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院内感染

2010-10-01 11:16:17 | 日記
厚生省がようやくアシネトバクターについて、感染症法に基づいた定点観測を始めるらしい
帝京大学病院の院内感染が大きな問題となったからだろう。
しかし対策が後手に回っている感は否めない。

米国CDCではアシネトバクターを要注意細菌の一つとして以前からモニターしてきた
多剤耐性菌に対する注意事項をまとめた2006年の冊子にもアシネトバクターはリストされている。

これまで日本では、黄色ブドウ球菌、腸球菌、肺炎球菌と緑膿菌が感染症法の対象だった。
CDCではこれらに加えて、カルバペネム耐性肺炎桿菌と多剤耐性結核菌、そして多剤耐性アシネトバクターをリストに加えていた。

2002年のデータを見ると、アメリカ国内で170万人が院内感染に罹り、10万人近くが亡くなっている。
日本では同様のデータが公開されていない。
正確には、充分な調査が行われておらず信頼できるデータが存在しないと言うのが真実だろう。
米国のデータに戻ると、院内感染全体の約1/3が尿路感染だ。
それ以外では、手術創の感染が22%、呼吸器感染が15%、血流感染が14%となっている。
集中治療室でのデータだけを抜き出すと、尿路感染が26%まで減少し、呼吸器感染が26%と増加する。

MRSAやバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌についても遺伝子型の検出を含め、同様に徹底した疫学調査がなされている。

こう言ったデータは研究や感染対策の基礎となるべきもので、正確かつ迅速に収集が行われなければいけない。
日本の厚労省も問題が大きくなってから腰を上げるのではなく、病院に対する聞き取り調査を日常的に行い、必要ならば調査を拡大していくという積極的な態度を持って欲しい。
問題が表面化するまでは事なかれ主義で行く(つまり何もしない)と言うのでは情けない。