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マリー・アントワネットを愛した異国の男・フェルセン

2013-04-06 19:00:00 | 日記風
 どうもアニメで見ているとフェルゼンに聞こえるのだが、モデルになった人物はフェルセンという名のようだ。これもフランス語、ドイツ語読みで、本国では「フェセン」に近い音らしい。

 伯爵である、ハンス・アクセル・フォン・フェルセンは政治家でもあり、軍人でもあり、スウェーデンの名門貴族の出身だ。子爵の息子として生を受ける。

 父親がフランスを第2の故郷として愛していたため家庭の中ではフランス語で会話がなされていたようだ。
 欧州を3年間遊学し、貴族として必死の知識を習得して、18歳でパリの社交界にデビューした。

 「ベルサイユのばら」と同じく1774年に仮面舞踏会でマリー・アントワネットと出会う。
 フェルセンはスウェーデン王のグスタフ3世からも寵愛を受けていて、マリー・アントワネットと出会ったのはグスタフ3世の政治的な意図があったようだ。フランスとの国益はスウェーデンには大きかったらしい。
 アメリカの独立戦争には行っているが、戻ってからはフランス王室のスウェーデン人連隊長となる。

 1度はグスタフ王と欧州諸国をめぐるがそのあとはパリに在中した。

 フェルセンは生涯独身を貫いた。しかし愛人がいたという話はある。
 マリー・アントワネットを終生愛していたのは事実のようだが、グスタフ3世としては、マリー・アントワネットを籠絡してスウェーデンの政策に利用したためにフェルセンを利用しようと考えていたらしい。

 それに反してフェルセンは1人の人間として王妃を愛してしまったわけだが。
 しかし、そんな意図でもなければ、一侯爵がいつまでも他国で過ごすことなど許されないだろう。

 またグスタフ3世はフランス革命後はフェルセンを革命防止のスパイとして送りこんでいたらしい。

 国王一家を逃すヴァレンヌ事件もあったが、失敗に終わる。

 そのあとも懲りず、国王一家がいるタンプル塔に変装して忍び込んで再び逃亡を提案するが、それは国王から断られる。
 国王は王として国に準じる気持ちのようだった。

 そのあとも手を尽くすが、どうすることもできなくて、現在のベルギーに亡命した。

 そうこうしている内に肝心のグスタフ3世が暗殺され、マリー・アントワネットも処刑され、それ以降、民衆に対して憎しみを抱くようになる。

 その後、グスタフ4世の元で元帥にまで昇進する。
 しかし、青年期のことが忘れられないのか、民衆に対して不信感が強く、弾圧的な振舞いが多かったため、民衆からもうとまれるようになる。

 クーデターでグスタフ4世が廃位される。

 フランス、祖国で2度の王室のごたごた、アメリカの独立戦争まで入れると3度も戦いを経験している。それだけ経験すれば、他人には及びもつかない人生観が出来上がるだろう。

 その後、皇太子の暗殺にかかわった容疑もかけられるが、咎め立てされることはなく、葬儀執行を命じられ、それに従う。

 しかし、皇太子の葬儀を市内の広場で行っていたとき、フェルセンに民衆が暴動を起こした。
 何故か、近衛連隊もこれを止めず、フェルセンは民衆によって惨殺され、全裸の遺体で側溝に投げ捨てられた。

 ちょうど、その日はマリー・アントワネット達一家を国外に逃そうとしたヴァレンヌ事件が起こった日だった。

 数奇な運命と言えばそうだが、最後まで若い頃の民衆の怒り、王妃への思い、彼の中では消えないものであり続けたのかもしれない。

 本当に愛していた人が民衆に殺されたとなれば、民衆に怒りが行くのは…ある意味しょうがないことなのかもしれない。


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