永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

ワンキャスト、ワンヒット。月の下の元気なイカたち。

2012-10-04 | アオリイカ
満月を過ぎた月が出ていた。
なんだか胸騒ぎがした。

早朝暗いうちに釣りに出た。
昨夜の晩飯後眠っちまって目が覚めたら2時、もう少し寝ようと思ったが眠られず
準備をして少し早いがそのまま家を出た。

輪島の磯である。
現場に着いたのは3時半。
秘密の場所でもないのだが、流石にウイークデイのこの時間は誰もいない。

釣り座に立つと波は1~1.5メートル、適当に荒れて頭上の月が煌々と海面を照らしていた。
軽い追い風、釣りとしては悪くない状況だ。

しかし、この時間帯はあまり釣れたことがない。
勝負は朝まづめ、それまでの2時間、月でも眺めながらのんびりやろう。
そう考えていた。

エギもなんとなく選んだ古いタイプのエギ王Q(私はこの古いタイプが好きなのだ)オレンジ赤テープ3.5号を付けてキャストした。

ところが、である。

一投目からヒットした。
まあまあの17センチ。



ふむ、調子いいではないか。

で、二投目、
同じ方向。
カウント30、水深8~10メートル、着底を確認して大きく二段しゃくり、続けてパンパンパンと軽いダート、暫くフォールさせ再び軽いパンパンパン。時折二段しゃくりを入れる。その繰り返し。

と、またヒット。



同じサイズ。
あんらら、この時間に珍しい。

三投目・・・・
またヒット。



四投目、
またまたヒット。



最初は運良くと思っていたが、
どうもそうではないらしい。

五投目、六投目、七投目みんなヒットである。


こいつは今期初の20センチ。





遠くでバラしてもそのまま続けると途中でまたヒットした。



まさしくワンキャストワンヒットである。

一体どれほどのイカがいるのだろう。
目の前の海のいたるところにイカたちがいるのだろうか。

で、浅いところを狙ってみるとやはり掛からない。
中層も駄目である。

ともあれ、底を取り、そのレンジで引いて来ると確実にヒットするし
そのパターンを守っていればヒットが続くのである。


強い引き。20センチオーバー。



方向もおおよそ正面。大きくズレない限りヒットしてきた。

ときおり空振りはあるものの、80パーセントは乗って来た。

一体どれほど入れ食いが続くのだろう?
普通30分続けばいい方だろう。

しかし、続くのであった。

エギも最初のやつだけ。
アタリが止まれば替えるつもりだが、その必要はなかった。

時計を見ると5時であった。
すでに1時間半、入れ食いは続いていた。

勿論こんな経験は初めてである。
なんだかな、嬉しいというより、不思議だった。
なんでこんなにヒットするのか?

月のせいもあるのだろう。偶然、イカの群れがやって来たのか?
何故釣れないのか?というのはいつも考えることだが
何故こんなに釣れるのか?というのはあまり考えたことがない。
少々、頭が混乱する。

しかし、ワンキャストワンヒットは続くのであった。

気が付くと、周囲が明るくなっていた。
背後の東の山あたりから日が昇りかけていた。

でもまだ続いた。






しかし、6時、朝日が顔を出してから、すこし勢いが鈍って来た。
80パーセントが50パーセントに。
50パーセントが30パーセントに。
朝まづめの逆である。

すでに、クーラーボックスは満杯状態になっていた。

6時半になって突然風向きが変わった。
追い風から右前方からの向かい風に。それも強い。風速5メートルか。

前方の釣れていたポイントにエギを運ぶことが出来なくなって来た。
すると途端に釣れなくなった。
波も1.5~2メートルと強くなり、時折波しぶきが背中に掛かった。

もう十分、帰ろうか、とも思うが
しかしだ、釣れなくなったから帰るというのはどうもシャクに障る。
この状況でなんとか釣ってみせよう。それが釣り師ではないか。

風上に向かってフルキャストしてもエギは飛んでくれないし、近場にいいサイズのイカはいない。
ならばと左方向にキャストすると、少しは飛んでくれるがラインは大きく膨らんでエギが沈まない。浅いところにもイカはいないようだった。
仕方ないのでさらに左手を狙ってみる。少しは距離が出るので、ラインを水面に付け、なんとか長い時間待って深場に沈めてやると時折ヒットした。
しかし、ヒットするのは左手の磯際であってなかなかいいサイズが出ない。
要するに、一番イカが溜まっている前面の遠めの深場に届かないのだ。

やはり無理か、と諦めかけた時、
前回ここで一緒になったK名人が糸錘を巻いて投げていたのを思い出した。

バックの中を捜すと、あった!糸錘。
糸錘は常に持ち歩いていたが、これまで使ったことがなかった。
なんだかバランスが悪くなりそうで、いつも考えの外であった。

しかし、この際、やってみよう。
実験である。

エギ王Qは糸錘を巻くのに都合がいい。
やはり古いタイプのピンクに糸錘をぐるぐる巻きにした。
4重に巻いたので2~3グラム重くなったろう。

正面にフルキャストした。
案外飛ぶではないか。たった2~3グラム重くなったくらいで。
ラインは膨らむが、それでも沈んでくれるようだ。
カウント40~50、それでシャクリを入れる。

と、


(糸錘4重巻き)

その後も入れ食いではないが、いいところに沈ませることが出来れば釣れないことはない。






おお!!糸錘の威力よ!
と糸錘の偉さを思い知ったところで釣りを終えることにした。

まだ、やれば釣れるが、もうクーラーボックスに一杯たりとも入らない。

8時半だった。

バッグとクーラーを背負い、崖を登るのに一苦労、息は切れ、汗びっしょりかいちまった。

帰って数えてみると40杯。10杯はリリースしたから50杯は釣り上げたのだ。
これまで40杯というのは何度かあるが、こんな短時間では経験がない。
お陰で村の近所と遠方の友人にクール宅急便でおすそ分け出来たのだった。


しかしなあ、

なんという猛烈な、シアワセな朝だったか。


メモリアルな釣りであった。