アカムツ(ノドグロ)の人工授精と放流に取り組む富山県水産研究所が、飼育する水槽の水温を変えることで性別分化をコントロールし、現在オスに偏っている稚魚を雌雄ともに生産する取り組みに乗り出したそうです(YOMIURI ONLINE)。同研究所では、雌雄両方の生産が可能になれば、稚魚の安定放流につなげられるとしているそうです。ノドグロは高級魚として知られ、富山県内の漁獲量は年間10~20トン。同研究所は2011年に成魚の飼育を始め、13年に国内初の稚魚生産に成功。16年から毎年、人工授精で育てた稚魚1万~5万5000匹を富山湾に放流し、昨年11月には放流したノドグロが富山湾内で見つかったそうです。ただ、同研究所の抽出調査では、人工授精で誕生した稚魚の9割がオスで、所内で誕生した個体同士での繁殖が難しいことに加え、漁獲されるメスのうち採卵可能な成熟した卵を持つ個体は40分の1程度にとどまっており、安定的な稚魚の生産が課題となっていたそうです。同研究所ではこれまで10~26度の水温で飼育してきたが、ヒラメなどほかの一部の魚は稚魚時代の水温がその後の性別分化に影響することから、ノドグロでも水温が重要な役割を果たす可能性があると判断。昨年9月に生まれた個体から、〈1〉従来の水温〈2〉5度ほど低い水温〈3〉途中で下げる――の3種類の水槽で飼育を開始。孵化して成長した1万7000匹のうち、1万匹は3月に富山市沖で放流。残る7000匹は今年夏から秋頃まで飼育を続け、雌雄判別を試みるそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20180413-OYT1T50038.html?from=ycont_top_txt
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