最近の出来事

ニュースや新しいテクノロジー、サイエンスについて感じること。

ソーシャル・ネットワーク

2010-10-05 18:08:04 | 日記
先週のボックスオフィスで第一位だった The Social Network を観た。
いわゆる伝記物だが見応えがある。
二人の若者が友情、信頼、欲、裏切を経験し変化していく。

主人公のマーク=ザッカーバーグ(ザック)はハーバード大学でも一目置かれる天才なのだが、彼の社会生活はバラ色とは言えない。
特に、彼女とは非常に惨めな破局を迎える。
その彼がSN(ソーシャルネットワーク)の代表格とも言える Facebook を作り上げていく過程を描いた映画だ。

彼が、後発のフェースブックをどうデザインすることによって MySpace を超えていったかが柱の一つではあるが、その奮闘を支えたエデュアルド・サヴェリンの友情、その後の二人の確執と裏切り、法廷での争いと和解がその周りで渦巻く。
更に、ナップスターの創始者であるショーン・パーカーのフェースブックにおける役割も描かれているが、何故、ザックが彼のアドバイスを受け入れたかが容易に理解できるつくりとなっている。
様々な人間の思惑と葛藤が真実味たっぷりに盛り込まれた楽しめる映画だった。

俳優陣は、「ゾンビーランド」で好演したジェシー・アイゼンバーグが主役で、新作のスパイダーマンで主役ピーター・パーカーを演じるアンドリュー・ガーフィールドが相手役を務める。
映画の中で彼のモチベーションの一つとして登場するエリカ役を「エルム街の悪夢」のルーニー・マーラが好演する。

フェースブックは個人情報を公開し、友人間で近況を知らせ会うには大変都合がよいが、日本では受け入れられないかも知れない。
広告も少なめで、使いやすさとすっきりしたデザインを売りとしているが、現在付き合っている相手の名前とフェースブックページを公開し、音楽、映画の好みから性的嗜好まで自己紹介に載せる習慣は日本では根付かないと思うからだ。
ソーシャルネットワークを使う人の立場で改善し、数億円というはした金に目もくれず上を目指したフェースブック・チームの先見性には脱帽だ。
映画を観れば多くの大学生とその家族がフェースブックに登録している理由を知ることができる。


映画を見に行く前に、以下の用語を知っておくと役に立つかも知れない。

ファイナル・クラブ(ハーバード)
映画の中でザックが入りたがっていルとして描かれた、ボストンの学生クラブ。
因みに彼は「ファイナルズ・クラブ」と名前を誤解している。
男性だけが入れる100年以上の伝統をもつクラブが8個あり、ハーバードの学生で選ばれた者のみが入会できる。
いわゆるフラタニティーと似ているが幾つか異なる点がある。
まず、大学と縁がないという点。
男女差別だとして大学から指導を受けた際、縁を切って独立したからだ。
もちろんいまだに卒業後の世話等でコネが利くだけではなく、一種の特権階級の仲間入りをするという意味があるので学生には人気がある。
実は、ザックは在学中にクラブに興味を持っておらず、映画の話は筋書きをスッキリさせるための設定だったそうだ。

ハウス(ハーバード)
いわゆる寄宿舎だがそれだけにとどまらない。
奨学金もハウスごとに存在するし、各々のハウスの卒業生と在校生のつながりもある。
一つの生活単位と考えた方が良い。
映画の中に「ハウスの名簿」が出てくるが、データベースはハウス毎に別個でしかもユーザーインターフェースが全く異なる。
ザックが各々の名簿をハッキングする際にいちいちプログラムを書き直さなければいけなかったのはそのためだ。
それだけ各ハウスの独自性が強いと理解すればいい。

ナップスター
P-to-P のファイル交換プログラムの草分けで、音楽ファイルを主な標的としていた。
映画に登場するショーン・パーカーがショーン・ファニングと共に創始した会社だが、法廷闘争で敗れ破産した。
最終的にはその名前とロゴを電子機器類の小売業者であるベスト・バイが100億円以上で購入している(2008年)。
ショーンが映画の中で強調した「 "being cool" が結局お金を呼び込む」という考えの正当性をこの事実が証明している。

VC
Venture Capital: 初期の会社への投資。
映画の中ではザックが500万ドルの出資を受けると言う描写があるが、まさにその種資金がVCだ。
出資者をエンゼルと呼ぶこともある。