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業績、翻訳05、、『西洋哲学史要』

2007年05月04日 | 業績一覧
業績、翻訳05、『西洋哲学史要』

  波多野精一著、牧野紀之再話、発行・未知谷(みちたに)
  四六版上製 373頁、定価3150円(税込み)
  ISBN 978-4-89642-185-9  C 1010
  初版 2001年01月、増補版 2007年05月

 内容紹介

 「波多野精一氏の不朽の名著である原著が絶版になっているのを惜しんで、再話という形で世に問うてみることにしました。絶版になっている理由が『内容は優れているけれど、文章や用語が余りに古くて今の若い読者には読めない』ということだろうと推測したからです。これを、民話を語るように平易に話したいものだと思いました。」 (再話者の言葉、より)

 「この著作は、哲学の初学者のために西洋哲学の発達のおおまかな道筋を叙述したものです。本書において私が不完全ながら目指したものは、西洋思想を咀嚼・同化して我が物とした上で叙述することでした。」(波多野氏の「はしがき」から)

 原著は1901年(明治34年)に発表されていますが、明治の開国からまだ日の浅い当時、よくもここまでヨーロッパの思想を理解したものだと感心します。しかも、これは今でも西洋哲学史の決定版であり、最高峰なのです。

 プラトン、アリストテレス、カントの項が特に詳しいこと、キリスト教との関係にかなりの配慮がなされていることなどが、氏の特徴です。

 デカルトからヒュームまでの叙述は簡にして要を得たもので、氏の面目躍如です。

 重要性の割に手薄なのはヘーゲルですが、その点は再話者の専門ですので、注や付録で補いました。

 増補版では約10頁にわたる詳細な索引を付けて利便性を高めました。更に「付録3・子どもは正直」と「付録4・マルクス主義」を加えました。これによって、ヘーゲル哲学の全体像を示す仕事がほぼ出来たと思います。又、ヘーゲル以降の最大の哲学であるマルクス主義についての簡潔な叙述を提供できたと思います。


    目  次

 再話者の言葉/ はしがき/ 新版のはしがき

古代哲学史
 第1篇 アリストテレスにいたるまでのギリシャ哲学
  第1章 ミレトス学派
   タレス/ アナクシマンドロス/ アナクシメネス
  第2章 生成の問題
   クセノファネス/ ヘラクレイトス/ パルメニデス/ ゼノン/
   メリッソス
  第3章 生成の説明
   エムペドクレス/ アナクサゴラス/ 原子論者/ ピタゴラス学派
  第4章 開明時代の哲学
   ソクラテス
  第5章 デモクリトスの唯物論とプラトンの唯心論
   デモクリトス/ プラトン
  第6章 アリストテレス

 第2篇 アリストテレス以後のギリシャ哲学
  第1章 倫理時代の哲学
   ストア学派/ エピクロス学派/ 懐疑論派/ 折衷説
  第2章 宗教時代の哲学
   新ピタゴラス学徒/ フィロン/ 新プラトン学派

中世哲学史
 第1篇 教父時代の哲学
  第1章 ニケーア会議以前の時代
   護教家/ グノスティック派/ アレクサンドリアの教会学校
  第2章 ニケーア会議以後の時代
   アウグスティヌス

 第2篇 スコラ哲学
  第1章 スコラ哲学の発生
   アンセルムス
  第2章 実念論と唯名論
  第3章 トマスとドンス・スコットゥス
  第4章 スコラ哲学の衰退

近世哲学史
 第1篇 カント以前の哲学
  第1章 過渡時代
  第2章 イギリスの新哲学
   ベーコン/ ホッブス
  第3章 デカルト
  第4章 スピノザ
  第5章 ライプニッツ
  第6章 ロック
  第7章 バークレー
  第8章 ヒューム

 第2篇 カント及びカント以後の哲学
  第1章 カント
   認識論/ 道徳論及び宗教論/ 美学及び目的論
  第2章 フィヒテ
  第3章 シェリング
  第4章 ヘーゲル
   論理学/ 自然哲学/ 精神哲学
  第5章 ヘーゲルの反対者
   ヘルベルト/ ショーペンハウエル
  第6章 ヘーゲル派の分裂及び唯物論の勃興
   シュトラウス/ フォイエルバッハ
  第7章 唯物論の反対者
   ランゲ/ フェヒネル/ ロッツェ
  第8章 19世紀の英仏の哲学
   コント/ スペンサー

 付録1・波多野精一著『西洋哲学史要』

 付録2・弁証法の弁証法的理解
  1、ヘーゲルの問題意識
  2、有限な認識能力
  3、無限な認識能力
  4、事実を説明すること

 付録3・子供は正直
  1、アダムとイヴ
  2、恥を知る
  3、労働
  4、子供は正直

 付録4・マルクス主義

 索引


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