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役者コースの審査員をやった頃の思い出 ~照明の中にまっすぐ立て~

2011-07-02 22:00:00 | 日記風
 舞台に乗っているのを見ると、向いているかどうか判る、という話を知り合いにしたら
 「え?判るの?」
 と言われたことがありますが、これはあくまで、舞台役者向きか、照明に映えるか、つか劇団に向いてるかどうかが判るということでしかありません。

 映像向きだなと思う人もいますし、私とは感性が違うということもあると思います。
 それだけです。

 ダンスはダンス講師をしている講師自らが、芝居の中でしているダンスを教えます。劇団員になった者が前で踊って見本を見せます。これだけで2時間は使うでしょうかね。
 台詞審査に関しては、とにかく照明の中に立ち、番号、名前を言って、台詞を言えと最初に注意事項が与えられます。

 でもこれができる人が、まず少ない。

 上がっていて頭真っ白状態なのか。
 自分のやり方を押し通す方が、根性があると思われると思うのか、わざと斜に構えてみたり。
 斜に構えるとなんとなく、それで形ができちゃうというか、自分自身で役作りをしてきてるんでしょうね。
 でもそんなもの、関係ありません。

 照明の中でまっすぐ前を向け、大声で番号、名前を言え、

 1番 ○○

 「です」はいらない。
 努鳴ってもいい。台詞を言え。
 これは男女共有です。

 でもね、ピンで照明をあててもらえる機会なんて、プロの役者でもよほどいい役でない限り、実はないんですよ。これって、貴重な機会です。

 まずこれが言われた通り、できるかどうか、それだけです。

 役者って動物的な勘が物を言うんですよ。
 今、自分が求められているのはなんだ?というのを頭じゃなくて、本能で感じ取れるかどうか、これが大きいです。
 大きいステージに立つ人ほど、これができるかどうか、問われると思います。
 これができるやつはたいがいのハプニング、アドリブに対処できる。

 私はアドリブってまず嫌いだもの。ハプニングは地が出るから、テキト―に面白いらしいですよ。


 これができるかできないか、それだけです。

 それだけで、1次が通るかどうかが決まるの。

 つか先生がおっしゃっていたことですが、才能があるか、どうするか、迷ったら、落とすそうです。

 これ凄く判ります。

 あるかないかの微妙な所なら、チャンスを与えて合格させてやればいい。そう思うでしょう?
 でもこれをするとね。
 自分ってここまではいけるんだと思うんですよ。
 思うとまた挑戦するでしょう。

 するとどうなるか判らない、一生浮かび上がれないかもしれない、一生を棒に振るかもしれない世界に足を踏み入れることになるわけ。
 だから本人によほどの覚悟がいるわけ。
 なきゃダメなんです。

 いますよ、よそでも、適当にできるかもしれない希望にすがって、どうしていいか判らないまま漠然と続けてる人って。

 ダメならダメで切った方が余計な苦しみをしなくて済むの。
 違う夢を見る時間を与えられるの。

 無駄な時間を過ごさないで済むってことね。



 本を出すって言うのもこれと同じで、ないんならないってはっきり言って、余計な夢を見させないこと。

 一生、趣味でこつこつやるならいいけど、そうじゃないなら、はっきり言ってやる必要があるんだよ。


 お前、才能、ない。

 これがないとずるずるになるの。


 だから、私も悩んだ時は落とすことにしてた。
 最初の頃はね。

 でも審査員も審査されてるわけだ。

 それができなくなってくる実は所が怖いんだ。

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