・前官房長官は苦しんだでしょう。悩み抜いた結果、民主党が出している修正案に与党が賛成するという作戦に出ました。
首相もこの作戦を了解した様子で、
「だから現場が対応しているんだろう。折衝してるんだろう。折衝次第だろう」とコメントしていました。
 しかし、トップが言う事だけを遂行しようとしている議員には、残念ながら全体像が見えていませんでした。
仕事でもよくあるケースだと思うのですが、何のためにするのか、その結果どういう方向性に進むのかを把握できずにいることに似ていたと思います。
 小泉内閣の閣僚から厳しい指摘がありました。麻生太郎外相です。
「民主党案のままでは国際犯罪防止条約を批准する基準を満たさない」とバッサリ切り捨てました。
この一言で、ちょっと気持ちが良くなっていた民主党の幹部も目が覚めます。民主党国対は自民党国対の交渉を袖にした形になりました。
 人材の育成とよく言います。しかし、いかに舞台を整えてあげても、本人がその気になっていないケースが多いのが今の社会。
自民党内でもポスト小泉で誰を応援しようかと考えている議員ばかりで、結局、自らが責任者となって何かを切り回そうと覚悟が座っていない状況が露呈しました。
これでは民主党と大差ありません。
 今回見事に小泉首相の「丸投げ」に対応したのが、麻生太郎外相であったと思います。組織犯罪処罰法改正案を成立させる意味合いと、与党案・民主党案ともに欠陥品であることを理解していたようです。
そして自らが宰相になったら、まとめて見せるという表情に見えたのは思い過ごしでしょうか。
 もう小泉首相に多くを望んではいけません。北朝鮮へ乗り込んだこと、郵政民営化をとりあえず果たしたこと、そして靖国神社参拝で中国・韓国からの批判に動じなかったこと。これだけでも歴代の首相のなかでも立派なものです。

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