えすみの日記

ふつーの主婦ですが、日本の未来を真剣に考えたい!

ロシアの原子力エネルギーの専門家の会見その1

2011-07-12 23:36:34 | ニュース



【放射能を必要以上に恐れるな】
http://news.livedoor.com/article/detail/5699797/?utm_source=m_news&utm_medium=rd


アルチュニャン博士はチェルノブイリ事故以降25年間にわたり、事故の収束、調査研究を続けてきた。フクシマの原発事故について「危機は過ぎた。後はどう冷やすか」「放射能が怖いのは海中でも地中でもなく、空中への飛散。今回の事故で飛散した放射線物質はチェルノブイリの10分の1であり、必要以上に放射線を恐れることはない。」と語った。博士はプライベートで来日し、石巻市でボランティア活動に参加の後、会見を開いた。【取材・構成・撮影 田野幸伸(BLOGOS編集部)】翻訳文提供:自由報道協会

プロフィール

ラファエル・ヴァルナゾヴィチ・アルチュニャン博士

ロシア科学アカデミー 原子力エネルギー安全発展問題研究所副所長。物理数学博士。
チェルノブイリ原子力発電所での災害発生以来、事故のもたらした結果を根絶する仕事に積極的に加わり、25年間チェルノブイリ・テーマに特別な関心を払ってきた。
重大事故の専門家として、チェルノブイリにおいて形成された燃料溶岩の拡散を未然に防ぐ作業に加わり、燃料挙動モデルを作り、破壊された原子炉の調査を再三にわたり実施。これは特に、破壊されたブロックを封鎖し180トン以上の照射核燃料を抱えたシェルター建造物の安全性確保の問題に関することであった。

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司会者の質問:今回の福島第一原発の事故、そして、その被害状況をどのように見ておられるか、お話しいただければと思います。


博士:こんにちは。実は、私は今回、家族と共に余暇を過ごすために日本にやって参りました。長年、日本に来ることを夢見ておりましたが、これまで実現できなかったという経緯があります。簡潔に言いますと、本当に日本は素晴らしい国、そして、素晴らしい日本の人々、今回の来日を通して、日本を知ることができ嬉しく思います。

簡単に、私どもの研究所が従事している内容、そして、今回の福島第一原発事故の問題にどのような関連性を持つのか、簡単にお話したいと思います。

当研究所は、チェルノブイリ事故後に創設された機関で、ロシア科学アカデミー枠内の研究機関として、原子力エネルギー産業における、原子力および放射線安全に係る問題を研究するための、独立した研究機関です。

当研究所のスタッフの多くが、86年に行われたチェルノブイリ事故処理作業に携わっております。私どもは、チェルノブイリ原子力発電所サイト内、そして、第 4発電ブロックでの作業に従事しました。これ以降、当研究所は、ロシアにおけるチェルノブイリ事故によってもたらされた影響の研究に従事しております。この研究において、我々は、ロシアの先駆的な専門家ら、医学者らとも協力・連携を取っております。

当研究所は、原子力エネルギー産業において最も重要な問題である、原子力発電所における「過酷事故(シビアアクシデント)」に関して研究を行っております。

また原子力産業における安全性に関連した全般の事項、(例えば)放射性廃棄物関連、そして先に申し上げました過酷事故(シビアアクシデント)の研究、また、放射能事故による影響について研究しております。

日本で地震が発生したその当日から、当研究所では、この事故により日本の原子力発電所施設でどのような状況が起こりうるのかを評価するための作業を開始しました。そして、問題の核となるのが福島第一原発であると判明し、それ以降は、同原発の評価・調査に従事致しました。まず初めに、数値計算をもとにシミュレーションを行い、東京電力が公式なものとして発表したデータが入手できてからは、実際に福島第一で何が起こっているのかを把握することができましたし、日本の文部科学省がインターネットを通して提供している膨大な数の放射線状況に関するデータは、我々の作業においても、住民の立場からみた事故状況がどのようなものであるかを把握するうえで、大変役立つものでした。

全体として、何が起こったのかということは、たぶん、皆さんはすでにご存じかとは思いますが、地震発生後の津波により、発電所内の13台あるうちの12台の(非常用)ディーゼル発電機が故障し、これにより、1号機、2号機、3号機の冷却が中断され、また、1号機、2号機、3号機、4号機の使用済み核燃料貯蔵プールが損傷し、その結果、核燃料に破損が生じたことで(放射性物質が大気中に)放出されました。

全体として何が起こったかということは、周知のことかと思います。ただ、皆様のご同僚から、情報が少ないという意見を聞きました。申し上げられるのは、事故当日においては情報量が少ないという問題が存在したと思いますが、しかし、このような事故が起こった場合、事故当日に発表される情報というのはどうしても少ない情報になってしまうもので、本件に関して、東京電力および規制・監督機関(訳者注:原子力安全・保安院を指していると推測されることから、以後、「原子力保安院」と訳す)からインターネット上で発表している情報量は、実際に何が起こっているのかを把握する、そして、放射能汚染の被害がどのようなものであるかを把握するに十分な量だと言えます。

文部科学省が発表している放射線状況に関するデータは、国民の皆様全てが放射線の状況を把握するうえで、また、住民の安全性の問題を理解するうえで、必要と思われる以上の情報量が出されています。

全体として、すでにお分かりかと思いますが、当研究所でも、技術的な側面を含めて多くの問題に取り組み、なぜ水素爆発が起こったのか、その結果として、原子炉の密閉性が失われて周辺環境への放射性物質が放出されたしまったこと、なぜ原子炉内の核燃料が溶解したのか・・もちろん、この原因はすでに判明している通り、冷却系統へ電源を供給するはずであったディーゼル発電機が故障したことに起因します。このとき、実際に稼働していたディーゼル発電機は5号機、6号機へ電源を供給していた1台のみで、5号機および6号機の原子炉、そして、5号機および6号機の使用済み核燃料プールへの電力供給のみが確保されていました。つまり、それ以外の4つの冷却系統がこのとき作動を停止していたため、原子炉の燃料が溶解し、使用済み核燃料プールに保管されていた燃料が損傷し、一部の地域に放射能物質が放出されてしまったということになります。

事故状況について、これ以上の詳細に触れることは差し控えますが、ただ一つお伝えしておきたいことは、当研究所では当初からこのような状況に至ることが予測できておりましたし、また、現在までに公表されている放射線状況に関するデータ、つまり、住民の皆さんが一番に不安を感じる、事故による放射線の状況に関しては、安全性の観点から放射能状況を正確に評価し、且つ、住民の安全確保にむけた対応を講じていくうえで、十分すぎる以上の情報量が出されているということです。



司会者:スピーチはこれで終わりということでよろしいでしょうか?それでは私から質問をさせていただきます。そのあとで皆様からの質問に移らせて頂きたいと思います。まず1点目、東電および政府の発表では、一時期、この福島第一原発の事故はレベル4に相当すると言っていた時期があったんですね。その後、東電の広報の松本さんという方が、この方は毎日質問に答えてくださっていた人ですが、この方が、私自身の質問に対して、これまでに福島第一原発事故で放出される放射性物質の量は、チェルノブイリ事故で放出された量の10分の1に相当すると発言されました。しかし、福島原発事故の収束までに放出される総量は、チェルノブイリと同等もしくはそれ以上であるとおっしゃっていました。

そして、先日までメルトダウンしていたことを公にしていなかったんですが、初めてメルトダウンしていること、事故の実態、事故の真実を初めて明らかにした際に、松本さんは、「チェルノブイリよりもずっと少ない放射性物質の量で収束することができるだろう」とおっしゃんたんですね。つまり、事故は前回の発言があったときよりもよりシビアなものであることが分かったにも関わらず、ずっと少ない量で収束できるというのは、おかしい!と私は思いまして、改めて質問をしたんですが、松本さんは、事故をレベル4としたときよりもレベル7にした時のほうが影響が軽いという発言をしているんです。これについて、実は、ラファエルさんは、日本の福島第一原発の事故はレベル4 程度でいいんだとおっしゃっておりますが、これをどう評価するのか、ちょっと意見をお聞かせ願えますでしょうか?


博士:原子力発電所事故の評価として使用される国際原子力事象評価尺度INESは、広く社会全般に理解を与えるためのものですが、実際には理解することが難しいという側面があります。ですので、どの程度の放射性物質が周辺環境に放出されたかを議論することが妥当であり、この点において福島第一番原発事故とチェルノブイリ事故を比較してみますと、福島は、チェルノブイリ事故時の放出量の約10分の1ということが言えます。但し、原子炉の損壊に関して言えば、チェルノブイリでは原子炉1基が爆発および全壊し、福島では原子炉3基と使用済み核燃料プール4基の中の核燃料が損壊したということになります。この点おいて、どのレベルに区分するべきかは議論に値する問題であって、レベル4なのか、レベル6なのか、レベル7なのかを専門家間で話し合っている訳です。ただ、一般市民にとっては、このレベル区分が最も重要になるかというと、そうではありません。

重要なことは、放射線の状況そしてどのような健康への影響が想定されるかという点であり、どのレベルに相当するかは専門家が議論されることで、一般の方にはさほど重要な関心事ではありません。もちろん原子力の過去の歴史の中で、3番目に起きた過酷事故(シビアアクシデント)であることは間違いありませんが、放射性物質の放出量においてはチェルノブイリ事故時の量と比較すると、はるかに少ない量であると言えます。そして、この事実が最も重要になると思います。原子炉の破損状況については、3基の原子炉が全壊、使用済み核燃料プールでも破損がみられたということになります。これで以上かと思います。

司会者:次の質問に参りたいと思います。事故当時、ソ連政府は情報を隠蔽し、このことで国内外から強い批判を受けました。その一方で、ソ連政府は、まぁ当時の強い中央集権国家であった故に実現したことだとは思いますが、事故後、大量のバスを出しまして、周辺住民を、強制的な方法ではありますが、避難させました。つまり、強いリーダーシップを発揮したわけです。ひるがえって、日本政府の対応についてどのように感じていらっしゃるか?日本政府は情報を出す、出しているふりをしていますが、出された情報をのちのち悉く訂正しております。住民の避難に関しても、リーダーシップが発揮されておりませんでした。批判は受けたものの、当時のソ連政府と比較して、日本政府の対応は大変お粗末なものであったと思います。この辺りについて、その当時をご存じであるラファエルさんのご意見を伺いたいと思います。付け加えて言いますと、日本にもグラスノスチとペレストロイカとデモクラシーが必要なのではないかと思います。いかがでしょう?


博士:私は政治家ではありませんので、日本政府の対応に評価を与えるべき立場にありません。

チェルノブイリ事故では、事故発生直後の初動対応としては、大変迅速な住民避難措置が取られ、まず始めに10キロ圏内、つぎに30キロ圏内の住民避難が行われました。確かに、当時のソ連政府は、事故に関する情報をメディアを介して報道しなかったことも事実ですが、現場では大変迅速に住民避難の措置が講じられました。日本政府は初動対応として、20キロ圏内の住民避難を行いましたが、この措置は私から見ても大変迅速に行われ、また、必要不可欠で正しい措置であったと思います。この措置は、事故が収束しておらず継続しているという観点から考えても、大変正しい判断であったと思います。あらかじめ住民を避難させることは必要な措置であり、実際に何らかの事象が発生した後で住民の避難させることは困難だからです。この意味において、ソ連邦および日本で取られたこの行動は、等しく効果的な措置であったと言えます。


ニコニコ動画・七尾:今回、福島第一原発から海洋に放射性物質が放出されたということがありまして、漁業関係者だけでなく、私たち国民も大変心を痛めています。国際社会に多大な迷惑をかけたということで。全体として、海に対する汚染というものに大変ナーバスになっているわけです。それで、ちょっと、厳しい質問になりますが、ロシアのムールマンスクには、旧ソ連時代の原子力潜水艦が原子炉を積んだまま海底に放置されているということがございます。まずこの事実関係と、もしこれが事実であれば、原子炉を積んだままでありますが、海に放出される推定される放射性物質の総量はどの程度のものなのか、また、今後、腐食した場合の海へのどんどん広がっていく可能性があるわけですが、今後どうされるというお考えなのか、この点をお聞かせください。


博士: 第一に、チェルノブイリの経験から、または科学の見地から申しまして、水に関連する問題、要するに水の汚染は、特にそれが海洋ということであれば、汚染によって生じる問題は最も少ないと言うことが出来ます。また、原子力潜水艦に関してですが、原子力潜水艦の事故に関連して問題視される内容は、常に誇張されて考えられがちですが、たとえ、海洋で原子力潜水艦の原子炉が爆発したとしても懸念される環境への影響はなく、それが(地上に生活する人間の)人体にということであれば、まったく何の影響もないと言えます。

水というのは、その量が大量でありますから、大気中に汚染物質が放出された場合のほうが何倍も深刻な問題です。大気への汚染物質の放出は、常に、水への影響よりも深刻な問題に発展します。それが海洋であるならばなおさら問題にはなりません。

また、これは福島第一に関連することですが、インターネット上には自由に入手可能な情報として、海洋の汚染状況を示した全データが存在します。もちろん、通常設定されている基準値以上の汚染レベルがみられることもあります。また、魚の体内からも基準値を超える放射能が検出されています。しかし、通常設定されている基準値というのは、その数値を超過したからといって、危険であるということではないという点を理解しなくてはなりません。

放射線安全基準値というのは、基準が大変厳しく設定されているという特殊性を有しています。チェルノブイリ事故後の一例を挙げますと、欧州諸国における牛乳のセシウム含有量の許容値は、1リットル当たり370ベクレル以上という数値でした。これは子供の食品向けの値ですが、大人用の一般の食品には、600ベクレルという数値が設定されていました。魚食品は、1キログラム当たり3000ベクレルでした。これは、完全に安全なレベルの数値です。このように、欧州では健康上の問題がまったく懸念されないレベルの数値が設定されました。つまり、ここで設定された基準値はこれに超えれば体に悪影響があるというレベルの数値ではなく、この程度であればまったく問題なく、安全が保障されているというレベルの数値です。

通常、つまり平常時には、日本では100ベクレルという基準が存在していました。この基準値を超えたとき、国民の皆様は不安を感じてしまったわけですが、これが、放射線安全基準のもつ特殊性なわけです。なぜなら、大変厳しい基準値だからです。政府は許容数値の情報を何度も変更することにより、国民が混乱するのです。しかし、放射能事故が発生した場合、平常時の基準値よりも高い数値が設定されるというのは標準的な規則です。この点において、社会全般および住民のレベルで、問題が生じるわけです。例えば、最近まで、ロシアのチェルノブイリ原発エリアにおいて、牛乳1リットル当たりのセシウム含有量の許容値は100ベクレルと定められていました。他方、欧州では子供の基準値が370ベクレルです。しかし、これは、欧州ではこの数値以上が即危険という数値を定めている訳ではなく、全く問題のない数値です。このようなややこしい事情が時々混乱を招く原因となります。




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