永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

春の海

2014-03-26 | メバル
2月の能登外浦は大荒れで気温も低く、魚たちもどこか遠くの深場で産卵後の静養でもしているようで釣りにならない。

今年は例年になく雪が少なく春が早かったので、3月に入ったらすぐにでも再開と思っていたが、なんだか気分が重く釣りに出かける気にならなかった。

振り返ってみれば、2月3月はいつもちょっとしたプチ鬱状態に陥るようだ。

毎日、真っ白な雪景色をボンヤリ眺めているうちに、ふと得体の知れない「虚しさ」が沸いて来るのだ。

それは若い頃から抱えて来た根源的な「虚しさ」である。

その虚しさは根源的であるが故に、これまでの人生に於ける、どんな歓喜も誉れも、すべてのものを色褪せさせてしまう。

「おれはこんなところで、一体、何をやっているんだろう?」と思う。

自分の中を覗いてみれば、確かなものなんてないのである。見事になんにもないのだ。

このまま、こんなところで朽ちてゆくのか、とも思う。

「私とは何か?」「今、ここに、なぜ存在するのか?」「何をすればいいのか?」

これまで何度考えたか分からない「問い」が浮かんでくる。

これまでと同じように解答なんてある筈もなく、分からないのである。

「問い」自体が答えであるような、そんな根源的な問いである。

と、こんなことを書いているが御心配には及ばない。

こんな状態は私にとっての生きるリズムだと思っている。

言ってみれば「版画家」などという仮面を脱いで、本来の私に帰る儀式のようなものなのである。

私に帰り、新たな私を始めるための。




ともあれ、私の2月3月は憂鬱であって、加えて犬の失踪事件、友人の離婚話、原発のことや、闇としか言いようのない日本の政情、また世界の内乱、戦争、などなど、

われわれ人類の愚かさがどっと流れ込んで来て、もうどうしようもなく・・・


忽然と湧くように

釣りにでも行ってくっかーー!!!

と、出かけたのだった。


穏やかな海だった。

そして穏やかな釣りであった。

時折の僅かな魚信に意識を集中する。

魚のイキイキとした躍動が嬉しい。




水平線の上に輝く北斗七星、その下の漁船の灯り。

厳しい冬が終わり、春の海に立つといつも浮かんでくる句がある。


『春の海 ひねもすのたり のたりかな』(蕪村)


メバルは春告魚と書く。

今、まさに新しい春なんである。


さて、私もまた、


新しい私を始めよう。







(最大は27センチ。刺身に煮付け。まあおかずにはなったか。)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
春眠 (ザブン)
2014-03-27 00:09:31
こんばんは。
もうメバルの季節ですね。
来月から「毎日が日曜日」の生活が始まります。
とりあえずは潮風に吹かれながら昼寝でもしたいと思ってます。

  春の海 ひねもす寝たり 寝たりかな
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ザブンさん (ゴロスケ)
2014-03-28 10:14:44
長いお勤めご苦労さんでした。
ひねもす寝たり 寝たりかな。
いいですね。思いっきり寝て下さい。そのうち飽きると思いますが。
ともあれ、新たなザブンさんをはじめて下さい。
ここからが、生きる本番かもです。
お互い、思い切りの自分をやりましょう。
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