書籍名 夜子 カテゴリー 写真集
著者名 荒木経惟 発行年(西暦) 1996
出版者 風雅書房 値段 3000-4000円
投稿日時 2007/07/18 00:10 本のサイズ B4版
感想
感動度 実用度 娯楽度 ファッション度 難易度
☆☆ ☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆☆
1996年当時は新人女優とされた夜子。その後の人生の展開は不明だが、少なくともこの荒木経惟が撮影した写真の中では「謎」「希望」に満ちた不可思議な笑みをうかべる。服をきているときのほうがエロティックで脱いでしまうとまたなんでもない裸体が写真にでてくるのは荒木経惟の写真の特質だろう。黒のワンピースにお寺のそばをただじっと歩く後姿にこそ日本の美があるようにおもわれる。
それにしてもこの写真集の値段が3500円。今ではなかなか市場ベースにはのりにくい写真集だと思うが、当時はまさしくこうした日本の伝統文化の中に切り込んでいく荒木経惟の写真は一つの前衛だったのだと思う。今、それから約10年。この写真集も「私自身」が捨てるときにきたように思う。美も伝統も写真もいつしかは違う形態へと移りいくものといえるだろうか。
著者名 荒木経惟 発行年(西暦) 1996
出版者 風雅書房 値段 3000-4000円
投稿日時 2007/07/18 00:10 本のサイズ B4版
感想
感動度 実用度 娯楽度 ファッション度 難易度
☆☆ ☆ ☆☆☆ ☆☆ ☆☆
1996年当時は新人女優とされた夜子。その後の人生の展開は不明だが、少なくともこの荒木経惟が撮影した写真の中では「謎」「希望」に満ちた不可思議な笑みをうかべる。服をきているときのほうがエロティックで脱いでしまうとまたなんでもない裸体が写真にでてくるのは荒木経惟の写真の特質だろう。黒のワンピースにお寺のそばをただじっと歩く後姿にこそ日本の美があるようにおもわれる。
それにしてもこの写真集の値段が3500円。今ではなかなか市場ベースにはのりにくい写真集だと思うが、当時はまさしくこうした日本の伝統文化の中に切り込んでいく荒木経惟の写真は一つの前衛だったのだと思う。今、それから約10年。この写真集も「私自身」が捨てるときにきたように思う。美も伝統も写真もいつしかは違う形態へと移りいくものといえるだろうか。
懐かしい名前を拝見しましたのでカキコです(笑)
アラーキーの写真はあの小船の中にしどけなく
横になっている亡き妻の画像の印象が深いです。
(確か癌で亡くなったのでしたよね)
ワタクシは写真集はほとんど見ないのですが、
アラーキーはやはり天才だ!!といつも思います。
何かを少しだけ纏っているのは最高のエロティックだと
思いますよ(笑)
”すっぽんぽん”はどれほどその肉体が美しかろうと
あまりエロスを感じません
感動する写真はやはり時代を超えるのではないでしょうか。
ワタクシはアラーキーはかなり好きですねえ(笑)
このウェブ時代になりますとパソコンの画面でも写真そのものは見れますが、アラーキーさんの場合には、やはり「紙」の「質」とか「手触り」も重要な要素のような気がします。高価なコートの紙よりも「ザラついた紙」のほうが、しっくりくることが多く…。いろいろな意味で今でも革新的な存在ですね。「きれい」「美しい」といった言葉からイメージされる「幅」を広げてもらったような気がします。アラーキーさん登場以前の「きれい」という言葉には、非常に狭い意味とイメージしかなかったような気がしますし…。
どんどん現在は書籍を捨てているのですが、写真と絵画関係の書籍では今手元にあるのはゴッホ展の絵画パンフレット、集英社のクリムト、そしてアラーキーの「墨東エロス」などかなり数が少なくなってきました…。イメージを絵画矢写真から読み取ろうとする力がちょっと衰えているのかもしれません。そして増えてきたのがやはり情報処理関係…。いずれ「振り子」がまた戻って写真集や絵画などを集めだすのかもしれませんが、アラーキーの写真集から得た鮮烈なイメージの力は、やはり「フラッシュバック」みたいに、路地裏や繁華街などのなにげない日常生活で実感することがあります。やはり天才ですね…。
アラーキーは一時期コンタがのめり込んでいまして(笑)確か図書館でコンタが借りた写真集を、ワタクシも一緒に見たのだと記憶しています。
美の基準は「ヒト其々」、ただ美しいだけでなくその裏の顔も写し出してしまう、そういうギリギリの際のようなものを感じました。
それから生きているという実感でしょうか。そこには哀しみや当然負の感情もあるわけですが、全てをひっくるめて存在そのものを肯定するという姿勢をあのモノクロ写真から強く感じました。
売るのではなく廃棄・・・なんとなくその気持ち、わかるような気がします(笑)自分がのめりこんだものが人手に渡るのはなんというか、惜しいような勿体無いような、それだったら捨ててしまえ!!とワタクシはなります。
本はなかなか売れないし、捨てる事ができませんね。ごとりんさんの書棚は半端じゃない数がありそうですので、そうも行っていられないでしょうけれども(笑)
とはいいますものの若手のカメラマンから「アラーキーさんの撮影はヘタだ」といわれたアラーキーさん、珍しく怒って、「俺は下手なんじゃなくて下手に見えるように撮影しているんだっ」とおっしゃったとのこと。なんだか「出来すぎ」の話でもしかすると都市伝説なのかもしれないですが…。
アラーキーさん、実はホンモノが道を歩いているところにでくわしたことがあります。背の高い、やはりいつものアラーキーさんの写真集にでてくるようなモデルさんがお二人一緒でしたが、なんだか大きな声で話している人がいるなあ、と思ったらアラーキーさんでした。地元神○坂の交差点でしたが、
「俺って生活力ある~?」
という声と笑い声が坂道にコダマしていました。写真そのまんまの天然素材でやっぱり天才ですね。あ、そういえばジャーナリストの立花隆さんはアラーキーさんと同じ高校で同じ学年で、しかも今はお互い写真集とルポを交換しあう間柄とか…。「田中金脈列島」とかアラーキーさん、読むんですね…。