電撃文庫のラノベ、『ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル』(竹宮ゆゆこ先生原作、駒都えーじ先生イラスト)が発売中です。
表紙は新キャラのVJこと、ブリジット・ジェオミレア(口絵のアルファベットの綴りにも注目♪)。
如何にもラノベかギャルゲーのヒロイン!といった雰囲気の彼女ですが、実は二次元くんの脳内嫁という設定のキャラだというから驚きですね。
二次元キャラを自分の嫁にするという様式美も定着しつつある昨今ですが、その為に自分用の完全オリジナルキャラを創りだしてしまうというのは、まさに筋金入りでリスペクトせざるを得ないッ!
流石は俺達の二次元くん、そこにシビれる、憧れるゥ♪
お話的には、ゴールデンタイム本編の主人公、万里の友達である佐藤隆哉(=二次元くん)を主人公にしたスピンオフ作品です。
三次元女はアウトオブ眼中!とばかりにオタク嗜好な彼でしたが、実は高校時代には後輩の美少女から想いを寄せられていた&大学に入ってからは自分と同じ雰囲気を漂わせる腐女子ともお近付きになっていて……と、俺の二次元くんがこんなにモテキャラなわけがない状態な、予想外の展開は必見です。
万里とやなっさん、香子の顔見せもありますが、本編未読でも普通に読めるのでコレを機に読み始めてみるのもアリかと。
序盤こそ、VJやヤンキー姉の舞との絡みで残念ぶりを遺憾なく発揮する二次元くんを見て、ニヤニヤムード全開なわけですが、後輩の“魔性の女”秋との切なくトラウマ気味の過去話や、一念発起して三次元に関わろうとするも迷走しっぱなしで孤独を深めていく様子の描写を通じてドンドンシリアス方向へ転がり落ちていくのが生々しく、((((;゜Д゜)))ガクガクブルブルでした。
何年もオタクをやっている人なら、そこまで思いつめるかどうかはともかくとしても、こんな趣味を続けていて良いのか?と自問したりすることも多いのではないかと思うわけで、同好の士としても、なんとか二次元くんには苦悩を乗り越えて欲しいなと思わずにいられませんでした。
特に、二次元くんの場合は、自分が本格的に二次元にはまるきっかけとなった出来事に心当たりがあるだけでなく、その時の心の傷を自分がこじらせてしまっていることや、いつまで経っても直接向き合おうとせず、逃げ続けていることにもうすうす気が付いているというのがポイントですね。
見ようと思えば答えを見れるはずなのに、他人のせいにしたり、現実逃避したりして、責任逃ればかりが上手くなっていく&そんな自分を更に自己嫌悪してしまうという悪循環ぶりは、ぶっちゃけ自分も身に覚えがありすぎて笑い飛ばせないものがありました。
拒絶されないとはいえ理解も得られず、自分の殻に閉じこもるばかりで、誰かの助けが来るのを待っている的な“甘え”で塗り固められた世界は、ぬるま湯の如く居心地がいいわけですが、どこにも先が続かないという現実と隣り合わせであるというのもまた、避けない真実。
過去からのツケを払うために必要な代償は、分別のある年齢になっても堪え切れない痛みを伴う荒療治とならざるを得ず、周囲と自分をともに血だるまにしながらも進み続けるだけの根性を見せられるのか?が最大の見所ですね。
ぶっちゃけ、秋への、そして秋からの淡い初恋の思い出については、二次元くんの精神的な未熟さ、幼さゆえのあやまちだと割り切った上でふっきってしまうのも一つの解決策だったと思いますし、秋自身の普段の素行にも全く問題が無かったとは思わないのですが、その「ままならなさ」自体にも青春時代特有のオーラを感じたのも事実。
自分ではなく他人がそれを乗り越えられるかどうか?を、ドラマかドキュメンタリーの様に見守るという構図なので面白いと感じる反面、当事者が自分だとしたらワロエナイ……と戦々恐々してしまうのも無理からぬ所だったでしょうね。
そんな中、大学でのオタク仲間的存在になった腐女子の愛可とのやりとりに、数少ない理解者を得た喜びを感じてしまうのは自然な流れだと思いますが、そのまま傷の舐めあい的に恋人関係に発展してしまわない所がまた、妙にリアルだったと思います。
裏表紙のディフォルメキャラの様子を見ていると、これはこれでありな気もしてくるのですが、愛可を自分にとって都合の良い相手だと信じ込もうとした結果、自分との差をありありと見せ付けられ、更に傷付いてしまうという王道の演出が心に沁みるぜぇ (´;ω;`)ブワッ
また、一見モブキャラのチャラ男と見せかけて、意外なほど真実を見抜きまくりだった江別との歯に衣着せぬ口論のシーンに至っては、下手なワナビが読んだら心が折れて再起不能になりそうかも!?と、無駄に不安になってしまいましたw
井の中の蛙というか、無意識に自分の理解できないものを見下してしまうというのは誰しもよくあることだと思いますが、そこをピシャリと指摘されてぐぅの音も出なくなってしまうのは正論とはいえマジ容赦無さ過ぎ!
なんかもう、自分が怒られているみたいでいたたまれない気持ちになってしまいますね。
裏を返せば、それぐらい感情移入させられまくりの良シナリオだったというわけですが、起承転結の転部分の意外性や、クライマックスでの盛り上げ方等、物語としての見せ場がしっかりと用意されていたこともあり、読後の満足感はとても高かったです。
体に入り込んでいた悪い要素を全て吐き出せたというか、憑き物が落ちたというかw
二次元くんが誰を選び、何を捨てることになるのか?という部分に注目しつつ、自分のオタクライフについてもう一度向き合ってみるというのも一興ですね。
劇中で語られた創作活動に関する言及には、プロ作家である竹宮先生自身の理念が少なからず反映されているのだろうなと思うと益々胸熱でしたし、結局、自分自身に対して嘘を付いたり、一番大切なものを裏切ることは出来ない&それほどまでに思い入れのあるものなら、本当に好きだということに他ならないわけで、自分もそれぐらいの熱意を持ってオタク道に邁進していきたいと改めて思った次第です。
カスカベアキラ先生作画のコミック、『エバーグリーン』の原作も好評で、ご多忙な竹宮先生(お体にはくれぐれもお気をつけ下さいませ)ですが、著者プロフィール部分のコメントでは二次元くんエピソードは終わり……と見せかけて機会があれば続きもあるかも?とのことですし、本編共々、その後の物語や他のキャラのスピンオフ作品が描かれることに期待したいですね。
気になった方は、是非チェックなさってみてくださいませ。
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表紙は新キャラのVJこと、ブリジット・ジェオミレア(口絵のアルファベットの綴りにも注目♪)。
如何にもラノベかギャルゲーのヒロイン!といった雰囲気の彼女ですが、実は二次元くんの脳内嫁という設定のキャラだというから驚きですね。
二次元キャラを自分の嫁にするという様式美も定着しつつある昨今ですが、その為に自分用の完全オリジナルキャラを創りだしてしまうというのは、まさに筋金入りでリスペクトせざるを得ないッ!
流石は俺達の二次元くん、そこにシビれる、憧れるゥ♪
お話的には、ゴールデンタイム本編の主人公、万里の友達である佐藤隆哉(=二次元くん)を主人公にしたスピンオフ作品です。
三次元女はアウトオブ眼中!とばかりにオタク嗜好な彼でしたが、実は高校時代には後輩の美少女から想いを寄せられていた&大学に入ってからは自分と同じ雰囲気を漂わせる腐女子ともお近付きになっていて……と、俺の二次元くんがこんなにモテキャラなわけがない状態な、予想外の展開は必見です。
万里とやなっさん、香子の顔見せもありますが、本編未読でも普通に読めるのでコレを機に読み始めてみるのもアリかと。
序盤こそ、VJやヤンキー姉の舞との絡みで残念ぶりを遺憾なく発揮する二次元くんを見て、ニヤニヤムード全開なわけですが、後輩の“魔性の女”秋との切なくトラウマ気味の過去話や、一念発起して三次元に関わろうとするも迷走しっぱなしで孤独を深めていく様子の描写を通じてドンドンシリアス方向へ転がり落ちていくのが生々しく、((((;゜Д゜)))ガクガクブルブルでした。
何年もオタクをやっている人なら、そこまで思いつめるかどうかはともかくとしても、こんな趣味を続けていて良いのか?と自問したりすることも多いのではないかと思うわけで、同好の士としても、なんとか二次元くんには苦悩を乗り越えて欲しいなと思わずにいられませんでした。
特に、二次元くんの場合は、自分が本格的に二次元にはまるきっかけとなった出来事に心当たりがあるだけでなく、その時の心の傷を自分がこじらせてしまっていることや、いつまで経っても直接向き合おうとせず、逃げ続けていることにもうすうす気が付いているというのがポイントですね。
見ようと思えば答えを見れるはずなのに、他人のせいにしたり、現実逃避したりして、責任逃ればかりが上手くなっていく&そんな自分を更に自己嫌悪してしまうという悪循環ぶりは、ぶっちゃけ自分も身に覚えがありすぎて笑い飛ばせないものがありました。
拒絶されないとはいえ理解も得られず、自分の殻に閉じこもるばかりで、誰かの助けが来るのを待っている的な“甘え”で塗り固められた世界は、ぬるま湯の如く居心地がいいわけですが、どこにも先が続かないという現実と隣り合わせであるというのもまた、避けない真実。
過去からのツケを払うために必要な代償は、分別のある年齢になっても堪え切れない痛みを伴う荒療治とならざるを得ず、周囲と自分をともに血だるまにしながらも進み続けるだけの根性を見せられるのか?が最大の見所ですね。
ぶっちゃけ、秋への、そして秋からの淡い初恋の思い出については、二次元くんの精神的な未熟さ、幼さゆえのあやまちだと割り切った上でふっきってしまうのも一つの解決策だったと思いますし、秋自身の普段の素行にも全く問題が無かったとは思わないのですが、その「ままならなさ」自体にも青春時代特有のオーラを感じたのも事実。
自分ではなく他人がそれを乗り越えられるかどうか?を、ドラマかドキュメンタリーの様に見守るという構図なので面白いと感じる反面、当事者が自分だとしたらワロエナイ……と戦々恐々してしまうのも無理からぬ所だったでしょうね。
そんな中、大学でのオタク仲間的存在になった腐女子の愛可とのやりとりに、数少ない理解者を得た喜びを感じてしまうのは自然な流れだと思いますが、そのまま傷の舐めあい的に恋人関係に発展してしまわない所がまた、妙にリアルだったと思います。
裏表紙のディフォルメキャラの様子を見ていると、これはこれでありな気もしてくるのですが、愛可を自分にとって都合の良い相手だと信じ込もうとした結果、自分との差をありありと見せ付けられ、更に傷付いてしまうという王道の演出が心に沁みるぜぇ (´;ω;`)ブワッ
また、一見モブキャラのチャラ男と見せかけて、意外なほど真実を見抜きまくりだった江別との歯に衣着せぬ口論のシーンに至っては、下手なワナビが読んだら心が折れて再起不能になりそうかも!?と、無駄に不安になってしまいましたw
井の中の蛙というか、無意識に自分の理解できないものを見下してしまうというのは誰しもよくあることだと思いますが、そこをピシャリと指摘されてぐぅの音も出なくなってしまうのは正論とはいえマジ容赦無さ過ぎ!
なんかもう、自分が怒られているみたいでいたたまれない気持ちになってしまいますね。
裏を返せば、それぐらい感情移入させられまくりの良シナリオだったというわけですが、起承転結の転部分の意外性や、クライマックスでの盛り上げ方等、物語としての見せ場がしっかりと用意されていたこともあり、読後の満足感はとても高かったです。
体に入り込んでいた悪い要素を全て吐き出せたというか、憑き物が落ちたというかw
二次元くんが誰を選び、何を捨てることになるのか?という部分に注目しつつ、自分のオタクライフについてもう一度向き合ってみるというのも一興ですね。
劇中で語られた創作活動に関する言及には、プロ作家である竹宮先生自身の理念が少なからず反映されているのだろうなと思うと益々胸熱でしたし、結局、自分自身に対して嘘を付いたり、一番大切なものを裏切ることは出来ない&それほどまでに思い入れのあるものなら、本当に好きだということに他ならないわけで、自分もそれぐらいの熱意を持ってオタク道に邁進していきたいと改めて思った次第です。
カスカベアキラ先生作画のコミック、『エバーグリーン』の原作も好評で、ご多忙な竹宮先生(お体にはくれぐれもお気をつけ下さいませ)ですが、著者プロフィール部分のコメントでは二次元くんエピソードは終わり……と見せかけて機会があれば続きもあるかも?とのことですし、本編共々、その後の物語や他のキャラのスピンオフ作品が描かれることに期待したいですね。
気になった方は、是非チェックなさってみてくださいませ。
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