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永遠に、幸せになりたい。    by gorosuke

真夜中、いいおっさんが独り海に向かって延々と竿を振る。
アホだな。でもこのアホ、幸せなんだよなあ。

我がサンクチュアリにて     2月 7日

2009-02-08 | メバル
さて、満月が近づいてきた。

前回の釣りはとにかく寒く、それから暫く寒い日が続いたが、この夜の予報は気温6度、波2メートルであった。
雨らしいが、とにかく手がかじかむことはなさそうだ。

月が顔を出してはくれないだろうし、2メートルの波ではいつものデカメバルポイントはまず釣りにならない。
でも行きたい。
で、波があっても釣りの出来る灯りのあるポイントへ。


最初のポイントに入ったのは8時前だったか、先客が二人いた。
ここはいつもはデカイのは釣れないが、時々、デカイのが釣れたりする。
昨年の正月も師匠つーさんと一匹づつ尺を釣り上げたし、この正月明けにも泣き尺(29.8センチ)を上げた。
まあ期待はしないが、やっぱり期待してしまうへんな場所なんである。

いつもの釣り座に立てないかと思ったが、ともあれ行ってみることに。
二人は外ではなく、漁港の内へキャストしているようだった。
「釣れますかあ~」
と声を掛けると、ひとりが笑顔で小生の顔を見つめ
「もしかして、江崎さんではないですか?」
という。いきなりである。

あんりゃりゃ、小生は驚いた。
どーして、しってんのお~

「サライさんのブログを見てるもんで・・」やはり笑顔で頭をかく。

サライさんというのは釣り具のネットショップ、アングラーズ・サライ、のことである。
ここは小生のスタイルに合うルアー釣り用品が揃っているので、いろいろ送ってもらっているうちに
今では大阪辺りで展覧会があると見にきてくれたり、一緒に釣りなどしたりして、すっかり仲良しになってしまった。
店主の更井さんは男気のある渋くて優しい、いい男なんである。
で、お互いの釣果を報告し合ううちに、小生の報告をブログにアップしてくれるようになった。

それで先客二人とは初対面でありながら、突然、親しい空気が流れたのであった。
二人は金沢からやって来たらしく、週末になると二人で輪島の海に釣りにくるんだそうだ。
一人はKさんといって運送会社に勤め、もう一人はTさん。なにやら重いものを動かす仕事を自営しているんだとか。
普段、真面目に仕事して週末は釣りをする。いや、週末の釣りが楽しみで仕事しているんだろうな。

釣れている様子ではなかったが、いい顔しているんだよな、このふたり。
ああ、このひとたちもすっかり釣り病に感染しちまったのだ。

彼らは正統的なメバルの釣り方で、ジグヘッド単体での釣りであった。
しかし、この日は向かい風強く、外に向けては全く飛ばず釣りにならないと言う。

で、外に向かういつもの釣り座は空いていた。
ふっふ、こーゆーときのためのこいつだぜ。と
やすやさん飛ばしウキを出して、ジグヘッドと繋ぎ、MARS R-32、2.2インチを装着。風に向かってフルキャストする。
流石にぶっ飛ぶという感じではないものの、まあまあの距離。
浅い磯の上を流すように引いて来る。
すると、近いところでガツンと来た。

近くで掛かるやつはたいてい豆メバルだが、ちょっと様子が違った。
ドラグが鳴った。あんりゃりゃ、なんだ、なんだ、
その重さから一瞬、デカメバルかと気色ばんだが、どうも違う。
のらり、くらり、と引くんである。
で、海面に上がったその姿、スズキであった。いや、50センチくらいの、フッコ。

まあいか・・頭にはフッコの塩焼きが浮かんだ。
しかし、足下まで引き寄せ、口を手で掴もうとしたその瞬間
魚は首を振り、ジグヘッドがポッキリ折れてしまった。
マリア、ゼロヘッドじゃあ折れるわな。
塩焼きが静かに姿を消した。

その後、暫くやってみるものの、全くアタリなし。身体に正面から当たる風はやはり冷たく、場所移動。

二人は帰らず、今夜は車で仮眠をとり、釣り続けるらしい。
いやはや、遠くからやってくる人の根性は凄いんである。

で、三人して次のポイントへ。


このポイントは周囲を磯に囲まれ、突堤の先のオレンジの灯りが海面を照らし出していて粘っても苦にならないほどの美しい場所、デカイのは期待できないが、20前後の煮付けサイズは間違いなく釣れるし、
方向によってはクロソイ、カサゴのデカイやつ、アイナメ、ヒラメも釣れたりする。まあ楽しめるポイントなんである。

つーさんに釣りを教わり、その後一人で釣りに行っても一年は釣れなかった。
スズキ釣りから始まったのだが、どこに行けばスズキがいるのか分からなかった。

初秋のある日、釣りに出てウロウロするうちに暗くなり、ここを通り過ぎ、ここにオレンジの灯りがあるのに気がついた。
何か閃くものがあり、引き返してオレンジの灯りに向かってキャストしてみた。
すると、ヒットした。5回ヒットし、上げたのは2匹だったが、自分で釣り上げたというのは初めてのことだった。
心は踊り、血は逆流した。

それから、ここに何度通ったか。
その秋は32匹のスズキを釣り上げた。その殆どがここである。
つーさんは「確信」がないと釣れないと言ったが、
「釣れる」という、頭ではなく身体で感じる「確信」、その意味が少し分かった秋だった。

そう、ここは小生にとってのサンクチュアリなのだ。


スズキから始まり、メバル、アオリイカ、アジ、と釣りの世界は広がり、ここも来ることが少なくなったが
来てみると、やはり懐かしく、楽しいのであった。

灯りの下、三人がそれぞれの方向へキャストする。
最初のポイントより風は幾分弱まっていたが、外に向かってはやはり強めの向かい風。
彼らは追い風となる漁港の内へ、ソイやヒラメを狙っているようだった。
小生は外に向かってメバルを狙う。
やはり、やすやさん飛ばしウキ(ファーストシンキング)に軽めのジグヘッド、ワームはガルプ、ベビィサーディン。

向かい風の中、易しい釣りではなかったが、どの方向でも底をゆっくり引いていると絶えずアタリがある。
15センチ以下の豆も掛かるが、20センチ前後もかかる。20センチ前後は煮付け用にキープ。
外浦のメバルは引きが強い。小さいがデカメバルロッド、ルナキア9.3フィートがグンとしなりもする。
デカイの釣り上げるのはコーフンするが、小さいのもそれなりに楽しいんである。

そのうち、一際重い手応え。ロッドが一段としなった。
デカメバルか・・・・やはり違った。
ソイであった。26センチ。

ここはクロソイがよく釣れる。
メバルを始めた頃、ここでよくソイを釣り上げた。
外道だが、嬉しかった。
ソイの顔、いい顔してる。
メバルと違って、野性的。野武士のような面魂。
それが気に入って、よく版画にもした。
なんだか懐かしい顔である。



その後、メバルぼちぼち。

と、近い底あたりでいきなり何かがワームを引ったくった、が、乗らない。
強烈なアタリ、なんだろう。
もう一度、同じところ。また引ったくる。でも乗らない。
ようし、ともう一度、同じところ。慎重に引く、そうっと。
やはり来た!引ったくる、今度は乗った。
元気な引き、ビンビン手に伝わって来る。
カサゴだった。24センチ。
ソイに負けず劣らずこいつの顔もいい。
形も色も派手である。なんかこんなやつ人間にもいるよな。
ソイは黒、カサゴは赤。



二人にカサゴを見せると、彼らもタケノコメバルを釣ったと見せてくれた。
(写真を撮るのを忘れた、残念)
内浦で釣れることは知っていたが、まさかこんなところで。
ここには何度も来ているが釣ったことはないし、タケノコの実物を見るのも初めてであった。
模様がタケノコの皮の感じ似ているからこの名前が付いたと説明してくれる。
先日、Tさんは内浦で40センチ近くのタケノコを釣ったんだそうだ。
「刺身で食いましたが、うまかったですよ」と彼。
ふむ、彼はタケノコ釣りの名人なのかもしれぬ。

その後、彼らは次のポイントに移動すると言って引き上げて行った。
「また、会いましょう」と挨拶交わして。

暫くして、海が荒れてきたのと、手がかじかんできたので小生も潮時とした。

帰り、どこで釣っているのだろうとポイントらしいところを目で探したが、彼らの姿はなかった。

ふと、ソイとカサゴでアクアパッツァを作ってみようと、思い立った。



ロッド・テンリュウ、ルナキアLKT93M
リール・シマノ、ソアレ30、2500HGS
ライン・ラパラ、チタニウムブレイド0.6号 リーダーフロロ3号
やすやさん飛ばしウキ、ファーストシンキング
ジグヘッド・デコイ、ロケットヘッド0.45グラム
ワーム・MARS R-32 micro、ガルプ、ベビィサーディン





上弦の月の下、サラシの向こうへ(2月4日)

2009-02-07 | メバル
尺を狙うポイントは、まんまるお月さんに海面が照らされないと釣れない。
月明かりの夜、メバルたちは心浮き立ち活気づく。
祭りのように浮かれ、もう飲めや歌えやのドンチャン騒ぎ、
そうして警戒心がふっと解ける、
その隙間をしたたかに狙うんである。ふっふ。

月が丸くなるのをじっと待っていたが、どうにも待ちきれない。
この日は半月を越えたところだが、半分の月でも海面を照らしてくれるだろうと出かけた。
それに予報では快晴、海は凪だという。

ポイントに着いてみると天頂近くに上弦の月がぽっかりと鎮座し、淡い青色の光を海に投げかけている。
満月とまではいかないものの、月影が出来るほどの明るさである。
予想通りいい感じ。

ところが、海の様子が予想外だった。
凪ぎどころか、2メートルの波が逆巻き、足下はサラシの渦であった。
あんらー、まじーなー、かえろーかなー・・・・・
いや、帰らんのである。

荒れてはいるが、緩やかな追い風だし、この月明かりである。
この時期こんな美味しい条件はそうないんである。
それにこのポイントはべた凪よりもサラシが出ているくらいの方がデカイのが釣れるのである。
それにしても荒れ過ぎではあった。

先ずはプラグでサラシの中を探ってみる。
ブルースコードC60,ピンテール6、レイジー6Sと替えながら、
方向と深さを変えて・・・
反応なし。

次は重いジグヘッドでやってみる。
ワームは大きめのやつ。
やはり方向と深さを変えながら・・・
駄目である。

またハードルアーに替えてみる。
今度はテトラ際をロスト覚悟でタイトに狙ってみた。
音沙汰なし。

そんなことやっているうちに2時間経過。
そら似は雲一つなく、その分放射冷却で空気も凍りつきそうだ。
勿論、手はかじかんで痛いほどだった。

帰ろうか・・・・
いや、帰らんのである。
今回は粘りたい理由があった。

1月後半、和歌山での展覧会で不類の釣り好きに出会った。
「世界で一番の釣りキチです。」と臆面もなくその人は言ってのけ、
先日モンゴルでイトウを釣ったのだと、その写真を見せてくれた。
なんとメーター越えのイトウを彼は抱えていた。
その他、ナイル川河口で釣り上げた巨大なナイルパーチも。
写真を見せながら説明してくれる顔は少年でであった。
いいな~いいな~、このやろ~、うらまやし~~

確かに外国で怪物を釣るのは面白そうだが、釣りのスケールは魚の大きさではないと
小生もメバル釣りの話でちょくら反撃をかました。
展覧会に来てくれたお客さんだが、ゲージツの話はそっちのけ、
もっぱら釣りの話で盛り上がり 楽しいひとときであった。

話をしているうちに分かったことだが、
彼はシマノでリールの設計と開発に携わってきた人であり、あのステラを作った当人であった。
釣りキチじゃないと、いいリールは出来んわな。

彼は後日、再度ギャラリーに土産持参でやって来た。
その土産とは、シマノが尺メバル用に作ったリール、ソアレ30であった。
わざわざ尺メバル用とうたったリールは他にない。
おそらく彼の息がかかって いるに違いない。
新品ではなかったが、まだ新しいもので彼が使っていたものらしかった。

で、当然の成り行きで、お礼に、このリールできっと尺メバルを釣り上げ、
その写真を送るという約束をしちまったのだった。


魚がいない筈はない。
しかし、サラシの中に出てきて、サラシに打ちのめされ弱った小魚を食う元気はないらしい。
今は産卵を終えた身体を休ませているのだろう。静かなところで。
難しい釣りだ。

静かなところ・・・
そうだサラシの向こう、遠いところを狙ってみよう。
波がまだ白い渦になっていないところ。
比較的静かで沈み根のある、深いところ。

福井の釣り具屋さん、やすやさんから送ってもらった、オリジナル飛ばしウキをだして、
飛ばしウキリグを作る。
一番重いファーストシンキングに0.45グラムのデコイ、ロケットヘッドを付けた。
リーダーは1メートル。渋いときは長めのリーダーに軽いジグヘッドが効く。
そっと引いて、止めると、ゆっくりと深く沈んで行く。軽いジグヘッドは自然な動きだ。
また引くと、ゆっくりと浮き上がって来る。
横と縦が同時に広く探れるんである。

特筆すべきはこの飛ばしウキ。
誰が作ったか、素晴らしい。
材質は高弾性のゴムで、岩にぶつけてもびくともしない。それによく飛ぶし、第一値段が安い。
これまで、メーカーのやつを使ってきたが、どれも痒いところに手が届かなかった。
よくぞ作ってくれた、えらい!!
という飛ばしウキなんである。

鋭く竿を振ると、追い風に乗って直線の弾道が闇に消えて行く。
サラシの遥か向こうに着水。

竿を股にはさみ、かじかんだ手に息を吹きかけカウントダウン。
ふぅーっ!ふぅーっ!ふぅー!!・・・・・
と10息を吹きかけ、リールをゆっくり巻く。
この10の間に仕掛けは深いところに沈み、手は幾分暖まる。
ソアレ30は軽くシルキィに音もなく回わるのである。

そうっと引く。そうっと・・・・
すると、コツンと当たった。
わずかなアタリ。

再び同じ方向に投げる。同じ深さ。同じように引いて来る。
そして同じところ、またコ、コ、コ・・・・合わせるとゴッと乗った。
走り始める。
ロッドがしなる。やったぜ。!!

根に潜られないようにソアレの高速ギアで巻き上げる。
だが、尺クラスでないのは軽さですぐに分かった。
サラシの海面を滑るように白い直線を描き近づいてくるのが見える。
足下まで来たのを確かめ、えいやっ!と抜き上げる。
軽いわ~~。22センチだった。




次のキャストでまたヒットした。22センチ。

そのまた次もまたまたヒット。25センチ。




その次も、あんりゃあ、またヒット、25センチ。

うっはっは、のまたヒット、24センチ。

俄然、世界は一変し、一投一匹の入れ食いとなった。
ヒットする場所は右前方、サラシの向こう5メートル、深いところ、その一点である。

しかし、入れ食いは長くは続かない。
やがてぷっつりと糸が切れたようにアタリが遠のいた。
25センチ~22センチ9匹だった。
尺クラスは掛からなかったが、22センチ以下も掛からなかった。
そのことから、このサイズの小さい群れが回遊してきたのだとわかった。

その後、一時間粘ってみるが、ついにアタリは戻らなかった。

いくら息を吐きかけても、もはや指は痺れて感覚はない。

もう限界だろう。
波も収まる様子はない。
帰ろうか・・・・
おう、帰ろう。もう十分だ。

海に向かっては北斗七星が水平線の上に輝き
車までの帰りは頭上オリオン座が瞬いていた。
そして、シリウスは青くでかくオリオンの左下、いつものところに煌めいていた。

帰り道、道路の気温表示がマイナス3度を告げていた。
うひょ~~!!痺れるわけだ。





ソアレ30と25センチ。だが、この写真は送れない。