くらしのなかにアタマのカタマリ

真鶴と札幌と甲府のどこで老後を過ごそうか悩みながらブログを書くのである。

いまさら「篤姫」トーク。

2009年01月14日 16時45分22秒 | 映画・ドラマを観たり。

先週から、今年度の大河ドラマ「天地人」が始まりました。
今年は戦国時代に戻りましたね。
山本勘助を主人公に据えた一昨年の「風林火山」はとてもおもしろかった。また一年間、楽しめる大河であるように祈りたいと思います。

さて、昨年の大河ドラマ「篤姫」について、今さらながら。

「幕末大河は低視聴率」というジンクスをひっくり返す高視聴率。
過去に私が観た幕末大河は「翔ぶが如く」と「新選組!」でしたが、いずれも素晴らしい内容であったにもかかわらず、視聴率は伸び悩んだ記憶があります。
正直、この2作は、内容は「篤姫」よりも良かったと思う。いえ、「篤姫」も大好きですし(でなきゃ、毎週録画してまで観ません。)、あくまで個人的な好みとしてですが。
なぜ、「篤姫」は高視聴率たりえたのかしら。

幕末を描くに当たっての難しさは、幕末という時代の難しさにあります。
思いつくだけでも幕末のヒーローはうじゃうじゃいて、それぞれが敵対しているにもかかわらず、どちらにも正義があったりする。
戦国武将のように国と国との争いではないというところも、対立の図式を難しくしているのではないでしょうか。

「篤姫」は、その難しさを最低限に抑えていたと思います。
最初から「ホームドラマ」と言い切り、それを貫いたのが分かりやすさの要因。
戊辰戦争や長州征伐はほんの一瞬だったり、オープニング前のナレーションだけで話を進めたり。教科書で出てくるレベルに抑えていたように思います。
一報、故郷である薩摩に関しては、嫁ぎ先と生家が対立する、という構図もあり、坂本竜馬との絡みや薩英戦争など、他よりは丁寧に描かれていました。
ここでは、篤姫の幼馴染として設定された、家老の小松帯刀が狂言回しとして活躍。

正直、幕末ファンとしては「ちょっと物足りないかも!?」と思える、いさぎよい割り切り方でした。
そして、ホームドラマとしてみるとどうかというと、これがとてもおもしろい。

【薩摩藩の分家の娘が本家の養女となり、徳川将軍家に嫁ぐ。嫁ぎ先にはアクの強い姑がいて、夫は世間でうつけと言われていて、それなのに美しい妾もいたりする。夫は心が通じ合った矢先に亡くなり、義理の息子には格式の高いところから難しい嫁が来る。よく出来た義理の息子はこれまたすぐに亡くなり、嫁と力を合わせて、徳川将軍家を倒そうと迫ってくる、生家である薩摩藩と相対することになる。】

さらっと書いただけで、どれだけドラマチックなんだという筋書きです。

そして、篤姫の原点である生家での少女時代に「女の道は一本道」「役割」というキーワードが登場します。
さらに、夫が亡くなる前に残した「家族を守りたい」というキーワード。
これらのキーワードを軸に、クライマックスの江戸城明け渡しが描かれます。
篤姫は、徳川家に関わるものを「家族」として守り、そして大奥を無事に閉じるという役割を果たします。
それが、彼女が引き返すことなく貫いてきた一本の道。

もちろん、ストーリーだけではなく、演じていた役者さんたちの熱演も見逃せません。
主演の宮崎あおいちゃんは、本当によく頑張っていたと思います。
あんなに童顔で少女のように細い体で、天璋院の貫禄が出るのかしらと思っていたのですが、見事に、お一、篤姫、天璋院を演じ分けていました。後半、回想シーンでお一時代の映像が出たときには「あおいちゃん、立派になって・・・(涙)」と、それだけで泣けました。
幾島役の松坂慶子、調所広郷役の平幹次郎、井伊直弼役の中村梅雀、父親役の長塚京三、滝山役の稲森いずみなど、印象に残る役者さんがいっぱいいる中で、特に印象に残ったのは徳川家定役の堺雅人とお幸役の樋口可南子。
堺雅人の目のすごさ。そして、樋口可南子の出てくるだけでホッとする暖かさ。2人とも、存在感のある素晴らしい役者さんだと思いました。

一方、気になったのは小松帯刀役の瑛太。
私の瑛太への評価は決して低くはない・・・というか、むしろ高いほう(「アヒルと鴨のコインロッカー」は素晴らしかった!)なのですが、「篤姫」においては、ちょっと演技が軽い印象が。(え?私だけ?ごめんなさい。)
これは、おそらく瑛太のナチュラル演技によるものではないかと。
時代劇では、周りのセリフ回しが重たいですし、観ている側もそういったものを期待して観ますから、どうしても浮いてしまうのではないでしょうか。

そんなこんなで、一年間、観続けてきた「篤姫」。
毎週、楽しみにさせてもらいました。
原作とは違う内容に「ん?」と思ったこともありましたが、まったく別物の作品として、おもしろかったです。

一年間、楽しませてもらった最後の締めくくりに、先日江戸東京博物館の、ある展示を観に行ってきました。
その話はまた、のちほど・・・。


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コメント (4)
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