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マリー・アントワネットを陥れた首飾り事件

2013-04-07 19:00:00 | 日記風
 フランス革命の前に起きた詐欺事件として有名である。

 元々は王室御用達の宝石商のべーマーと相棒のバッサンジュから約200億円のネックレスをルイ15世が注文し、大小540個のダイヤモンドで首飾りを愛人のデュ・バリー夫人のために注文したが、ルイ15世が急逝したため、買い手がなく宙に浮いてしまったのが原因だ。

 困った宝石商がマリー・アントワネットに売りつけようとしたが、高額だったためと、デュ・バリー夫人のために作られたことで購入を躊躇した。

 そこで、マリー・アントワネットと親しいというラモット伯爵夫人に仲介してもらい、どうにかしようとした。

 宮廷司祭長の地位にあるロアンはストラスブールの名家出身の聖職者だが、放蕩が過ぎ、王妃に嫌われていた。しかし王妃に気にいられれば宰相に出世できると、チャンスをうかがっていたようだ。それには持ってこいのラモット夫人からの提案だった。

 首飾りの代金をラ・モット夫人はロアン枢機卿にマリー・アントワネットの頼みだとして代理購入させた。前年の夏、娼婦のマリー・ニコル・ルゲイ・デシニ―(偽名がニコル・ドリヴァ男爵夫人ともいう)を替え玉にしてロアンと面会させ、彼は王妃との面会を叶えてくれた人物としてラ・モット夫人を信用していた。

 首飾りはラ・モット夫人の手に渡るとばらばらにされ、ジャンヌの夫のラ・モット伯爵や他の加担者によりロンドンで売りさばかれた。

 なかなか代金が支払われないことに、宝石商のべーマーが王妃の側近に面会を申し出て事件が発覚する。
 ロアン枢機卿、ラ・モット伯爵夫人、ニコル・ドリヴァは逮捕される。

 ラ・モット夫人はロアンとは懇意であったが事件とは関係がなく、全く関係のない医師(詐欺師でもあったらしい)のカリオストロ伯爵を事件の首謀者として告発した。カリオストロ伯爵夫妻も逮捕される。
 全く関係のないカリオストロ伯爵が巻き込まれたのは18世紀頃にいた医師、錬金術師、オカルト専門家などの肩書を名のる詐欺師が多かった。上流社会に紛れ込んで低い身分からのし上がろうとした人物だ。その先駆け的な存在だったのかもしれない。

 ラ・モット夫人の夫はロンドンに行っていたため逮捕されていない。

 
 マリー・アントワネットはパリ怒り高等法院に裁判として持ちこんだ。

 ロアン枢機卿とカリオストロ伯爵夫妻は、ニコル・ドリヴァは無罪となる。
 ラ・モット夫人は王妃と愛人関係にあったと噂され、V(泥棒の印)の焼きごてをあてられ
有罪となる。
 その後、一連の出来事を本にして出版している。

 世間は、この事件を王妃の陰謀と噂し、マリー・アントワネットと嫌うようになった。
 ロアン枢機卿はルイ16世に判決直後、宮廷司祭長を罷免にしオーヴェルニュのシェーズ・ディユ大修道院に左遷した。世間はロアン枢機卿の元々の行いを知らなかったため、単に反感を呼ぶ結果になった。

 場合によってはフランス革命の契機の1つとなったとしている人もいるが、マリー・アントワネットとは全く無関係な所で起き、巻き込まれただけだ。

 ただ、それまでマリー・アントワネットの世間に出ていなかった生活を明るみに出すきっかけになり、処刑になるような憎しみを買うことになった。

 ジャンヌ・ド・ヴァロアは父ジャック・ド・サン・レミ男爵はアンリ2世に認知されなかった庶子アンリ・ド・サン=レミの子孫と言われている。本人はフランス旧家のヴァロア家の末裔と称していた。
 暮らしは困窮していた。9歳で両親を失う。貴族の娘として教養を身につけるため、修道院に入ったが。修道女になりたくないと22歳で逃亡し、バール=シュル=オーブでマルク・アントワーヌ・ニコラ・ド・ラ・モット伯爵と知り合って結婚したが、こちらも伯爵かどうかは疑わしい。

 終身刑となったジャンヌは庶民からは同情されたが、いつの間にかイギリスに逃亡した。

 その後、ジャンヌは脱獄をし、フランス革命期にロンドンで転落死をしたようだ。
 精神錯乱の発作で窓から転落したとも言われるし、ロンドンで強盗に襲われたために窓から転落したという説もある。35歳のことだった。




 多くの作家により創作されたが、ほとんどは失敗作になった。

 モーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」シリーズ第1作目でも取り上げられている。

 のちのモンキー・パンチ原作の「ルパン三世」でもカリオストロという名前が出てくるのも
意味もなく懐かしい。

 全く関係ない、ロアンやカリオストロ伯爵夫妻(この事件により完全に失脚)、マリー・アントワネットがが巻き込まれたことが可哀想な事件だ。カリオストロ伯爵などは元々穴のむじな的な所はあったが。

 知らない所で知らないことに巻き込まれる。

 怖いことだ。


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