農場長のつぶやき

花苗生産農場ハイフラワーの農場長の日々のつぶやきです。うれしい事や驚いたこと農場での出来事をつぶやいています。

『 花を愛でる 』 ということ

2013年04月02日 | 園芸業界
今までも何度か花というものについて書いていますが、
今日は雨が降ってしまって、写真を取っていませんので、
チョッと今の私の花作りについて話してみたいと思います。


私が花作りをなぜ志したかというと、それは花作りをしている人には申し訳ないような理由です。

私はアメリカでの農業研修の中で、農業をして一生暮らしていこうと決めました。
そう結論付けなければアメリカで農業研修をしている意味が見つけられなくなっていたからです。

しかし、その時のその結論だけはいまだに継続中です。

農業をするということまではいいのですが、私がブラジルへ行くといったときにはさすがの放任主義の父親も反対し、

 「 ブラジルで苦労することを思えば日本で同じくらい苦労をすれば絶対に成功するぞ!」

 「 そしてなぁ、ある人に聞いたんだが、どうやら花を作ると儲かるらしいぞ。 」

と言われ、単純に気が変わり、あっという間にその気になったのでした。


つまり、私としては花作りは儲けるための始めたことだったわけです。


それから研修先を探し、2年間の住み込みの修行。
いろいろと頑張りました。
研修先の奥さんにはいつも怒られまくって、
これでもへこんだ時もあったのですが、
社長と奥さんに支えられてなんとか独立したのでした。

この奥さんがクリスチャンで、私はその時に洗礼を受けることになるわけです。

さて、独立したといっても農地が借りられたわけではなく、
わずか150坪の父親の脱サラした時の退職金で買っておいた宅地での生産がスタートしました。
今考えればおままごとですよ。
それでも初年度からチャンと利益を出して、それから2年目になる時には農地が借りられて、
様々な方に助けられてやっと何とか農家として認められたのは独立してから3年目か4年目くらいだったでしょうか。
それまでお世話になったみなさんのご恩は忘れることは出来ません。

   ・・・とは言うものの、忙しさを理由に不義理をしています。いけませんねぇ。


そんなこんなでひたすら頑張ってなんとか一人前の収入を得る事が出来たちっぽけな花生産者だった私に、今一緒に経営している2人が大きな農場を経営するチャンスをくれました。

最初は共同経営ということに渋っていたのですが、仕事をはじめて10年目だったこともあり、
何かこの先の方向性を考えない徒と思っていた矢先だったことから
この話に乗らせてもらいました。

その話に乗ってから、1年間の準備期間を経て、ハイフラワーは開業しました。
それまではわずか400坪の生産者が、何と5ヘクタールの農場を管理できるはずもなく、けっこう辛い日々が続きました。しかもそんな状態の人が農場長ですから儲かるはずもなく、業界の方で知っていない人はないくらいひどい農場になって行きました。

さすがの私ももうダメかなぁ・・・なんて思うことはなかったものの、どうしたらいいかは全然解らなかった数年間が過ぎ行きました。

こうなったらその次は倒産ということになるわけですが、これも本当に申し訳ない話ですが、リストラをさせてもらって、残ったスタッフやパートさんに協力してもらって、何とか倒産だけは免れたわけです。

それから農場の生産規模を縮小死に掛かったのですが、すぐには変わらず、なんと3年掛けて縮小し続けそのときの能力に適正な生産数量に落とし、潅水方法もそれまではたくさん作っていたために頭上潅水が主流でしたが、小さな生産者であった時のように潅水方法もすべて手潅水にして、一鉢一鉢を大事にする以前の私のような生産者の気持ちに立ち返り、ただただ品質のいい花を作るにはどうしたらいいのかを毎日毎日考えて、わずかに残ってくれていたスタッフに苦労を掛けながらみんなで頑張って来ました。


いつの頃からか、私たちの作る花の品質が上がってきて、そうしているうちに何とか息がつけるくらいになって来ました。
廃棄する花も格段に減って、出荷率も上がり、やっと花作りをしているという感じになってきたのは実は最近の事。

開業当初10人の新卒のスタッフを雇って始まったハイフラワーは今年も新卒スタッフを加えて、今は22人のスタッフと40名のパートさんが協力してくれています。

一時250万ポットまで落とした生産量も、今では440万ポットになりました。
まぁ、250万ポットという数字も私が1人でやっていた時にしてみたら10年分ですけれど。

今でも決して安定しているわけではないですが、みんなで力を合わせて花を作っています。
農場としてはもっともっといい農場になるように私たち経営陣は勉強しなければいけませんね。



こうして大きな農場で花を作っていると、よく農場の規模が大きい人には・・・・といわれます。
でも、そんなことは決してないですよ。
確かに大きいということは作りが荒くなりますし、利益をきちんと出さなければ給料も払えなくなります。
でもそれは小さくても一緒なのかなぁ・・・と思います。

私は小さな農場の頃は毎週日曜日に入る求人広告を毎週見ていました。
花作りとトラックのドライバーとどっちがもう儲かるかなぁ・・・と。
当時は広告の中で一番いい給料がもらえそうだったのが長距離のドライバーさんでしたから。

でも、1週間家族を置いては出かけられないし、花作りのほうを頑張ったほうが総合的に儲けが出るかなと思って転職はしませんでした。
当時は借金もなく、生産している土地も借地でしたから、辞めようと思えないつでも辞められたのです。


そんな中でしたが、日本一腕のいい生産者になりたいと思ってはいました。
現実にはかなり下手くそで、決していい値段は出てはいなかったのですけれど。
おまけに勉強が嫌いで、出不精なので、花の品質が上がるはずなんてあるわけないのですけれど。


ハイフラワーを初めて、どん底に落ちていってからずっと花作りにおいて忘れないようにしているのは品質。
品質だけでは売れない時代といわれていますが、品質向上以外に生産者が出来る事がありますか?
確かにうちには Akamatsu がいて営業で頑張ってくれていますけれど、その Akamatsu が堂々と営業に出られるようになったのは実はつい最近の事です。以前は品質が悪くて、売るのが怖かったときもあったと言っていた事があります。

まずは品質ありき。



とは言うものの、いくら私たち生産者が頑張っても私たち日本人の文化が変わらないことには私たちの扱っている花壇苗はこれ以上売れないのかなぁ・・・と思ってはいます。

昔々から日本人は季節ごとの 『 花を愛でる 』 というのが日本の文化です。
今が真っ盛りのお花見が一番代表的なものではないですか。
庭造りも借景といって、遠くの景色を取り入れる技法があるくらいに今あるもの、その季節ごとにある花や植物を楽しむというのが日本人にとっての庭でありガーデニングの考え方ではないでしょうか。
その中で、春から夏まで、いやいや、要望があれば秋までペチュニアを生産して出荷しているということが日本の文化に合うわけはないのです。
そのペチュニアを作って出荷している生産者が言ってはいけないことですが、これからの園芸をしっかりと生活に根付かせるには、私たち生産者も今ある商材でいかに季節を演出するかを考えなければいけないと思うのです。

でもですねぇ、これはやっぱりその季節ごとに見せてくれる木々の緑や1年に一度しか咲かない花たちによってよって演出されるものにはかないません。


まぁ、そんなことを言っては何も進まないので、ここまでにしますが、今私たちに出来ることはやっぱりいい花を作って植えた人が楽しんでくれ、その花を育てた人や通りがかりにその花を見てくれた人が幸せになってくれるような花を作ることではないでしょうか!?

何かをしなければということでしたら、まずはそこに気持を集中して、私たちの花を買ってくれたお客さんを裏切らない花作りをしていきたいと考えます。

当たり前のことを当たり前に出来ていなかったから、かつての園芸ブームが衰退してしまったのではないかと私は考えます。
今やるべき最初で最低限の事はもっと花のこととお客様のことを考えた花作りをする。
花にもあまり無理をさせないような栽培も心がけ、それがお客様の所に渡った時にその花本来の良さを発揮できるような作り方をされた花。
これが私の思っている花作りでしょうか。




なんだか思い付くままに書きなぐってしまいましたが、
解り難かったでしょうか!?

みなさん、お付き合いありがとうございました。



雨って困りますね。
写真がないためにこんなにいろいろ書いちゃって。
明日はいい天気です。
きっと可愛い花たちがこちらを向いてくれるはずです。

いい写真が撮れるといいのですが・・・。
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