ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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「ユーゲント」06号(1999年06月23日)

2007年08月30日 | 教科通信「ユーゲント」
「ユーゲント」06号(1999年06月23日)

                   ドイツ語教室の教科通信

 2回目のアンケートは2枚にもなってしまい、事後処理が大変でした。「濃いめの字で書いて下さい」と書いたのに、薄い字で書いた人も何人かいました。協力して欲しいと思います。しかし、アンケートと教科通信とを取り入れた授業に共鳴して下さる方も多く、楽しい面もありました。メール・アドレスはまだの人がいますが、今後は新しく取ったら、私宛にメールを下さい、「取りました」と。メールの練習になります。

   まず、とても喜んで下さったAさんの意見を紹介します

──アンケートと Jugend は私たちと先生との間でコミュニケーションをとるのにすごく良い手段だと思います。毎回、ただ何となく顔を合わせるだけというのも何だか寂しと思います。人数が多いので大変だとは思いますが、できるだけ私たち一人一人のことを分かってほしいです。

 授業はもちろんのこと、先生と私たちとの関係をよりよいものにするためには、アンケートと Jugend は絶対必要だと思うし、どちらかが欠けてしまったら意味のないものだと思います。今年だけではなく、これからもずっと続けていってほしいです。(中略)高校でもそういうものがあったら良かったのになあ。

 ★ 私はある市立看護専門学校で2年生に後期だけですが、哲学を教えています。哲学史をするのではなく、現実の問題を考えています。こちらは哲学の授業ですから、毎回、その日のテーマ(複数)について資料を読んだり私の話を聞いたりし、話し合いをし、休憩の後、レポートをまとめます。

 私は初めはレポートへの感想も書かないで返していたのですが、段々と感想を書くように変わりました。とても大変でしたが、「先生との交換日記みたいだ」と喜んでくれる生徒もいました。

 去年、教科通信というアイデアを知ってからは、毎回、1人1人への感想のほかに全体のための教科通信を出しました。これが「天タマ」です(私のホームページに載っています)。疲れて病気になりました。しかし、とても好評でした。家族や友人にまで広がりました。

 (生徒は期末には自分のレポートをまとめて文集にします。2部提出します。1部は成績とその根拠とメッセージを書いて生徒に返し、1部は私がもらいます)。

 この経験を踏まえて、本学でも少しやってみようかと始めたのです。

 Aさんがアンケートと Jugend に強く共鳴して下さったのは、Aさんがスクールカウンセラーに興味を持っていることと関係していると思います。カウンセリングというのは結局は、本当の対話だからです。広義の対話には言葉によらない(音楽とか絵とかによる)心の交流もあると思いますが、そこまで拡げないとしても、言葉による対話では話し言葉のほかに書き言葉をうまく使うことが有効だと思います。恋人でも、会って話し合うだけでなく、恋文も有効であることを考えてみると分かると思います。

 Aさんが将来もしカウンセラーになったとしたら、この授業を思い出してもらえるような授業にしたいです。

 それにしても「高校時代にこういう教科通信があったらなあ」という意見は看護学校でも聞きました。多感な高校時代こそ、先生と生徒の間で、また生徒同士でいろいろな事をゆっくりと考え合い、話し合う場が欲しいものです。対話こそが心の教育なのです。

 尚、私はよく考えるのですが、これもワープロと簡易印刷機のお蔭だということです。この二つがなかったら、私には教科通信を作ることは考えられません。逆に、Eメールを皆が使うとか、携帯電話で送るとかになったら、教師の編集作業は大分楽になると思います。LAN(イントラネット)がどの学校にも構築される日も近いでしょうが、そうなったら又変化があるでしょう。

   アンケートと成績

 多くの人が疑問に思っていることは、やはりアンケートと成績の関係のようです。これはとても大きなテーマになりますので、問題点と私の考えを箇条書き風にまとめるだけにします。皆さん自身で今後も思索を深めて下さい。

 (1) 問いは「アンケートが記名式で、かつ成績と関係していることをどう思いますか(これまでに経験した「授業のアンケート」と合わせて考えて下さい)」とありましたが、これまでの経験とそれについての考えを書いている人がほとんどいませんでした。つまり、高校までにこういうものを経験し、問題点を考えたことのある人がいないということでしょう。

 まず、これが問題です。教師(ないし学校)は「授業のアンケート」を取る義務があるかないか、それはなぜか、これは広まってきてはいますがまだ一般化していません。本学でも制度になっていません。これをどう考えたらよいのでしょうか。

 (2) このドイツ語の授業のアンケートの場合、生徒には提出する義務があるかないか。私は「義務がある」と考えています。選挙なら「棄権の権利」もあるでしょう(オーストラリアでは、投票所まで行くのは義務で、白票を投じるのは自由だそうですが、これも面白い考えだと思います)。

 しかし、こういう授業では出さないのは生徒と認めにくいです。そこで、私は、アンケートを2回以上出さないと、可以下の成績にします。1回は見逃します。

 (3) 記名したらアンケートではないとか、本音が書けないという意見がいくつもありました。まず、この「アンケート」は「アンケート」と言っていますが、内容は、「より良い授業のための教師と生徒、また生徒同士の対話」なのです。名前を書かない方が不自然ではないですか。又、「匿名でなければ書けない本音」って、どんな本音でしょうか。トイレの落書きのような本音はトイレだけで十分です。

 人間の心の中には天使と悪魔の両方が住んでいます。匿名にすると悪魔が起き出してきます。悪魔に活動の場を与えるのは避けるべきだと思います。言論の自由と言っても、文字通りどんな事を言ってもよい、どういう言い方をしてもよい、ということではありません。公然わいせつ罪もあれば、名誉毀損罪もあります。

 まして、教師と生徒の関係を前提しての対話では、その自由は極めて狭くなります、教師にとっても、生徒にとっても。人間関係というのは、距離の取り方だと思います。どういうのが良くてどういうのが悪いのか、それは親に聞いて下さい。学校教育は家庭教育で学ぶ姿勢の出来ている生徒に、勉強だけを教えるものです。

 残念ながら、記名にしてもおかしな事を書く人がいます。無礼な人もいます。その程度により、可または不可にします。つまり、アンケートと取り組む「態度」は成績に関係します。尚、アンケートで成績の良くなることはありません。出すのは当たり前、真面目に書くのも当たり前だからです。

 (4) 匿名で授業の評価をしたいというなら、自分たちでやったらどうでしょうか。大学祭で取り上げたらどうですか。すべての授業を同じ基準で評価してみて下さい。ノウハウの資料を提供して、応援してあげます。

 権利があるのにやらないなら、こういう事をする勇気と実行力のないことを、皆さんはまず反省するべきだと思います。ドイツの大学では学生委員会みたいな所でアンケートを実施しています。そもそも「学生による授業評価」は最初、アメリカのハーバード大学の学生が自主的に始めたそうです。日本でも少しずつ出てきたようです。

 早稲田大学の社会人学生が、楽勝科目を教えるのではなく、学問と教育の見地からいろいろな授業を評価し、それを冊子にして売り出したそうです。S大生の奮起を期待します。

 (5) 教師に対して批判的な事などを書くと、真面目な発言なのに、それに対して教師が悪い点をつけるかもしれない、という説もあります。私もそういう例を聞いたことがあります。匿名でも、筆跡で分かってしまい、呼び出されて文句を言われたとか、投書箱への投書について朝礼で教師が非難した、という例も聞いています。もしこういう事が起きたらどうしたらよいのでしょうか。

 (6) 一番の問題は、学校教育の場に、先生と生徒が一緒になって、以上のような問題を実際の事例にもとづいて原理的に(なぜそうなのかを)考える授業のないことだ、と思います。これこそが一番大切な道徳教育であり、心の教育なのに。

  大学の授業は「上」の生徒(才能とやる気のある生徒)に合わせるべきだという講師の考えについてどう思いますか

 どの項目もとても丁寧に論じて下さったN君の意見を全文紹介します

──中学や高校の授業で「上」の生徒に合わせてゆくのは様々に問題になりそうですが、大学は中学までの義務教育を二段階も越えた所にある学ぶ場所なのだから、「上」の人に合わせることは何も問題はないだろうと思います。しかし、語学の苦手な人、しょうがなくカリキュラムの1つとして取らざるを得なかった人にはきついと思います。努力をしてもついて行けないほどのペースだと問題はあると思います。今はまだ努力をすれば誰でもついて行けるのかもしれませんが。

 あと、最初からすごいペースできつい授業だと、ドイツ語を学ぶことをそれほど楽しみにしてきていなかった人は、やる気を失うと思います。あまり気が進まないでドイツ語を学びにきた人の興味をひくことなど、先生には関係ないと言われるかもしれませんが、最初は「下」の生徒に合わせて、興味を持ちやすくするのも一つの方法かもしれないと思います。

 ★ 冷静に広い視野から考えた好い考察だと感心しました。少しだけ疑問を出します。

 (1) 総論(一般論)と各論(この授業の実際はどうか)とを分けて欲しいと思います。(2) 生徒の興味をひくような授業をするということと「下」に合わせることとは同じではないと思います。(3) 皆さん、次回、次の質問に答えて下さい。

 ・この授業は、「努力をしても付いていけないほどのペース」ですか。

 ・この授業では、生徒の興味をひくための工夫が、他の授業より少ないですか。

 なお、やる気の有る無しは何で判断出来るでしょうか。私は、これまでの経験から、音読するかしないかだと思っています。

  語学には読み・書き・聞き・話す・文法の5つの勉強がありますが、この授業での組み合わせ方についてどう思いますか。又ドイツ語で説明する試みをどう思いますか。

 ★ 「書き」(作文)がないという意見がいくつかありました。文法問題の中に少しあったと思いますが、今後は独自にもやっていきます。

 ★ ドイツ語での説明は、特に2回目は動作をつけたので「分かったので嬉しかった」という意見がかなりありました。分からないから無意味だという意見も数人ありました。

 ★ 文法の説明が足りないという意見がかなりありました。私としては、文法自体としての説明と読みながらの説明との全体で考えているのですが。

 ★ 文法の勉強の一部を「教科書を読んで独習させる」方法についても批判がありました。しかし、私としては、大学で授業時間の少ないのは、中学みたいに授業で皆は教えないからだと思っています。

   休憩(主としてビデオ)についてはどう思いますか

 ★ ビデオの続きがみたいという要望が多かったです。特に「和敬塾」は要望が多いので再度取り上げます。

 ★ もう少し時間を長くという意見は、今は難しいです。90分を目一杯使っているので、休憩を増やしたら、何かを削らなければならなくなるからです。

 ★ ビデオ以外のものも取り上げていきたいと思います。

  ドイツへの語学留学の希望、あるいはこの夏休みのドイツ語の勉強の相談


 ★ 文法の詳しい説明を聞きたいという人は、関口存男(つぎお)『新・ドイツ語の基礎』(三修社、1200円くらい)をどうぞ。

 ★ 独検について。

 (1) 4級は資格になりません。3級からは履歴書に書くことが出来ます。来年の6月に3級を受けることをお勧めします。日大三島校か、南山大学(名古屋)かで受けられるでしょう。

 (2) 最近の3~4年、独検のレベルが下がってきています。困ったことです。

 (3) 勉強はNHKのラジオがベストです。春休みの勉強が鍵です。希望者とはいずれメールで相談しましょう。

 ★ 留学したい人とはメールで個人的に相談したいので、必ずメールアドレスを取って、知らせて下さい。一般的な注意としては、 (1) 3年の時、1年間留学するのが一番適切です。
 (2) 十分に準備をしていかなければ1年間では大した成果は上がりません。
 (3) 費用は、学費が年間50万くらい、往復の交通費が20数万くらい、生活費が月8万(年間 100万)くらい、あと旅行の費用とかです。

 ★ アメリカに留学したいという人がいました。工学部の人が語学留学することは問題ないし、よい事だと思います。

 ★ 夏休みの勉強も、宿題のほかに何か勉強したいという人はメールで相談しましょう。

   その他

──先生のやり方がすでにかたまっていて、アンケートの意見が聞き入れられていないような気がします。

 ★ こういう意見は毎年、2~3名から出ます。私の授業は毎年、かなり大きく変わっています。姉妹で私の授業に出た人が、去年、こう書いていました。「私は、牧野先生は多少なりともやり方を変えていると思う。なぜなら、私の姉が以前、先生にドイツ語を習っていたが、今の授業の様子や宿題の量などを話すと、多少変わっているらしいのです」。

 しかし、年度の途中ではあまり変えていません。これには次の2点を考慮するべきでしょう。(1) 最低でも1年やらなければ、その方法がどの程度有効か判断できない(明らかに拙いと分かった時は、年度の途中でも変更する)。(2) 年度の途中でやり方を変えること自体にはデメリットもある(変えることのメリットの方が大きい時のみ変更する)。

 教師は生徒の反応を注意深く観察しつつ授業のやり方を考えていくべきですが、それにも程度(どのくらい注意深く観察し、考えているか)があると思います。皆さんにお聞きしたいのですが、私は、他の教師に比べて、生徒の反応を注意深く観察していない方ですか、注意深い方ですか。

──「仏の牧野」と呼ばれる理由がいまだに分からないので、教えてほしい。

 ★ 看護学校の生徒がある時、こう書いていました。「先生は最初に聞いていたほどこわい人ではなかった。むしろ真剣に話をしている途中に時々見せてくれる笑顔が仏のように思えて、いい先生だと思った。」

──ドイツ人とメールのやり取りをしたいのでその方法を教えて。

 ★ ホームページ「哲学の広場 - 考える楽しさを分かち合う」の「リンクのコーナー」を開いて下さい。そして、「ドイツ」をクリックして下さい。ドイツとドイツ語関係のサイト〔日本語で書かれたものもドイツ語で書かれたものもあります〕にアクセス出来るようになっています。もちろん、メール友達なども探せるようになっています。

──先生の研究室はどこですか。

 ★ 私は非常勤講師ですから、研究室を持っていません。水曜日に授業に来るだけです。

──某語学の講義では大したこともしていないらしい。そんな人達と、ちゃんと授業をしている僕らが同じ単位をもらうのはおかしいと思いました。(同感)

──前にある講義で未修外国語について討論しました。その結果、未修外国語の必要性というものに疑問が上がり、何のために、またなぜいまだに学ぶ必要があるのか分かりません。

 ★ その討論でどういう意見が出たか、詳しく教えて下さい。いずれこのアンケートでも聞いてみましょう。

──僕は正直なところ、ドイツ語が簡単だと聞いて、ドイツ語を選びました。しかし、全くそんなことはありませんでした。4月5月は、ドイツ語が苦痛で、毎週、この授業の前はおびえていました。しかし、今は、ドイツ語は、やればできるということが分かり、これからやっていけそうで、安心しています。

 ★  Deutsch macht Spass!

   ドイツの大学の一面

 日本の大学の時間割では枠組みが決まっています。1時間目は9時から10時半までで、2時間目は10時40分からとか。そして、その枠の中にいろいろな授業が配置されていくのです。

 ドイツの大学ではこの枠組み自体が決まっていないみたいです。ある先生は9時から11時まで、他の先生は10時から11時まで、第3の先生は10時半から12時半まで、と授業の長さも時間も先生の勝手なのです。しかも、夜の6時から8時までの授業とかいったものも結構たくさんあるのです。

 聴講も勝手です。ゼミみたいなものは、見学させてくれと断りますが。本当に自由な所です。授業が終わると、たいてい、学生は手で机をコツコツコツとノックします、「ご苦労さん」ないし「ありがとう」という意味です。これを Klopfenと言います。生徒が発表した時などにもこれをします。

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