心の奥深くで

あなたは私の救世主だった


善悪関係なしで
いつも私の傍にいて
私だけの味方だった


それはもう
何年も昔のことなのに
今でも私は
何かつらいことがあると
あなたに連絡したくなる


あなたなら
今の私の生活を
すべてぶち壊してでも
私のことを連れ出して
くれるような気がして


そんなことは
幻想だとわかっているけれど
ふと電話を握っている時がある


でもね、あなたともう一度
話せる機会があるのなら
この世を去る直前でいいの


また会いたいね
って最期に明るく
言ってみたいだけだから

お誕生日おめでとう

日付の変わる１２時を待って
ベランダから空に向かって
呟いてみる


お誕生日おめでとう


いくつになっても
誕生日はちょっと嬉しいもの


それは
この世に生を受けた時の
喜びの記憶なのかもしれない


ピアノに向かい
Ｈａｐｐｙ　Ｂｉｒｔｈｄａｙを
弾いていると


目の前に
あの日のあなたを
鮮明に映し出すことができる


これから先もずっと
あなたが幸せでいられますようにっと
一人静かに瞼を閉じた

大人

テレフォンセックスしようか？


沈黙を破って
ふいにあなたが言う


そんなバイトをしてる女の子も
いるよねなんて思いながら
少し笑って
ふざけたように言ってみる


あえぎ声を出せばいいの？


こんなやりとりとは裏腹に
お互いの心の中で
うら寂しい風が吹く


逢いたい


後先考えず
欲望のままに
自分の思いを遂げてみたい


でもいつだって
大人な二人の決断は
消極的で面白みにかける


そう、それはきっと
自分たちのために

いつもそばに

あなたが私を
癒し系だと言うなら
きつい心にメッキして
あなただけの
癒し系の女になりましょう



あなたが孤独感で
押しつぶされそうに
なっているなら
思い付く限りの
あなたの安心する言葉を
言ってみましょう



あなたの心に
住んでいるという私が
いつも笑って
言っているように



大丈夫、大好きって

トキメキのその後

”いくつになっても
恋をしていたいし
ときめいていたい”


その人は言った


う～ん、そうよねなんて
鏡を覗き込みながら
目を大きく見開いて
パチパチと瞬きしてみる


何年も同じ人に
恋し続けたり
トキメキ続けるのは
難しいことなのかもしれない


それじゃあ、私は
昔ときめいただろう筈のあなたを
今は感謝の心で見つめてみよう


今も一緒にいてくれて
ありがとうって

小さな世界

小さな世界に住んでいる



テレビの中の人のような

小説の中の人のような



派手さや変化のある

大きな世界ではないけれど



この小さな世界が私のすべて

この小さな世界が私の幸せ



今この生きているを感じられる



私の贅沢な愛しい小さな世界

真実

いつも君は僕のことを


大丈夫だろかとか
幸せになってほしいとか
心配をしている


それは一見僕のことを
とても大切にしてくれているようだけれど


何だか僕には
君が人ごとのように思っているように
聞こえてしまうんだ


君の本音を聞いてみたい


僕の片思いなのだろかという思いを
うち消すために

想い出

”明日も君にとって良い一日になりますように”
”明日もあなたが元気で楽しく過ごせますように”


お互いのことを第一に考え合ってた私たちが
遠距離恋愛の末
別れてしまったのはなぜだったのか


あなたが逢いたいって
私が逢いたいって
お互いの心をぶつけなかったから?


それは意地だったのか
プライドだったのか
それとも優しさだったのか


今となってはもうわからないけれど


あなたをふと思い出して
やっぱりあの頃と同じように思った


もう一生逢わないだろうけど
あなたが元気で楽しく過ごせていますように

この存在

あなたの勤務地へ

用事があって行くことになった



どきどきわくわくして

そわそわする



あなたのこと待ち伏せしようかな

あなたの驚く顔が見てみたい



なんて



私がこんなだから

いつまでたっても

あなたが落ち着けないのかも



いっそのこと

この存在さえも

全て消してしまったら

あなたは元に戻れるのかな

内緒話

あのねあのね


私、好きな人がいたの


知り合った時
お互い、心に隙間があってね

それを埋めるように
お互いのことを何でも話したりしてね


同じ本を読んだり
同じ映画を見たりして
感想を言い合ったりとかね


触れ合ったりもしないのに
お互いのこと思い合ったりして


純愛だね
なんて、言うようになって


でもね、やっぱり


そのうち欲が出て来ちゃって


触れ合いたいなんて
愛し合いたいなんて


そしたら、それは


私の考える
幸せの方程式から外れててね


その人は
いろんな方程式があるはずなんて
言ったけれど


私には複雑なのは無理だったんだ



聞いてる？


心の隙間を
溝にしてしまったこと


その人、許してくれると思う？