健康的とされる人工甘味料が、実際には糖尿病のリスクを高めている可能性があるとする研究論文が、Natureに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。ノンカロリー人工甘味料(NAS)とも呼ばれるこの添加物は、ソーダやシリアル、デザートなどに使用され、体重増加や糖分摂取を気にする人々向けの巨大市場となっているのはご存知の方も多いでしょう。一部の専門家らは、世界各国で増加している2型糖尿病患者や、血糖値の上昇を伴う「耐糖能障害」と呼ばれる糖尿病の前段階に当たる状態の患者に対して、NASを推奨しているとも。NAS分子は、舌の上に甘い味覚を残した後、体内に吸収されることなく腸管を通過するそうで、これが砂糖とは違い、カロリー量が無視できる程度(あるいはゼロ)になる理由とのことです。ですが論文によると、複数のマウスと少人数の人間に対して実験を行った結果、NASが腸内細菌の増殖と機能を阻害し、実は耐糖能障害を促進していることが分かったというのです。研究では、広く使用されている3種類のNAS(アスパルテーム、スクラロース、サッカリン)を選び、人間の推奨最大摂取量をマウスの体の大きさに合わせて換算した量を飲み水に混ぜてマウスに投与。その結果、NASを与えられたマウスには耐糖能障害がみられたが、ただの水や砂糖水を摂取したマウスにはみられなかったということです。また研究では、NASを摂取したマウスとブドウ糖を摂取したマウスの排せつ物を、腸内細菌を持たないマウスの体内に注入したところ、NASの排せつ物を注入されたマウスの血糖値は急上昇し、腸内細菌が別のグループと比べより活発に栄養分からブドウ糖を搾取する働きを見せたそうです。さらに、研究対象を人間にして、糖尿病ではない381人から得たアンケートや健康データを入念に調べたところ、耐糖能障害とNAS摂取量増加との間には「重要な」関連性があることが分かったそうです。そして、普段はNASを摂取しないボランティア7人に、米食品医薬品局(US Food and Drug Administration、FDA)が推奨する最大摂取量の甘味料を含んだ食事を7日間とってもらったところ、マウスと同様に、4人の血糖値は5~7日以内に上昇し、腸内細菌の構成にも変化が見られたということです。
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