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陸と千星の感想レビュー(ライトノベル)

2014年07月03日 22時55分05秒 | ライトノベル・小説
ファミ通文庫のラノベ、『陸と千星 ~世界を配る少年と別荘の少女』(野村美月先生原作、竹岡美穂先生イラスト)が発売中です。

表紙は、タイトル通り陸と千星の主役コンビ。
透明感のあるイラストが目を惹きますね。
ふとしたきっかけで出会った2人が、どんな恋物語を描いていくのかとても興味をそそられました。

お話的には、両親が離婚間近ということで夏休みにひとり別荘(家政婦付き)で生活する事になったお嬢様育ちの千星は、新聞配達のアルバイトをしている地元の中学生・陸と出会って仄かな恋心を抱いて…というボーイ・ミーツ・ガール青春ラブストーリー展開です。

両親の機嫌を取るために笑顔を続けるしか無かった千星と、男にだらしなくて生活力皆無の母親に愛想を尽かし、誰にも頼らず笑顔も忘れてしまった陸が、自分にないものを相手の中に見て惹かれ合い、絶望に押しつぶされそうな現実に少しの希望を見出していく様子が切なく、純粋なプラトニックラブに心が洗われました。
自己紹介も満足にできないまま、新聞配達時の受け渡しの一瞬だけという逢瀬を繰り返していくふたりの恋は、別荘のお嬢様と新聞配達のアルバイトという人間関係ゆえに、相手が自分のことをそういう目で見ているわけではないと言い聞かせながらも想いを募らせていくという、幸せと切なさが入り混じったもので、思春期特有の瑞々しい感性が揺れ動く様子や、相手の一挙手一投足に思わず心を轟かせてしまう情熱的な一面等が丁寧に描かれていて説得力が高かったです
誰もが経験するであろう初恋がテーマなだけに、読んでいる自分自身がその時代にタイムスリップしてしまったかのような郷愁をも感じさせてくれました。

相手と生活圏も異なりますし、お互いがその人となりのイメージを膨らませながら想いを深めていくわけですが、それぞれが抱えている悩みと複雑な家庭環境については知らないだけに、時に勘違い&盛大に美化しながら自分の中で結論付けてしまってもそれを指摘する者がいないという状況になってしまうこともある罠。
しかしながら、そんな思い込みや空回り自体も初恋を鮮やかに彩る貴重なエッセンスとして機能しているので無問題!みたいな感じで(・∀・)ニヤニヤさせられました。
自分が不幸な状況であっても、相手が幸せでいてくれるならそれだけで自分も救われる、という感覚は、とても純粋で尊いものだと思いますし、相手と向き合うことが結果的に自分自身と向き合うことにも繋がって、自分を覆い尽くしていた硬い殻を打ち破るきっかけになっている流れもお見事でした。
ぶっちゃけ、ライトノベルというよりは、夏休みの課題図書に選ばれそうな雰囲気の作品、という印象でしたね。

登場人物も極力絞られ、陸と千星の視点をザッピングしながらその日起こった出来事と、その時彼らがどんな思いで行動していたのかが綴られる流れは、ふたりの想いが徐々に深まっていく様子が手に取るように判ってドキドキさせられましたし、自然とふたりが上手くいくように応援したくなってきて心温まりました。
というか、自分があの年頃で彼らのようなポジションで生活していたら、早々にグレるなり心折れるなりしていたと思うので、ぎりぎりながらもそこで踏みとどまって頑張っていたふたりには敬意を感じるレベルですね。
これだけ苦労してきたんだったら、ちょっとぐらい報われても良いじゃない!的な意味でもハッピーエンドになって欲しかったのですが、プロローグ部分がかなり意味深に別れを連想させるものになっているのがまた心憎いw
というか、どんどん残りページ数が少なくなってくるのに、なかなかくっつきそうな雰囲気にならなくてめっちゃヤキモキさせられてしまいました。
…これは良い焦らしプレイですわw

最後まで詳細を敢えて描ききらず、読者の想像に委ねる箇所も多かったですが、とても綺麗にお話を完結させていましたし、その後どういう人生を送るにせよ、この夏のメモリーがある限りきちんと前を向いて進み続けることが出来ると思うので、間違いなくハッピーエンドだと思います。
普段はベタベタヾ(*´∀`*)ノキャッキャ(´∀`*)ウフフ上等!なラブコメを好んで読んでいる自分ですが、たまにこういう爽やかな恋愛ものを読むと良い刺激になりますね(;゜∀゜)=3ムッハー
あとがきで自ら述べられているように、やはりいまどきのラノベの売れ線とは違うと思いますが、機会があれば長編シリーズの合間にこういった単発モノも読ませて頂ければ読者としてありがたい限りです。


気になった方は、是非チェックなさってみてくださいませ。


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