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人生食堂100軒(小山薫堂)

2010年06月04日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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この本の著者である小山薫堂さんは、雑誌dancyuで「一食入魂」という連載をしているのですが、この本はその中で紹介された約600軒の料理店の中から大好きな100軒を選び出し、目的別に分類したものです。

この本で紹介されているものは基本的には値段の高い高級店が多いのですが、その料理店や料理人のこだわり、特徴などを明るく分かりやすく説明してあり、とても面白い本だと思います。

とてもオススメです!

私もいくつか行ってみたいと思います。


以下はこの本のポイント等です。

・以前から気になっていた事務所の近所の「MINATOYA 港屋」という立ち食い蕎麦屋に入った。気になっていた理由は、その店構えにある。通常、立ち食い蕎麦屋と言えば、入口にメニューの写真や蝋細工が出ていてウェルカムな雰囲気だが、ここは正反対。モノトーンの外観にメニューの類は一切なく、明らかに一見さんお断りの雰囲気なのである。店内の様子もあまり分からない。勇気を出して店に入ると・・・そこには信じられない光景があった。店内の中央に浅く水を張った巨大な石のテーブルがあり、客たちはその縁で蕎麦をたぐっているのだ。オシャレなバーならともかく、なぜ立ち食い蕎麦屋の店内にモダンな水のインテリアが必要なのか、おおいなる謎である。メニューは、オプションで海苔と胡麻をプラスできるざるそばと、ラー油入りのたれにつけて食べる肉そばという2本柱のみ。値段も700円以上と、立ち食いにしては高い(現在のメニューはデータ参照)。が、食べて納得。腰と香りのあるこの蕎麦は、明らかに立ち食いのレベルではない。つゆはやや濃い目だが、しかし骨太なうまさを感じるのである。さらに、店構えの冷たさに反して、店員の対応が素晴らしい。動きがキビキビしている上、立ち食いとは思えない温もりがあるのだ。店内は常に満杯。1人でやってくる女性客も多い。

・駒澤大学近くにある「かっぱ」という店は、20年近く煮込みとご飯だけで営業している不思議な店だ。黙って座れば煮込みとご飯が出てくる。厳密に言うと、常連たちは店に入るなり「並波」「大大」などとひとこと。これは煮込みとご飯の量の指定なのだ。「大大」は煮込みとご飯、両方大盛りで、というわけだ。店内は、かつてのクラシック喫茶のように私語厳禁。これも煮込みに集中して食べられるようにとのサービスではないかと、最近思うようになった。

・以前からFM横浜でラジオの仕事を終えると、よく中華街の「清風楼」へ向かう。ここは池波正太郎も愛したシュウマイの店として有名だが、僕はむしろ焼飯(上ではなく、並の方)をかっている。いかにも、強い火力で飯を焼きました・・・・という中華鍋の底力を感じることができるからだ。この店には、今でも通っていて、やはりいつもの焼飯を頼む。安いし雑につくっているようにも見えるのだが、それがこの店の味になっているのだ。この野性的ともいえる雑さ加減がクセになる。なんだか親に甘やかされているような、くすぐったいような気分になるのだ。この不思議な魅力に誘われて、ついまた行ってしまうのだ。

・ふとしたころから湘南にある行き付けのカレー店「木もれ陽亭」で、半日だけアルバイトをさせてもらう。湘南のカレー店と言えば「珊瑚礁」が有名だが、地元のサーファーやダイバーの間ではこっちの方が人気のようである。この店では、すぐにカレーを注文してはいけない。まずは、特製ソースの香ばしさがたまらないスペアリブと生ビールから始めるべし。特に、骨から肉がポロッと外れてしまうくらい柔らかいスペアリブは圧巻である。三浦のマグロに山葵を塗って白胡麻をまずし、表面だけカリッと焼き上げたサラダ仕立ての前菜もうまい。

・フランスから帰国して間もない白金「カンテサンス」の岸田シェフを”日本が誇る一流のB級”に案内することにした。蒲田のお好み焼き「福竹」である。ここに通い続けている当事務所のSは「ケーキのようなお好み焼き」と言う。小麦粉のつなぎが極端に少ないこの店のお好み焼きは、20分くらいかけてじっくり焼いて、まわりは香ばしく、中はフワフワなのだ。その上、店を仕切るお母さんのキャラクターが面白い。調理中のお好み焼きを客に一切触らせない完璧主義者(僕は、その神々しい姿を見ながら、心の中で”鉄板の女神”と呼んでいる)。たとえそれが天才シェフでも例外ではない。岸田シェフがコテを手にした途端、お母さんがすっ飛んで来た。「ちょっとお兄さん、何してるの! ゆっくり火を入れているんだから、触っちゃダメでしょう。ちょっと焦げただけですぐに心配する! これだから素人は困るのよ」 通常、3時間かけて肉に火を通し、フレンチの天才と呼ばれる男が、いとも簡単に切り捨てられた瞬間であった。

・麻布十番に「レストラン大越」という洋食屋があった。東京オリンピックの前年に開店した家族経営の小さな店で、常連の大半はタクシーの運転手さんたち。僕はここの、極太スパゲッティ付きのハンバーグが大好きだった。その大越が突然取り壊された。空き地には移転案内も出ていなかったので、あのデミグラスソースはもう二度と味わえない・・・・と諦めていたら、何と真新しい建物になって、新装開店していた。狭い店内は昔のまま。メニューも味も変わっていない。都心の超一等地ということで、上をマンションや貸しビルにしないかという誘いもあったが、きっぱり断ったという。「それをやったら違う仕事が増えるでしょ?ウチは洋食屋だから」。ハンバーグを食べながら、こういう店に通い続ける喜びを、改めて噛み締めた。

・山形市で一軒の行きつけの焼肉屋を見つけた。店の名を「楓庵」という。完全予約制の人気店らしいが、電話を入れてみると、ちょうど一席キャンセルが出たと言われた。何という幸運。これはもう行くしかない。「何時にしましょう?」と聞かれたので、「7時でお願いしたいのですが、道に不慣れなため、早めに伺うかもしれません」と答えたところ、「7時と言ったら7時に来てください。6時半と言ったら6時半!」「じゃあ、7時ちょうどに行きます」やけに感じの悪い店だなと思った次の瞬間、店の人がこう付け加えた。「お客さんの来店に合わせて、炭の火加減を調整しているんです。ごめんなさいね」これは期待できる!客の来店時間に合わせて最良の火を準備する・・・・・そんな店がうまくないわけがない。やがて山の中の集落に入り、暗闇の中にその店の灯りが見えてきた。民家を改造した畳敷きの焼肉屋。ちゃぶ台の上の七輪で肉を焼くスタイルになっている。メニューを開くと、片隅にある注意書きに目がとまった。「他人の肉はかまわずに、ご自分の肉だけ焼いてください」「煙が出たり、炎が上がるようでは最悪です」そしてついに、ステーキのようなリブロースの登場。煙を出さないように真剣勝負で焼いた。塩だけで十分うまい。肉そのものは、東京の高級焼肉店にかなあないかもしれないが、なるほど、ここは確かに火が素晴らしい。いい火で焼けば、肉もよりうまくなる。その値段を考えれば、久しぶりに大当たりの焼肉店である。

・熊本・天草に里帰りする。いつもなら福岡から飛行機でひとっ飛びだが、今回はあえてレンタカーで実家を目指した。その陸路の登竜にどうしても行ってみたい店があったからだ。子どもの頃、親戚のおじさんに一度だけ連れて行ってもらった漁村の食堂。そこで食べたちゃんぽんが妙にうまかった。記憶の片隅にひっかかっている思い出の味。あれを今一度、味わいたくなったのである。そしてついに見つけてしまった。いかにも常連客のふりをしてメニューに目を通すことなく「ちゃんぽん、1つ」と頼んだ。が、運ばれてきたちゃんぽんを見て、思わず声をあげてしまった。何だ、この量は!山盛りとはまさにこのこと。箸をつけても、具が多すぎてなかなか麺まで辿り着かない。しかも、天草産の大正海老が皮付きのまま10匹近くも入っているではないか。これで630円・・・・・安い、安すぎる(現在の価格はデータ参照)。30数年ぶりに味わったちゃんぽんは、自分を優しい気持ちにさせる味だった。

・とにかく不思議な店だ。大井町の商店街にある、ごく普通の街の中華屋さん。ラーメン餃子セットが似合いそうな雰囲気が漂っている。カウンターのみの十数席。そのカウンターの中では、お父さん、お母さん、息子の三人が阿吽の呼吸で仕事をこなす。完全に家族経営の店である。「萬来園」にメニューというものは存在しない。お父さんが”今日仕入れた食材”を口頭で伝えて、客と調理方法を相談しながら食べるものを決める、というシステムである。「今日はいい帆立があるよ。これは塩でサッと炒めるだけが一番。あ、平貝もいいなぁ。塩だけでシンプルに炒めてもいいし、まこもだけとエリンギでさっと炒めて・・・・、そうそうアサリもいいのがあるんだ。黒豆と合わせるのもいいし、赤い酒粕で・・・・」という具合にお父さんは喋りまくる。その話を聞いて料理を想像しているだけでおなかがすいてくる。つまりこの店では、店主との会話が「胃袋のストレッチ運動」になっているのである。その効果あってか、気がついてみれば十数皿完食していることも珍しくない。そして何より、ここはカウンター内で働く親子3人の姿が目においしい。縦社会のピリピリした一流料理店の厨房とは違い、実に楽しそうに父と息子が料理をつくるのである。そして二人をサポートする母の優しさ。こういう環境で食べると、おいしいものがさらにおいしく感じられてしまう。

・愛媛県八幡浜市に行く。地元の人に「この近くでうまい店はありませんか?と聞いてみた。すると全員が口を揃えて「ロンドン別館」がいいと言う。「何料理の店ですか?」と尋ねたら「中華です」と言われた。中華なのに店名が「ロンドン」、しかも本館ではなくあえて別館。なにやら面白そうな匂いがする。その予感は見事に的中した。まず店の外観が面白い。ロンドンのイメージからは程遠い料亭風の佇まい。立派な庭園に面した座敷に案内された。畳に座って食べるスタイルながら、テーブルはちゃんと中華の円卓になっている。オススメのコースを頼んだら・・・・やはりこれは中華である。が、安っぽくはない。”クラゲとあわびの前菜”や、”フカヒレのスープ”など高級食材を使ったものが出てくる。と思えば、”鶏の唐揚げ”や”エビチリ”のような家庭的なものが出てきたり・・・。しかし、どれもビックリするほどうまい。仲間たちと驚きながら食べた料理・・・・・気づいてみれば全15皿。その値段を聞いて驚いた。一人何と3500円!最後の最後に、これが「奇跡の晩餐」であることを知った。別館であのレベルなのだから、本店はどれくらい凄いのだろう?自宅に戻ってすぐにネットで調べたところ、そこは”ちゃんぽん”の名店であることを知った。

・親友の結婚披露宴に出席するため、修善寺温泉へ向かう。自分の記憶の限りにおいて、これほど胸躍る披露宴はない。というのも、披露宴会場が、あの有名な名旅館、「あさば」なのである。しかも全館を貸し切り、夜を徹しての宴が催されるという。「あさば」と言えば、池に浮かぶ能舞台が有名な宿でもある。その能舞台で挙式、やがて場所を宴会場に移して披露宴が始まった。部屋が19室しかないため、出席者は約60名と少ないが、料理のレベルを保つためには最適な規模だと思う。料理はもちろん和食。「穴子黒米ずし」や「伊勢海老唐揚げ」など「あさば」の名物料理が惜しげもなく振舞われる。絶妙に炊き上げられた赤飯、そして漬物の1つまで手抜きはない。その上、サービスしてくれるのがもてなしの奥義を極めた中居さんたち故、非常に心地よいのである。披露宴のあと、軽く温泉につかり、浴衣に着替えて、池に面したサロンでの二次会へ臨み、そのまましこたま飲んで沈没。翌朝、竹林が迫る露天風呂でさっぱりして部屋に戻り、竈で炊き上げた一流の朝ごはんをいただいた。見栄や人間関係を一切排して本当の友達だけを呼び、飾らない名旅館が演出する幸せな時間の中でとことん語り合う・・・・。期待通り、今までの人生の中で最も”おいしい披露宴”であった。


<目次>
1人でふらりと立ち寄って贅沢な日常を味わえる店
 港屋/兼定/ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション/東京カレーラボ/ジャポネ/吉野家/三河屋/四季のおでん 銀座店/かっぱ/浪花家総本店/清風楼/京のカレーうどん 味味香/たこやきらぼ

愛する人との距離をさらに縮めてくれる店
 ボン・ピナール/白金シェ・トモ/麻布かどわき/1と8/ノーワンズレシピ/トラットリア ブーカ ジュンタ/a hill 西麻布店/Peter/サロン・ド・グー/板前割烹 花いち

大切な人をお連れしたい、もてなしマインドにあふれる店
 さわ田/ワインダイニング&シガーバー バロン・オークラ

気心知れた友達と行きたい、思わず笑顔になれる店
 HOUSE/イル マンジャーレ/カフェ カウラ/すき焼き、とんかつ、季節料理 むらた/ランチョ・エルパソ/木もれ陽亭/モノポール/バル カマロン/御田町 桃の木/レストラン・ランス・YANAGIDATE/東山元旦/豚玉/セブン-イレブン/ヘイフンテラス/京都吉兆 嵐山本店

思わず体が”うまい!”と叫ぶ、心身ともに健康になれる店
 ボタニカ/食文化サロン 白金劉安/カーザ ヴィニタリア/アル・ケッチャーノ

店主の人柄と個性までもがご馳走!と思える店
 福竹/司亭/虎の穴/大沢食堂/大越

誰を連れて行っても満足してもらえる誠実美味な店
 ル・ブルギニオン/しらとり/バッボ アンジェロ/楓庵/大空食堂/ステーキくしんぼー山中/すし匠 まさ/中国料理 礼華/神楽坂 石かわ/銀座 桃花源/野田岩

食通をも唸らせられるサプライズに満ちた店
 日本料理 龍吟/燻/インダルジ

一生通い続けたいと思う店
 アピシウス/銀座 寿司幸本店/レストランキャンティ 西麻布店/みかわ/リストランテ・ディボ ディバ

飛行機や新幹線に乗ってでも食べに行きたい店
 あら皮(あらがわ)/すし処 ひさ田/手打ち蕎麦 東間/鮨おさむ/ミッシェル・ブラス トーヤジャポン/鮨 田なべ/井雪/萬来園/表参道 茶茶の間/ロンドン別館/アルジェントASO/すし匠/石鍋のぐち

大切な記念日に行きたい、人生の栞となる店
 カンテサンス/エディション・コウジ シモムラ/あさば/レストラン ロオジエ

できることなら、この店のテーブルで死にたい・・・・・
 かわむら/奴寿司/エルミタージュ・ドゥ・タムラ

あそこのコレがやめられない! 人生に欠かせない心のおやつ
 カルビーの「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」
 フジッコの「うるおう杏仁豆腐」
 竹下製菓の「ブラックモンブラン」
 ミニストップの「ソフトクリーム」
 愛媛・真穴の「貴賓」
 柳川御花の「蜜柑搾りジュース」
 旭屋牛肉店の「葉山コロッケ」
 ナニワヤの「ポテトサラダ」
 緑寿庵清水の「ロマネ・コンペイトウ」
 日光金谷ホテルの「百年カレーパイ」
 ナショナル麻布スーパーマーケットの「ピーナッツバター」
 琉球料理乃山本彩香の「豆腐よう」

面白かった本まとめ(2009年下半期)

<今日の独り言>
初めて6歳の息子の授業参観に行ってきましたが、カリカリして後ろで立っている親の気持ちがよ~く分かりました^_^;)今後に期待します・・・。

コメント (2)
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