ジャルガーオンで雇った車の運転手は2人ともまだ若いので、仕事を終えて早く帰りたそうなのが見え見えだったが、まる1日観光する予定だから、彼らの気持ちは無視してまる1日観光することにした。宿でピタルコーラ石窟には虎が出没するから行くなら朝早く行くと良いと言われ、ピタルコーラは取り止め、パンチャッキーとビービー・カ.マカーバラの後にオウランガーバード石窟寺院に行った。ピタルコーラ石窟寺院は前回行った時にはそんなことは知らずに谷間の長い階段を降りて行ったが、幸い虎はいなかった。インドの知らぬが仏とはこのことだったか。ビービー・カ.マカーバラからオウランガーバード石窟寺院は目と鼻の先でどちらからもそれぞれ眺められる近さだから、修学旅行生はビービー・カ.マカーバラからオウランガーバード石窟寺院まで歩いていた。エローラ、アジャンターもそうだが、修学旅行生が以前から多かったから、その団体と重ならないようにしないと、身動きが取れなくなる。雇ったガイドは、イスラーム建築の説明をするから、イスラーム教徒かと思ったら、名前からヒンドゥー教徒と分かった。それなら、仏教寺院の説明もできるだろうと、オウランガーバード石窟寺院に伴った。説明は詳しかったが、見学が終わってから遺跡の切符売りに切符の半券を返すように頼まれた。道理で、私が買わされた入場券は貼り合わせてあった。彼等の間で、その半券を再利用しておそらく入場料を誤魔化して私物化しているのだ。こういうのは以前インドではよくあったが、こんな田舎に来るとまだ横行している。その後、そこからエローラに直行した。一番の見どころのカイラーサナータ神殿を最初に見た。カイラーサ山はシウ゛ァ神のすみかであるから、ヒンドゥー教徒の聖地で、ティベットにある。ネパール経由でも最短3週間を見なければならないから、勤めていた今までは行けなかったがネパールの政情が落ちついたら、これも近いうちにいきたい。インド・ヒマーラヤにあるカイラーサナータ山はチャンバからバルモールに入って徒歩で往復するとデリーから1週間で行けそうだが、バス通りが危険に満ちている。ナータは守護神を意味する。従ってカイラーサナータはシウ゛ァ神のことだ。境内を取り巻くシウ゛ァ神の神話に関する神像群は、見るものを圧倒する。これにたっぷり時間を割いたあと、仏教窟を第一窟から見て、カイラーサナータ神殿を挟んで相当離れているジャイナ教窟院は最後に力車で見て廻った。見学が終わってから近くの食堂で食事をして、オウランガーバード空港に着いた時には暗くなっていた。ムンバイの空港から3台のタクシーに分乗して、タージマハルホテルに着いたが、旧館といっておいたのに、2台のタクシーは新館のほうに止めて乗客を下ろしてしまい、全員が合流するのに手間どった。旧館のほうは相当前から予約しないと満室状態が続いているというから、夜の11時という遅い時間に着いたので、もう部屋はありませんなどといわれるかもしれないと危惧したが、私の部屋だけしばらく待たされて入室できた。どの部屋も改装してあり、立派なのだが、部屋によってはカビ臭いと言われたので、デリーで買っておいた白檀香を渡したら役に立ったようだった。翌7日の朝食は、海の見える2階の食堂でゆったりとした時間を過ごせた。エア・インディアの都合でムンバイからの直行便がなくなり、午後3時という早い国内線でデリーに飛ぶことになったので、インド門のあたりを歩き、空港に行く途中で、チャトラパティ・シウ゛ァジー駅(旧ウ゛ィクトリア・ターミナス)の写真を撮るだけにした。