昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

可能性を秘めたIoT赤道儀MX-HD

2019-07-10 13:43:36 | 製品情報

前回の記事につづいて、今回はMX-HDのさまざまな機能についてご紹介します。

MX-HDは、ハーモニックドライブの持つ利点を生かすために、いくつかの特徴的な機能を持たせています。

一つは、モーターの励磁をON/OFFすることで実現したスマートクランプ機能です。これまでの赤道儀のように、クランプを緩めて目的の天体を導入することができます。ハンドボックス操作だけで緩めたり締めたりできるので暗闇でクランプレバーを探す必要はありません。
スマートクランプと対になるのは原点復帰機能です。内蔵された原点センサにより本体の姿勢を非常に正確に検出でき、アライメントすることなく天体の導入が可能になります。この機能はロボット赤道儀として使う上では欠かせない機能です。

MX-HDには、ハンドボックスを接続するAUXポートと、ST-4互換のオードガイドポートの二つが用意されています。PCやタブレットにインストールした天文ソフトを介した制御には、内蔵するBluetoothやWiFiを用いて接続します。無線接続なので、もうUSBやシリアル接続の場合のようにケーブルの取り回しなどを気にする必要はありません。

もちろん、この無線接続による恩恵はそれだけにとどまりません。
内蔵するソフトウェアのアップデートも、ファイルをダウンロードすることなく、ハンドボックスからアップデートメニューを選択するだけです。あとは、MX-HDがすべて自動的に行ってくれます。

最後に「IoTクラウドモード」についてご紹介します。

IoTはInternet of Thingsの頭文字を取ったもので、インターネットを介していろいろなモノを動かすというコンセプトで考えられました。最近はさまざまな家電製品に実装されるようになっのでご存じの方も多いと思います。

MX-HDは「世界初のIoT赤道儀」として、インターネットを介してその機能を操作できるだけでなく、さまざまなIoTサービスとリンクしてお好きなインターフェースを使って赤道儀の操作あるいは制御が行えます。

CANP2019では、MX-HDをインターネットに接続しIoTクラウドモードによる自動導入などのデモを行いました。

IoTサービスによってスマートフォン上にグラフィカルに作られた仮想ハンドボックスからの操作だけでなく、他のサービスと連携させて、「クランプを締めて」、「原点復帰して」、「M31を導入して」となど話すだけでMX-HDを操作するデモを行いました。

現在これらの機能は、全てのメシエ天体、NGC天体、あるいは主な恒星について対応しており、現在も対象天体の拡張を進めています。

もちろん、こういったカタログデータを使った動作だけでなく、望遠鏡を指定角度だけ回転させる機能などもサポートしており、天体写真の撮影や、電子観望などで、対象の天体を中央に移動させたい時などに便利な機能も容易してあります。私たちは、音声を使った操作が単なるギミックではなく、地域での天体観望会や、グループで星空を楽しむシーンにおいて、とても有効なインターフェースになると考えています。また、天体撮影のシーンでも、効率的な操作を可能にしてくれるに違いありません。

「IoTクラウドモード」は、可能性を秘めた新しい機能です。使われる方のアイデア次第で、可能性は大きく広がっていきます。すなわち、私たちが考えついた、あらかじめ組み込んだ機能が全てではありません。ですから、みなさんが、思いついたアイデア、あるいは「こんな事できないか」というご意見をぜひ教えてください。私たちは、そのようなご意見をできる限り取り入れていきたいと考えています。

MX-HDには、これまでにない「使いやすい」「便利」「たのしい」を詰め込みました。さらに、使われる方の「使いやすい」「便利」「たのしい」を取り入れて、末永く使っていただける赤道儀としてまいります。ぜひご期待ください。

現在、MX-HDの発売は9月1日を予定しており、既に、いくつものお問い合わせをいただいていることから、8月より予約受付を開始すべく準備を進めていています。また、お問い合わせの多い価格につきましては、税別で65万円を切る価格を予定しております。

詳細につきましては、今後、本Blogあるいはホームページでお知らせいたします。

MX-HD赤道儀について
http://gototelesco.co.jp/mxhd.html