ごとりん・るーむ映画ぶろぐ

 現在584本の映画のあくまで個人的な感想をアップさせていただいています。ラブコメ、ホラー、歴史映画が好きです【^_^】

ミッション 8ミニッツ(ダンカン・ジョーンズ監督)

2012-05-01 | Weblog
キャスト:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ジェフリー・ライト、ヴェラ・ファーミガ、マイケル・アーデン
ストーリー:アフガニスタン駐留第17空挺部隊所属のスティーヴンス大尉は、ある日目覚めると不可思議なカプセルの中にいた。そしてなぜか画面を通じてオペレータの指示を受け、シカゴに向かう旅客鉄道の同じ車両に移動して爆発テロを経験する…
コメント:いわゆるストーリー展開は非常に速い。見ていて飽きることはないし、ラストのご都合主義もまあ許せる範囲内。カメラは終始車両のなかを移動するだけだが、それもまた閉ざされた空間のなかの映画ということで許せる。ジェイク・ギレンホールは相変わらず「苦渋」に満ちた演技でそれがアメリカの批評家には受けがいいのかもしれないが、もう少し自然体でもいいのかな、とも思う。俳優は似て非なる場面をそれぞれ演じ分けており、その演技だけでもこの映画見る「価値」はある。
 冒頭ではシカゴユニオン駅に向かう二階建ての鉄道が青空のもとするっと走っており、線路の上を走る電車の様子がまたなかなか良い。いわゆるタイムトラベルものではないし、謎解き映画でもない。電車マニアにはたまらない純愛映画という分類か。アクションシーンとよべるものもなく、ただひたすら「過去に戻ってもっと情報を得ていたら…」的なストーリー展開が、面白さを増幅させている。
 ニューヨークからおそらくシカゴに向けて走る鉄道だと思うが、車内の機能美が映画のやや暗い雰囲気と微妙にマッチしていてよい。シカゴの空も自然な青さで、それがジェラルミンの鉄道車両と映える。低予算で製作した映画といってよいが、舞台装置などに工夫がみられる。CGも多少使われているが、イヤミにならない程度で好ましい。ただまあ、なんというか無理やりにでもハッピーエンドにしなきゃならなかったのかというと疑問。「マトリックス レボリューション」でもソフトウェアの世界の出来事がハードウェアになんらかの影響を及ぼす…あるいはプログラム製作者の意図を超えたデータ修正が行われる…というのは実際にはありえないというかそれはもはやコンピュータの暴走になってしまう。後味は悪くともエンディングのラスト5分前で映画を終わらせる方法もあったのかな、と思う。

リミット(ロドリゴ・コルテス)

2012-04-30 | Weblog
キャスト:ライアン・レイノルズ、ロバート・パターソン、サマンサ・マシス
ストーリー:イラクでCRT社の運転手として勤務していたポール・コンロイはシーア派ゲリラに銃撃され、棺の中にとじこめられたまま生き埋めにされる。手元にはライターと携帯電話のみ…。
コメント:主役のライアン・レイノルズはスカーレット・ヨハンソンの元旦那。野性的な感じがイラクで運転手として勤務していた…というシチュエーションにはまっている。ややエキセントリックな言い回しも本人が「不安神経症」という設定なのでやむをえないか。「とことんありえない位のハッピーエンド」がハリウッド映画だとすると、とことんまでどん底に落ちていくのがこの映画。シンプルに光と影で構成しているのは好感が持てる。「3週間前に助けられたマーク・ホワイト」についてのエピソードもなかなか。棺の体積のわりには酸素が持ちすぎるのがエピソードの補強として弱いが、カメラをずっと狭い空間にはわせたアイデアがさえているので仕方がない。
 主人公は宗教にも頼らないのが面白い。徹底して携帯電話やナイフを駆使するが「おお神よ」といった神頼みはいっさいおこなわない。キリスト教(もしくはほかの宗教)から距離をおいて製作する映画というのも珍しい。あえてアメリカ人をイラクの砂漠に埋め込んだというシチュエーションにしたのも、キリスト教的なものを排除して映画を作ってみようという製作者の意図ではないだろうか。その代わり「携帯電話」がまるでバイブルのように活用されていく。アラビア語の画面ではただひたすら受信するだけ(神のお告げをきくだけ)だったコンロイだが、英語の画面に切り替わった瞬間に「受信だけではなくお告げを告げること」もできるようになる。その頃には当初の不安神経症でただ暴れるだけのコンロイではなく「死を悟った」とやや達観したように話すのは決して無関係ではないだろう。
 いわゆるハリウッド型の英雄とは無縁の「ポール・コンロイ」だが、人格的にも未熟で、しかもアメリカでは経済的に困窮していたことがうかがわれる(実際にアメリカではリストラされた人はイラクに出稼ぎにいくことが多いという)。不完全だからこそこの映画を見ているうちにコンロイに感情移入してしまう。その未熟な人格が途中で「変化」するきっかけはやはり携帯電話だったのではないか。
 この映画は「棺」だから重苦しい感じになってしまうが、ハリウッド映画でいえば「スター・ウォーズ」の宇宙船がこの映画の棺に相当する。どちらも外にでれば酸素がなくて死んでしまうので、宇宙で戦うのかイラクの砂漠の下で戦うのかの違いでしか実はない。したがって、ルークがもっている剣はナイフへと「在り方」を変える。が、それは表面的なことにすぎない。ルークが辺境の惑星の若者から、レジスタンスのリーダーになっていくように、コンロイも棺のなかで粗暴な運転手から父親、夫として再生していく。
 表面的な物語とは別個にコンロイの「メッセージ」が外の世界に生きて伝わっていく様子は、たとえばyoutubeの動画で47,000回再生されたというセリフや小道具のヘビがある。脱皮を繰り返して生き延びるヘビは生命のシンボルとされている。この映画でも突然途中でヘビが現れ、しかも死ぬことなく棺の外へするりと逃げてしまう。別にヘビを突然出現させようがさせまいが映画全体の物語としては大きな変化はなかったはずだ。またヘビを叩きつぶすことなどもできたはずだが、それはあえて脚本上しなかった。それは、蛇の「再生」というメッセージを観客に伝えたかったからではないか…。

 スルスルと音もなく上から落ちてくる砂は、ある意味では快感だ。主人公は絶望的な状況であってもラストの表情は哲学的な深さに彩られている。このラスト、やはり「再生」をめざす新しい英雄のそれではないか、と。

バトルシップ(ピーター・バーグ監督)

2012-04-22 | Weblog
キャスト:テイラー・キッチュ、ブルックリン・デッカー、アレキサンダー・スカルスガルド、リアーナ、浅野忠信、リーアム・ニーソン
ストーリー:2005年にNASAは恒星からの距離が地球と近似し、水が存在すると考えられる惑星に集中して電磁波を発信し、その基地局をハワイ・オアフ島に設置した。それから約7年後、ハワイ沖で環太平洋合同演習が開催され、アメリカ海軍、日本、マレーシア、オーストラリアなどの戦艦、駆逐艦が模擬演習に入ろうとした矢先、謎の飛行物体が海面に落下した…
コメント:宇宙からきたエイリアンはオアフ島からバリアを築いてしまったため、実質的に宇宙人と戦ったのはアメリカ海軍所属の駆逐艦2隻と日本の海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」の1隻のみ。監督のピーター・バーグはかなりの日本好きと見た。なにせアメリカの星条旗と同じかそれ以上の日章旗の登場で、しかも交流サッカーでは日本が勝利するというストーリー構成。一部ではこの映画の日本偏重に韓国では異論もでているというが、ま、それは映画の話だし。
 合同演習中に海上自衛隊が宇宙人と交戦してもとかく世間で騒がれる様子もなく、これって1970年代や80年代だったら大騒ぎだったのだろうなあ…などとふと思う。ちなみに「みょうこう」は実際に海上自衛隊に存在する護衛艦である。日本の艦長役を浅野忠信が勤め、英語でアメリカ海軍の将校と会話。環太平洋合同演習で北のある国やユーラシア南西部のGDP2位の国を想定して合同演習ということであれば、やはり日本の海上自衛隊の一定のクラス以上は英語は必須になるだろうとそれは納得。日本では憲法9条第2項で「交戦権は認めない」とされているが「交戦権」については具体的・一般的解釈がまだ確立していない。実務的な側面は部隊行動基準に「武器等の防護のための武器の使用」(2006年改正)として定められており、この映画の海上自衛隊(とアメリカ海軍)はそれぞれ宇宙人に対しても部隊行動基準にのっとった戦術を展開(これは意図的ではないかもしれない)。浅野忠信もオアフ島に上陸してまでは宇宙人とは交戦しておらず、的確な任務遂行に徹している。おそらくアドバイザーがいて、「この映画では香港が宇宙人に破壊されるシーンは出しても北京はやや問題があるかも」「リムパックに韓国海軍を出すとそれがまたややこしくなるかも」といったアドバイスがなされたのかもしれない。
 で、映画そのものは迫力満点でこれは自宅でテレビの画面で見るよりも映画館の大きなスクリーンで見たほうが絶対に面白いだろう。銃撃戦の連続でやや疲れる部分もあるが、それぐらいの「交戦映画」はここ数年の間では珍しいかもしれない。その上で見ているうちに「物語」の疑問な点がいくつか。
1.26歳まで職も貯金もなかったアレックス・ホッパーが海軍に入隊して数年で「中尉」になる…なんてことがありうるのだろうか。いくら実力主義のアメリカであっても伍長ぐらいがせいぜいではないかと思うが…
2.日本の長田一佐は映画の途中でアメリカ海軍駆逐艦JPJの艦長となり、指揮権を得るのだが、果たして国籍の違う、また所属機関の違う人間に「駆逐艦」の指揮権を讓ることができるのかどうか。いや、日本人としてはなかなか胸の熱くなる場面ではあるのだが。
3.それをいっちゃあ…ということになるのだが、派遣元の惑星ではとりあえず5つの先遣隊を送って、しかし帰ってこないし連絡もこないということになれば、もっと大軍でやってくるのではないか…。あ、それがPART2になるわけか。ただあれだけのスピードで襲来してきたエイリアンが地球の太平洋沖ではそれほどのスピードでもない(もっとスピードは速いはず)のが気になる。●●光年を移動できるテクノロジーがあるわりには方向転換のスピードなどはアナログだ。
 まあ、でもそれだけ珍しい造りの映画で、しかもハイテクのようでいてローテクな題材で構成されているっていうあたりが、面白いのかも…。

モールス(マット・リーブス監督)

2012-04-22 | Weblog
キャスト:エディ=スミット・マクフィ、クロエ・グレース・モレッツ、リチャード・ジェンキンス、カーラ・ブオノ、イライアス・コティーズ
ストーリー:アメリカ・ニューメキシコで両親が別居中の12歳の少年オーウェンは学校ではいじめられっこ。街から出るのを夢見ていた。ある日、50代の初老の男性と雪の中裸足で歩く少女が隣室に引っ越してくる。そしてその日を境に近所では不可思議な猟奇殺人事件が続発しはじめた…
コメント:「目にみえる怖さ」が全面にでてくるハリウッド映画のなかでは、沈んだ画面が印象的だ。原作がスウェーデンのストックホルムにロケーションされているためか終始雪の場面が続く。時代も1983年に設定され、携帯電話やインターネットなどはでてこない。小道具としてルービックキューブやゲームセンターのパックマンなどが使われている。ストーリーはきわめてシンプルで、シンプルであるがゆえに、怖さと12歳の少年少女の純粋さが際立つ。主人公のオーウェンとアビーの運命はすでに冒頭で呈示されており、なんの破綻もなければこの「ストーリー」は繰り返されていくという無限地獄へ…。暗い画面のなかでときおりはさまれる日光のショットがはっとするほど美しい。
 監督のマット・リーブスは、ジョン・ボイトが主役をつとめた「暴走特急」の脚本を書き、独自の撮影技術でしょうもないストーリーともおもえば「クローバーフィールド」を監督した人。一転してきわめて静かで、しかも地味なキャストで勝負するホラー&恋愛映画を完成させた。純粋さは残酷さと通じ、グロテスクは純愛に通じる。残虐なシーンもありながらもラストはやはり「日光」と「モールス信号」の取り合わせが見事。主役のクロエ・グレースが「ほどほど」の顔つきなのが実はかえって良かったのかもしれない。画面でみるとやや顔がはれぼったいが、ストーリーが進むにつれてその「顔」が「怖さ」と「純情さ」と「狡猾さ」を巧みにトリコロールしてくる。

パイレーツ・オブ・カリビアン~生命の泉~(ロブ・マーシャル監督)

2012-04-08 | Weblog
監督:ロブ・マーシャル
キャスト:ジョニー・デップ、ジェフリー・ラッシュ、イアン・マクシェーン、ペネロペ・クロス、ケヴィン・マクナリー、サム・クラフリン、キース・リチャーズ、ジュディ・デンチ、アストリッド・ベルシュ・フリスベ
コメント:「シカゴ」のロブ・マーシャル監督によるシリーズ第四作。「パイカビ」シリーズは第1作はそこそこ面白かったが、第2作と第3作は大味すぎて非常に退屈。この第4作は制作費約2億ドルで第3作の約3分の2の予算だが、それがかえって良かったと思う。第2作~第3作を通じて、ジョニー・デップが持っている「海図」が二次元で、英国海軍が持っている三次元の地球儀ではないことが気になっていた。第4作でもデップが持っている海図は二次元地図。「この世の果て」では上下逆さまに船がひっくり返っていたが、三次元の地球儀をベースにしている英国海軍はおそらくジャック・スパロウがたどり着けた「世界の果て」にはたどりつけまい。「上下反転」はこの第4作でもでてくるが、やはり最初に「上下反転」の世界にたどりつくのはジャック・スパロウであったことは興味深い。
 さて第1作~第3作ともに英国の覇権下にあることはわかっていても、どの時代の大英帝国かは映画では明示されていなかった。この第4作ではジョージ2世とフェルナンド6世が登場するため、18世紀前後に時代が設定されていることがわかる。そしてこの18世紀ではジョージ2世はスペインとフランスに対してかなり敵対的な外交を展開していた。また海賊「黒ひげ」も実在。映画ではエドワード・ティーチという名前になっているが実際は12回ほど名前を変えている。白骨死体で登場するファン・ポンセ・デ・レオンはコロンブスの随行員で、フロリダを発見した人物。「若返りの泉」(映画では生命の泉)を発見したことになっている。
 どったばったのアドベンチャー映画ではあるのだが、ある程度大人も相手にしなければならないとなると、これまでの海賊伝説も踏まえてエピソードに深みが必要になってくるのだろう。これからさらに欧米を中心とした海賊の「逸話」が盛り込まれてくるとなると、けっこう第5作も面白いものになるかもしれない。

ロスト シーズン1~シーズン6(J.J.エイブラムス監督)

2011-08-28 | Weblog
ストーリー:シドニー発ロスアンゼルス行きのオーシャニック航空815便が突如のエンジントラブルで前後に機体が折れ、南太平洋の孤島に不時着。奇跡的に生き残った48人は海岸で救出を待つが、島の奥からは謎の生物や白熊などが現われる。フィジーへの不時着をめざしていたが途中で信号機も壊れたので救出の見込みがたたないが、48人はとりあえず文化、人種の違いを乗り越えていこうとする…
キャスト:マシュー・フォックス(ジャック)、エヴァンジェリン・リリー(ケイト)、ジョシュ・ホロェイ(ソーヤー)、ナヴィーン・アンドリュース(サイード)、ホルゲ・ガルシア(ハーリー)、ダニエル・デイ・キムジ)、キム・ユンジン(サン)、エミリー・デ・レイビン(クレア)、エリザベス・ミッチェル(ジュリエット)、マイケル・エーソン(ベン)、テリー・オクィン(ロック)、ヘンリー・イアン・キュージック(デズモンド)、ジェフ・フェイヒー(フランク)、スレイカ・ロビンソン(イラーナ)、真田広之(ドウゲン)、ネスター・カーボネル(リチャード)、マーク・ベルグリノ(ジェイコブ)
コメント:きわめて奇妙な「物語」でしかも長い。にもかかわらず一定の視聴率を全世界的に確保したのには、それなりに理由がある。もちろん商業ベースでの「仕掛け」も見逃せない。アジアからは第1シーズンから韓国人俳優を起用。さらにオーストラリア発の飛行機が墜落という設定で、クレア役のエミリー・デ・レイビンなどオーストラリアの俳優を起用。そして英国人俳優と米国人俳優を組み合わせることで、英語圏や韓国、そして真田広之の起用による日本などの潜在需要を確保した。またタイに「ジャック」が訪れるという設定でアジア圏内にも目配せしている。撮影のほとんどはハワイのオアフ島でおこなわれたというが、限られたロケーションでこれだけバラエティのある設定をもりこんだ製作者の手腕は評価されるべきだろう。
 ただ一番の魅力は…というと「謎」の中にも不可思議な魅力をもつストーリーにあるのではないか。このストーリーの中に浮かび上がるのは、一種のマザコンとファザコンの大人たち。限られた島の中で、ただひたすら飲み物や水をめぐる争いをしているが、主役級の役者の設定はいずれも家庭に問題を抱えている。となると、ここで発生した不可思議な事柄も、一種の「無意識」のなかで発生しているゴタゴタとしてみていくと解決はつく。ステップアサイドストーリーとして語られる島の外側では、一応現実味のある人生が発生している。しかし島の中では、不思議な黒い煙やタイムトラベルなどありそうもない不可思議な現象ばかり。島の外は「意識の世界」=大人の世界で、島の中は「無意識の世界」=説明のつかないいろいろな葛藤がくりひろげられる。法や道徳や規範などが支配的でない世界が島の中の世界なので、時間軸やら常識やらという枠組みすら問題にならないことが起こる。
 第1シーズンではとりあえず「光」と「闇」の対立という説明をバックギャモンに託して、設定しようとした節がある。たあ製作者は途中でそれも断念したようだ。

バーン・ノーティス 元スパイの逆襲 第1シーズン(マット・ニックス製作)

2011-02-27 | Weblog

キャスト:ジェフリー・ドノバン、ガブリエル・アンウォー、ブルース・キャンベルほか
ストーリー:ナイジェリアで米国政府の特殊機関スパイとして建設現場の妨害工作をやめさせようとロシア・マフィアと交渉中のマイケル・ウェスティン。いきなり携帯電話で解雇され、ナイジェリアでボッコボコにされてマイアミへ強制送還される。なぜゆえに自分が解雇されたのかを探ろうとすると「巨大な組織の力」で妨害されるが…
評価:☆☆☆☆☆
コメント:ゆる~いアメリカ製作のスパイアクションドラマ。第1話などはもう第1シーズンでの打ち切りも覚悟したうえでの製作ではないかと思うのだが…。というかマイアミでは撮影していないだろ的突っ込みも予想されるなか、マイケル・ウェストンはティーン・エイジャーの中にまじってスパイ活動をおこない、そして人情話にほだされてキューバ・マフィアや麻薬カルテルとも戦ってしまう。FBIに尾行されていたはずが、いきなり指名手配などもされていたりとつじつまが多少合わない部分もでてくるのだが、物語の「緩い進行」と「意図的な突っ込みどころ」を大量にのせ、さらには昔ながらのストップモーションなどもおりまぜ、ひたすらひたすらアメリカンな内容で固めていく。ただ不可思議なことにこの「こってこて」の「仲間ストーリー」がかなりはまってしまう。現在アメリカでは第4シーズンが放映され、第6シーズンまでの放映も確定的なようだが、予算が少なくて、しかもストーリーはただひたすら「途中解雇されたスパイがその原因を探る」というだけの内容なのに、人情や仲間の友情などを逆に強調して視聴率を固めてしまうという効果が。これは意外。こういう手のものは自分は大嫌いだったのに。狭い敷地でしかも、ハンドメイドでいろいろなスパイ道具を作ってしまうというDIY的な部分にまた妙なリアリティを感じてしまう。疲れたときなどは特にオススメのこのシリーズ。

ROME前編・後編

2010-10-26 | Weblog
紀元前53年ごろ共和制にほころびが見え始めたころのローマ。シーザーはガリア戦争のため遠征中で三頭政治で共同執政のポンペイウスがローマで指揮をとっていた。やや画面の中にもでてくるが、カエサルは貴族(パトリキ)で由緒ある家柄ではあったものの他の家系と比較すると若干見劣りのするポジションだったようだ。貴族と平民の争いが続くというナレーションはいわゆる元老院での閥族派と民衆派の争いを指すものと思われる。クラッススはパルティアで死んだあとなのでポンペイウスとシーザーの一騎打ちとなる一方、小カトーやキケロも元老院に在籍しているという状況。ガリア戦争はすでに終盤にかかっており、ポンペイウスとの内戦まで,もうわづかという状況で第1話。さらに元老院におけるポンペイウス、小カトーなどによる強行採決によってカエサルの解任などを決定する「元老院最終勧告」が公布される。護民官アントニウスが暴力的に元老院から排除されたという言い分でシーザーはルビコン川をわたる。その後ローマは無抵抗状態でカエサルの指揮下に入り、ヒスパニア地方そしてギリシアへと戦場を移し、さらにアレクサンドリアに逃亡しようとしたポンペイウスは海岸でプトレマイオス13世の策略で殺害される。その後カエサルはアレクサンドルへ到着。弟であるプトレマイオス13世とクレオパトラ7世の内乱が発生していたがカエサルはクレオパトラの側につき、ファラオの地位につく。さらに抵抗を続ける小カトーやスキピオを殲滅。終身独裁官に就任する。ブルータスやカッシウスは共和制の危機と認識、暗殺に走る。その結果、オクタビアヌス(アウグストォス)にカエサルの全遺産が承継される。ドラマの中で愛人とされるセルウィリアは歴史上では小カトーの姉ということになるが、そのあたりはうまくぼかされている。アントニウスはその後プトレマイオス王朝に入り込み、カエサルオンと共同統治をしていたクレオパトラと親密な関係を気づくが、オクタヴィアヌスとのアクティムの海戦で大敗。カエサリオンも歴史上ではオクタビアヌスに殺害されるが、テレビドラマではちょっと粋な展開を用意してくれている。オクタヴィアヌアスはその後初代ローマ皇帝アウグストゥスとなるが、このテレビシリーズは残念ながら2シーズンで終了。ただし三頭政治が崩壊して独裁政治へ、そしてオクタヴィアヌスによるローマ帝国復興までの歴史はきわめてよくわかる仕組みになっている。

カティンの森(アンジェイ・ワイダ監督)

2010-09-12 | Weblog
評価:☆☆☆☆
キャスト:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ、マヤ・コモロフスカ
コメント:日本公開前から話題になっており、その存在は知っていたが、なぜか見るのをずっとためらっていた。歴史的経緯とポーランドの歴史を映画に刻み込むアンジェイ・ワイダ監督の製作技法に幾分かの心配と重苦しさを感じていたからだと思う。そしてそっとDVDプレイヤーのスイッチをおすと、1939年9月17日ソビエト連邦がポーランドに侵攻した一日から「物語」が始まる…。裏切りと抑圧の繰り返し、そしてカティンの森での虐殺風景がまるで機械装置工場のように切り取られ、最後は沈黙の画面で終わる。歴史どおりの展開だが、ずっと自由のなかったポーランドで国内内務省に殺害される若者の姿に「灰とダイイヤモンド」から連なるメッセージが読み取れる。「祖国」が第二次世界大戦中には共産主義とナチスに蹂躙され、戦後はソビエト連邦と内務人民委員会に蹂躙され続けてきた「歴史」は最後には画面には反映されず、ひたすら地面に横たわりカティンの森で土にうずめられていくシーンだけが記憶に残る…。
ストーリー:1939年9月1日ポーランドにナチス・ドイツが侵攻、さらに17日にはソビエト連邦が侵攻してくる。一般兵士や市民、大学教授などはナチス・ドイツが拉致し、ポーランド軍の将校約12,000名は捕虜となり、ソビエト連邦に移送される…

弟切草(下山天監督)

2010-07-04 | Weblog
キャスト:奥菜恵、斉藤陽一郎、大倉孝二、松尾れい子、寺田稔
評価:☆
コメント;実在する黄色い花で漢方薬の原料ともなる。その製造方法をもらした弟を兄が切り殺した…という平安時代のエピソードから不吉な花とされる。サウンドノベルの先駆けとして有名なこの作品、小説から映画を作り上げた形をとる。ゲームを製作しながら二次現実と一次現実が交錯しあうという手法。ゲームからつきあっているファンには面白いのかもしれないが、DVDでみているとやや「くどい」感じもしないでもない。DVDでは画面からどの部屋にどんな絵が飾ってあるかまで見ることができる。
 主役の奥菜恵が案外いい。白いアンティークなドレスをきて洋館の中をすっと歩くシーンはなかなか。「シャッター」や「呪怨」といったホラーで見せた「日本の女優」というイメージよりも、「普通の女性」のイメージのほうが映画の画面になじむ感じ。
 小説・映画・ゲームとメディアミックスさせるというのもこれからさらに進むのかもしれないが、劇場単館で公開される映画だけは伏線ストーリーや違う結末というのは無理。小説は昔のゲーム小説のように違う結末にできないわけではないが…。一回、ファンをつかめば大きいがはずすとそれっきりというメディアミックス。どうしてもゲームが先で映画を後にしたほうが堅実な収益が見込めるか。

悪夢探偵2(塚本晋也監督)

2010-03-23 | Weblog
キャスト:松田龍平、三浦由衣、韓英恵、松嶋初音、安藤輪子、内田春菊、北見敏之、光石研、市川実和子
評価:☆☆☆
コメント:「日本家屋の不気味さ」ってやはりある。昭和30年代と思しき家屋の中を宙に浮いた白い服の女性がゆっくり飛ぶとこんなにも怖いものか…と実感。「世の中のすべてが怖くなったから傷つけたくなるんだ」というセリフに日本社会の今にも通じる「ドライさ」を見る。「呪怨」も日本家屋の不気味さを追求しているが、階段の独特の傾斜や襖といったなんでもない造りにどきどきする。そしてオートセキュリティのマンションであってもその「怖さ」が継続していることも…。最初の惨劇が起こる学校の授業では「蜻蛉日記」の授業が背後に流れているなど演出効果はやはり天才塚本晋也。そして「夢」を題材にしているとあってテータム・シンの「ザ・セル」にもインスパイアされているような不思議な画面が展開するのも面白い。役者では、ウーパールーパーみたいな独特の「目」が印象的な市川美和子が好演。
ストーリー:「怖がりの菊川」を閉じ込めたあと、女子高生ユキエはその夢を繰り返し繰り返しみてうなされる。そして命の危険すらも感じるようになったユキエは悪夢探偵を訪ねるが…。

オカルト(白石晃士監督)

2010-03-23 | Weblog
キャスト:宇野祥平、野村たかし、東美伽、吉行由実、近藤公園、大蔵省 、渡辺ペコ
評価:☆☆
コメント:ホラー映画の類はけっこう見慣れているし、「気持ち悪くて怖い」という気分にはなかなかなれない。だがこの映画、かなりの低予算映画ながら「気持ち悪い」という気分にさせてくれる日本ホラーで、なにが気持ち悪いかというと、ルポタージュ風に構成されるセリフの生々しさと生活観のせいではないか、と考える。通り魔事件の取材という形ではあるが、それがさらに架空の山の古代遺跡につながっていく(黒澤清監督もその御昼山の研究者という設定で登場)。神代文字とイザナギ、イザナミ伝説の組み合わせ、不気味な線刻模様が散らばる架空の山。で、最後は一番想定したくないエンディングになっていくのだが、この一連の流れ、本当に日本ホラーの「怖い部分」を超拡大してくれたような気分にさせてくれる迷作。
ストーリー:2005年に発生した連続殺傷事件の被害者を取材する白石監督。被害者の一人と話をしていくうちに、犯人からなんらかのメッセージを受け取ったという確信を持つようになる。さらに関係を深めていく二人だったが…。

ノウイング(アレックス・プロヤス監督)

2010-03-23 | Weblog
キャスト:ニコラス・ケイジ、チャンドラー・カンタベリ、ローズ・バーン、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルスゾーン
評価:☆
コメント:「know」が現在進行形となっているのがまず気になった。通常知覚動詞は現在進行形にはできないはず…。「知りつつも…」といった語感になるのだろうか。「心得顔に…」などという用例は確かにあるのだけれど…。映画の冒頭は1959年の小学校を舞台になかなか見せてくれるのだが「物語」が進行していくにつれて退屈に。「決定論」と「ランダム論」についてニコラス・ケイジが宇宙物理学者という立場で議論する場面があるのだけれど、まあ、確実にこの映画は「決定論」的な物語で進行していく。要はすべては「ラプラスの魔」で説明がつく世界観ということなので、途中で「何をやってもすべて織り込み済み」という地盤が観客に出来上がってしまう。となると意外なことというのはもう発生しようがないというジレンマに…。本物かどうかはわからないけれどマサチューセッツ工科大学にあるというヘイスタック天文台も映画に登場。映画の中ではさらに「エゼキエル書」(旧約聖書の預言書)が引用されるが、「怒りの神」が引用される点でもネタバレに近い形に。
ストーリー:1959年に小学校で埋められたタイプ・カプセル。意味不明な数字の羅列とみられた小学生の数字の羅列は、事故発生の日時と犠牲者の数が記録されたものだった…。

ベンジャミン・バトン(デビッド・フィンチャー監督)

2010-03-23 | Weblog
キャスト:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、チルダ・スウィントン
評価:☆☆
コメント:1918年から話が始まる。1919年には亡くなるセオドア・ルーズベルトが駅の時計のお披露目に出席するというちょっとした逸話も。「人生はわからない」というやや哀しいトーンで映画が始まり、終始物悲しいのは時間軸がすれ違う恋人同士のせいか。ケイト・ブランシェットがブルーのベレー帽をかぶって登場する姿が美しい。「過ぎた時間は戻らない」とやや静かに語るチルダ・スウィントンがまた役にはまっている。
ストーリー:生まれた子供が約80歳。老人福祉のノーラン財団の家の前に捨てられたベンジャミンは、やがてデイジーという美少女を知り合う。どんどん若返っていくベンジャミン・バトンと年老いていくデイジー。そしてハリケーンが近づく病院の中でデイジーは過去の日記を40代の娘に読ませて過去の世界へ…。

ターミネーター4(マック・G監督)

2010-03-23 | Weblog
キャスト:クリスチャン・ベール、プライス・ダラース・ハスド、ジェーン・アレクサンダー、ブライアン・スティール、ヘレン・ボナム・カーター、サム・ワシントン、ムーン・ブラッド・グッド
評価:☆
コメント:2003年ロングビュー刑務所(ワシントン州南西部)の死刑囚と謎の修道女との面会室から映画が始まる。サイバーダイン社への献体を求める契約書へのサインだ。「これがどういう展開で4につながるのかなあ」と思っているとやや強引ともいえる方法で「1」「2」「3」をつなげきってしまう。人気シリーズではあるのだが、「3」でやや矛盾点が発生して、さらにこの「4」でその矛盾点を解決していく必要性が生じたのが製作者側の誤算だったのだろう。「3」の製作時には、主人公の設定をやや「弱め」にしておく必要性があったのかもしれないが…。「機械」と「人間」という二項対立は「マトリックス」より以前にこのターミネーターシリーズで色濃く強調されていたが、なんとなく産業革命以後、機械装置が人間に取って代わるのではないかという労働者の不安をこうした映画が代弁しているかのようにもみえる。破壊された「セブン・イレブン」の店舗や燃料電池が用いられた様子などが興味深い グリフィス天文台など観光名所もやはり登場。そこそこ面白い上に何某州知事もサービスでちょい出演
ストーリー:人民抵抗軍と機械との戦いは続いていたが、人民抵抗軍はやや押され気味になっていた。そしてそうしたこう着状態のなか、マーカスという2003年に処刑されたはずの死刑囚が未来に登場してくる…。